未来を生み出す団地
築200年団地 | 2018.10.30
以前のコラム「もしも団地の集会室をキッチンスタジオにできたら」では、暮らしの3要素「住む」、「働く」、「楽しむ」の3つを丁寧に掘り下げていくことで、新しい暮らしの可能性が広がるのでは、と考え、団地の集会室に本格的なキッチンを入れる提案をしました。趣味の延長としてお菓子やパンをつくりたい人向けに大型のオーブンなどの設備を入れて時間貸しをすることで、住まいのすぐ近くに楽しみながら無理のない範囲で働くことができる空間ができるのではと考えました。このコラムには反響があり、さまざまなご意見をいただきました。
いままでは団地の「住む」ことだけにフォーカスしていましたが、これからの団地では集会所や空き店舗、空きスペースなどをリノベーションすることで、何かをつくったり、周囲や世の中に発信をしていく空間をつくれるかもしれません。広さによってはシェアして仲間と共同で使うことも考えられます。
キッチンであれば、本格的な機器を設けて、料理やパンやお菓子をつくることができます。また、料理レシピを発信することもできるでしょう。
スタジオであれば、防音室があり楽器や映像機器などがあれば、本格的な音楽や映像を配信できそうです。
アトリエであれば、デジタルファブリケーションなど最先端の道具があれば、そこでモノづくりをすることができそうです。それらをインターネットを通じて販売したり、もちろんつくったモノを団地の住人に販売するなども考えられます。それらの行為が新しい団地のコミュニケーションを生み出すこともあるでしょう。
オフィスであれば、インターネット環境や打合室などがあれば、小さな会社や個人事業主がビジネスをすることができそうです。
菜園であれば、屋外の空きスペースを畑にして、地域の野菜を育てることもできそうです。
全てを1つの団地に入れていくことは難しいので、地域性や団地の特長を考慮して1つ1つの団地毎に特長をもたせると良さそうです。
また、団地は住める場所がすぐ近くにあります。これらの空間に魅力的な設備や仲間がいれば、そこで活動する人たちがその団地に集まって住むことも考えられます。プロやセミプロが初心者に教えるような、習いごとなどの楽しみの場もつくれそうです。
いままでは家族で住むことが当たり前でしたが、子供の数が少なくなった現在、血縁だけでなく同じ趣味や仕事をもった人が近くにいる趣味縁、仕事縁といった新しい「縁」を生かした住み方もあるかもしれません。楽しく「住む」ことができそうです。
そんな空間に共感する人が多く住んでもらえれば、いままでは消費する空間だったのが、新しく何かを生み出す空間として機能していくことができるかもしれません。また、いままでにない特長のある団地がうまれてくる可能性がありそうです。
多くの人が住んでいるという特長を生かした、そんな団地はどうでしょうか。みなさんのご意見をいただければと思います。