窓の家 No.3
イメージしたのはオーベルジュ。ワインセラー、書庫、ゲストルームがある家
窓の家 | 2008.12.23
大きなピクチャーウインドーで切り取られた、信州の美しい山並みと表情豊かな雑木林。太陽は刻々と変化して、差し込む陽光は室内の白い壁に光と影を描き出します。
「イタリアの教会の光の動きが好きなんですよ」と語るKさん。
「トスカーナの一つ星レストランで、小さな窓の向こうに、丘の上の小屋が切り取られて見えたのが印象的でした。それが私の『窓の家』の原風景かも知れません」。
お仕事はイタリアンレストランのオーナーシェフです。お父様は建築家で、建築への造詣も深いKさんの「窓の家」を訪ねました。
「家を建てるなら建築家に頼むつもりでしたが、仕事柄、自由になる時間が少なくて、建築家とのやりとりは難しく、現実的には家を建てるのは無理かなと思っていました」。
もし、この土地と「窓の家」がなかったら家は建てなかっただろうとKさんは言います。「窓の家」との出会いは雑誌の記事。自分が考える理想の家と「窓の家」の考え方が重なったそうです。
「さっそくモデルハウスに出かけて、コレだ、と思いました。相性がぴったり合った感じです。それと並行してこの土地を見つけて、その時点で建てる家は『窓の家』に決めていました」。
あとは窓の位置をどこにするかだけ。風景をどう切り取るか。建設前の敷地に立って、建物の配置と窓を設ける場所を何度も検討したそうです。
Kさんは30歳で会社員を辞めてイタリア料理の修業から始め、10年前に自分のお店をオープンさせたそうです。
「イタリアが好きでしたからね。レストランはトスカーナの田舎風の一軒家のイメージなので、自宅は逆にモダンでスッキリした家が良いと思っていました。とにかく空が見える白い家が欲しかった」。
イメージしたのは家と言うよりオーベルジュ。メインの生活空間は2階で、キッチンに立つとピクチャーウインドー越しに美しい景色が目に飛び込んできます。大きなダイニングテーブルがリビングの中心です。「私にとって家のヘソは台所。自分の部屋もデスクはいらない。ダイニングテーブルが中心で、ここでお客さまをもてなし、料理を考えながら過ごす時間が幸せなんです」。
一方、1階にはワインセラーと書庫、お酒を飲んでクルマで帰れない客人のためにゲストルームが設けられています。書庫を独立させたのはリビングに書棚を置きたくなかったから。
「白い壁をできるだけ残したかった」とKさん。季節や時間で変化する光が窓から差し込み、白壁に影を映し出す様子も「窓の家」の楽しみの一つとKさんは言います。
「一つ一つは良いモノなのに集まると違和感が生まれることがありますよね。だからモノはできるだけ置かないようにしています。置くなら相性の良い無印良品。もともと無印のファンでしたから。カタログから選べるので時間がない私には重宝しています」。
来年は自宅を使った料理教室の計画もあるそうです。