団地の5階に住む
築200年団地 | 2018.9.25
今回は「エレベーターなしの団地の5階に住むこと」を考えてみたいと思います。
団地の5階は、陽当りや風通しも良く、眺望も良い魅力的な空間です。団地が将来、築200年になったとしても、大切だと思える暮らしの本質を備えています。前回の「30年後の団地暮らし」についてのアンケートでは、築200年の団地が存在していくとして、30年後の団地暮らしはどうなっているかを想像して回答をいただきました。
エレベーターのない5階建ての団地の30年後は、ご自身が高齢者になったときになるので、階段の上り下りが大変になるというご意見がある一方で、健康で足腰がしっかりしていれば大丈夫というご意見もたくさんありました。また、上層階は若い人が住み、高齢者は低層階に住めばよい、別荘やセカンドハウスなど一時的に使うのであれば大丈夫、といったご意見もありました。
アンケートでは、どんな条件であればエレベーターなしの5階に住みたいと思うか、詳しくお聞きしました。いくつかご意見をご紹介したいと思います。
■階段の昇り降りのサポートがあると良い
人のサポート(お手伝いさん、コンシェルジュ)や、機械のサポート(ロボット、アシストスーツ)が欲しいというご意見がありました。
人のサポートとなるとたくさんの人が必要になりそうですが、機械化ができれば可能性としてはあるかもしれません。すでに実用化され広がりつつあるお掃除ロボットは、部屋をスキャンしてデータ化し、それに合わせて動きます。階段を3Dスキャンなどしてデータ化することができれば、それに合わせて動く機械ができるかもしれません。
■階段室に工夫があると良い
団地の階段の途中の踊り場が大きくなっていて休憩・団らんができると良い、というご意見をいただきました。
例えば、5階の中間に位置する3階部分の階段の踊り場を大きくすれば、そこで休憩ができそうです。座りながら外が見えるようなしつらえにできれば、風景を見ながら団らんできるような場所としても活用できるかもしれません。また、費用や手間を考えても1箇所だけであれば、エレベーターと比べて少なく済むかもしれません。
■楽しめるスペースが近くにあると良い
屋上が庭になっている。散歩ができるなど屋上を楽しみたいというご意見がありました。確かに屋上を生かしている団地は少なそうです。屋上は見晴らしがよく、気持ちの良い空間です。その屋上が魅力的であれば、そこに近い5階に住むことが楽しくなるかもしれません。長いスパンで団地を考えれば、屋上の改装という考え方はありそうです。直接的な解決にはなっていませんが、それくらいメリットがあれば、階段の昇り降りというデメリットもカバーできるかもしれません。
日本より築年数のはるかに古いパリのアパルトメントは、エレベーターなしの物件がたくさんあり、それでも住みたいと思える魅力的な物件がたくさんあります。団地を築200年まで住み継ぐものと考えれば、日本の団地がパリのアパルトメントのような存在価値のある建物になる可能性があります。単純に新築マンションに近づけようとして綺麗にするのではなく、いまあるかたちをできる限り生かせると、今後ビンテージとしてさらに価値を感じることができるかもしれません。
みなさんのご意見をいただければと思います。