第4期第2回 「住まいとモノの持ち方」について

第4期 2017年〜 | 2017.6.20

今回のアンケートでは、都会の賃貸マンションに住む場合の、モノの持ち方についてお聞きしました。たくさんのご参加ありがとうございました。
広い部屋に豊かさを求めるのではなく、家賃をおさえた小さい部屋での豊かな暮らしとはどのような暮らしでしょうか。都市(都心)ならではの利便性を享受し、環境や物や人の多い都市に住むならば、あなたの住まいにはどんなモノが“不要”になるのか、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。

●回答総数:11,398名
●実施期間:2017年4月25日(火)~5月2日(火)

回答者のプロフィール

年代
世帯形態

リビング・ダイニングについて

環境に恵まれた都心の集合住宅に住むとして、部屋の外の空間サービスを利用し、リビングやダイニングになるべくものを置かない「コンパクトなリビング・ダイニング」についてお聞きしました。

環境に恵まれた都心であれば、リビング・ダイニングはコンパクトでよい

部屋が広くなり、家賃が高くなっても、リビング・ダイニングは広く充実させたい

部屋の外の空間サービスを利用し、リビングやダイニングになるべくものを置かない「コンパクトなリビング・ダイニング」についてのご意見

ただ「自室に物を置くことが悪」なのではなく、共用すればさまざまな面で省コストになり、個人やコミュニティのメリットが増えるという意味でのコンパクト化は賛成です。(30代/単身世帯)
家族で暮らすなら個室をコンパクトにして家族とのプライベート空間を大切にしたい。物質的にはコンパクトでも空間にゆとりが欲しく思う。(50代/親+子世帯)
外(近く)に利用できる空間サービスがあれば、利用したいと思うし、その事で自然に、持つものを少なくすること事ができるのではないかと思う。(50代/親+子世帯)
今は電子書籍や衣装貸出サービス等ずいぶん普及しているので、家の中から、いわゆる「スペースをとるもの」が、減ってきていると思います。しかし、物が減ってきていても、リビング・ダイニングは広くした方が、私自身としては良い気がします。週末、広いリビング・ダイニングでリラックスして、家族と過ごす時間を充実させたいなぁと思います。狭いリビングだと、家族でくつろぐのは難しいのではないでしょうか。(30代/親+子世帯)
家族構成により、リビングダイニングに求める「広さ」はさまざまだと思いますが、「モノを置くためのスペース」はなるべく少なくしたい、というのは多くの方に共通するようです。
そのためのモノの減らし方も、精神論的な発想だけでなく、「シェア」や「街のインフラ」とうまくかみ合わせる、という合理的な手法の検討、実践が普通になりつつあるようです。

キッチンについて

環境に恵まれた都心の集合住宅に住むとして、室内のキッチンを「コンパクトなキッチン」にすることついてお聞きしました。

集合住宅内に「大きなキッチン」や「クッキングスタジオ」があれば、自宅のキッチンはコンパクトでよい

近くに「大きなキッチン」や「クッキングスタジオ」があれば、自宅のキッチンはコンパクトでよい

買い物の環境に恵まれた都心であれば、自宅のキッチンはコンパクトでよい

部屋が広くなり、家賃が高くなっても、自宅のキッチンは広く充実させたい

室内のキッチンを「コンパクトなキッチン」にすることについてのご意見

料理は人に見られず、お酒を飲んだりテレビなどみながら自由に楽しみたい思いがあるから、他人とキッチンを共有することに抵抗がある。(30代/夫婦二人世帯)
キッチンはある程度広く充実していないと料理を毎日作る人のモチベーションが下がると思います。集合住宅内に充実したキッチンがあっても、それは自分だけが好きに出来るものではないので。しかし、みんなで何かを作ったり集合住宅内やご近所の方に料理を教えてもらえる場所としては素敵だと思います。(30代/親+子世帯)
キッチンがコンパクト過ぎると料理しにくい。ただしリビング・ダイニングに不釣り合いの大きさのキッチンはいらないと思う。(30代/夫婦二人世帯)
買い物環境に恵まれ、集合住宅内に気軽に利用できる大きなキッチンがあれば自宅キッチンはコンパクトに限ると思う。ストック場所がないので無駄買いがなく、必要最低の食器、調理器具で済んで、掃除やメンテナンスも楽になります。(30代/親+子世帯)
「自宅のキッチンはなるべく充実させたい」というご意見が、リビングや寝室はコンパクトで良い、というご意見に比べて非常に多かったのが特徴的でした。
「調理」という行為が、単に食べる目的だけではなく、日々の暮らしの中で、家族とのコミュニケーションも内包しているということかもしれません。

寝室について

ベッドや布団以外のものを置かずに、寝ることだけの空間とした「コンパクトな寝室」についてお聞きしました。

寝るだけの最低限の機能があれば、寝室はコンパクトでよい

部屋が広くなり、家賃が高くなっても、寝室は広く充実させたい

ベッドや布団以外のものを置かずに、寝ることだけの空間とした「コンパクトな寝室」についてのご意見

広くなくていいですが、寝室は好きなものを置いておきたいのでベッド以外のものも置きたいです。私にとって寝室は仕事が終わり、寝るまでの充実した時間を過ごす場所なので本棚やサイドテーブルは必須です。(30代/親+子世帯)
寝室にいるのは、本当に眠るときだけなので、コンパクトでいい。現在、衣類が家の中で分散しているが、寝室からクローゼットをなくして、ウォークインに集中収納したい。(30代/親+子世帯)
コンパクトにするなら、壁から壁までベッドにしたい。中途半端に狭いだけだと、掃除が面倒だから。(30代/親+子世帯)
落ち着いて寝れるし、いつも同じ時間に目が覚める習慣の為、時計すら置いていません。寝過ごしてはならない時だけ、枕元にスマホを置いて寝ています。(30代/親+子世帯)
「寝室」が、純粋に疲れを取るための睡眠の場であるのか、眠りの前後も含めて精神的な癒しの場であるか、によって寝室に求める広さの度合いが異なるようです。
「寝室はコンパクトでよい」という回答が約8割に達しているのは、寝室を純粋に眠るためのスペースと割り切って考えている方が非常に多いということを示していて興味深いです。
これからの都会の住まいの間取りは、収納式ベッドと明るさのコントロールさえできれば、寝室は不要、という可能性さえ感じさせる回答結果でした。

お風呂・洗面・トイレについて

環境に恵まれた都心の集合住宅に住むとして、室内のトイレ・お風呂・洗面を「コンパクトな水まわり」にすることについてお聞きしました。

集合住宅内に「銭湯」「大浴場」があれば、自宅はシャワーだけでよい

近くに「銭湯」「大浴場」があれば、自宅はシャワーだけでよい

水まわりが広くなり、家賃が高くなっても、自宅の水まわりは充実させたい

室内のトイレ・お風呂・洗面を「コンパクトな水まわり」にすることついてのご意見

お風呂に入ると疲れがとれるし子供と一緒に入るという楽しみがあるのでお風呂はどうしてもほしい。洗面は使えればコンパクトでもよい。(30代/親+子世帯)
最近コンパクトな風呂にしました。それでも浴槽は脚を伸ばせます。コンパクトにしたことで掃除が楽になりました。トイレは洗面室の隣にありますので、手洗いは作らず洗面室にて間に合います。(60才以上)
大賛成です。水回りの掃除ほど、面倒くさいものはないです。できれば、コストがあまりかからず、自宅から5分以内であれば毎日銭湯に行きたいくらいです。(30代/親+子世帯)
ミストサウナが湯船につかるより温まるということに気がついてしまったので、湯船が必要なかったもとは思う。でもいざという時のため(災害時など)を考えるとあった方がいいかな。(40代/夫婦二人世帯)
「スーパー銭湯」のようなお風呂施設がすぐそばにあれば、自宅の浴室はないか小さなものでもよいのではないか?という仮説があったのですが、見事に裏切られました。水まわりは家賃が多少高くなっても充実させたいという方がちょうど50%。一方で、家賃が高くなっても寝室を充実させたい、という方はわずか18%。
1日のうちに過ごす時間は圧倒的に寝室の方が長いのに、やはり私たち日本人の豊かな暮らしに「お風呂」は重要な要素を占めているということでしょうか。

洗濯について

環境に恵まれた都心の集合住宅に住むとして、室内を「コンパクトなランドリーまわり」にすることついてお聞きしました。

集合住宅内に「洗濯室」や「屋上洗濯干場」があれば、自宅のランドリーまわりはコンパクトでよい

近くに「洗濯室」や「屋上洗濯干場」があれば、自宅のランドリーまわりはコンパクトでよい

部屋が広くなり、家賃が高くなっても、自宅のランドリーまわりは広く充実させたい

室内を「コンパクトなランドリーまわり」にすることついてのご意見

大物洗濯は共同のランドリーで、日常の洗濯は各家庭でできるなら素敵だと思います。(20代/親+子世帯)
家事動線の面でも、コンパクトなランドリーまわりには賛成です。乾燥機や浴室乾燥も利用しますし、天日に干したいものだけ屋上に行くというのは良いと思います。(30代/親+子世帯)
以前、コインランドリー完備のマンションに住んでいたので抵抗はあまりありませんが、マンションの住人のモラルは問われます。信頼できる状況でしたら、私は自室にランドリースペースがなくても構いません。(40代/単身世帯)
仕事の時間上、朝早く、もしくは夜遅くに洗濯し干すことがあるため、共同の場所を有効に活用できなさそう。洗濯にある程度時間がかかるため、量のある洗濯物をいちいち共同場所まで運ぶのが面倒そう。(20代/単身世帯)
使い勝手もよくおしゃれなタイプが増えてきて、最近何かと話題の共同ランドリー(コインランドリー)ですが、例えば大物洗濯は共同ランドリーで、日常の洗濯は自宅で、とシーンによって使い分けたいというご意見が多いようです。
集合住宅内の共同ランドリーは、使用できる時間帯の配慮や、毛布などの大物に特化する、街中のコインランドリーとは異なる工夫をすると、利用度は高まるかもしれません。

持ち物や住まいのサービスについて

車の所有

レンタカーの利用

カーシェアリング(登録を行った会員間で、自動車を共同使用するサービス)の利用

家具・家電付きの住宅、シェアハウス、シェアルームに住んだ経験

家具・家電のレンタルサービスの利用経験

集合住宅「内」にあれば利用したい(または、利用したことがある)もの

集合住宅の「外」でも、近くにあれば利用したい(または、利用したことがある)もの

集合住宅に住むとして、その近隣住人と貸し借りをしたいもの、シェアしたいもの

「シェアハウス」や「カーシェア」など、「シェア」という言葉がトレンドになっていますが、実態は「シェアする」のはまだまだ一般的ではないようです。しかし、近隣の方とシェアしたいものの1位(71%)がDIY用具や脚立類というのは、「なるほど!」でした。工具類は必要だけど頻繁に使うものではないので、お金も収納スペースも使いたくない。しかし、シェアするのであれば、お金をかけた使い勝手の良いものがそろえられそうです。収納スペースだけでなく、作業するスペースも共有できるとよさそうですね。

あなたのお住まいで、モノの用途を別の用途と兼用して使っているものはありますか?とお聞きしました。(例えば、脚立の代わりにスツールを使っている。階段に本を置いて本棚にしている。ジョウロの代わりにコップを使用している。など)みなさんのアイデアをご紹介します。

本棚は持っていない。壁と床で代用できるから。テレビは持っていない。パソコンやスマホで代用できるから。ソファーは持っていない。ベッドで代用できるから。(20代・女性)
浴室内の洗面器・椅子を使用していない。カビやぬめりなどの温床になるし、浴室乾燥を行うときに邪魔なので。バスタブに腰かければ十分、洗面器なくともシャワーで十分。(30代・女性)
バスタオルは持っていない。フェイスタオルで代用できるから。(30代・女性)
カラオケルームのかわりに車。(40代・女性)
読書したい時の広い庭は持っていない。近くの河川敷でキャンプ用の椅子を広げて本を読むから。(30代・男性)
器をシンプルなものにし、料理に分けて使い分けない。(30代・男性)
目覚まし時計、オーディオはスマホで代用。(50代・女性)
トースターの代わりに魚焼きグリル。踏み台の代わりにお風呂の椅子(日中のみ使用、夜はお風呂で使う)。お風呂洗剤の代わりにシャンプー。(30代・女性)
アイロン台は持っていない。枕で代用できるから。炊飯器は持っていない。鍋で代用できるから。(30代・女性)
キッチンの水切りかごは場所をとるので、水切りかごは持たずに吸水マットを使う。(20代・女性)
キャンプ好きなのでキャンプ用品を室内でも使用しています。(30代・男性)
スーツケースを冬物衣類の収納ケースにしている。(30代・女性)
まとめ
一般的に、シェアしたり共同で使えるものは自宅のものよりも高機能であったり、スペースなら広くすることができる、というメリットがあります。今回のアンケートでわかったことは、共同で使える(シェアする)ものやスペースがあれば、自宅には全く必要ない、とはならない、ということですが、同じ用途のものでも、自宅にあるものとは異なる質のものをうまく使い分ける、というのが現実的なニーズのようです。
集合住宅は、建物だけでなく、「モノ」「設備」を共用することで、さらに「集まって住む」ことのメリットが活かせそうです。
何をどうシェアすれば、より快適に便利になるかについて、継続して考えていきたいと思いますので、今後もご協力お願いします。