vol.27 景色の家
「無印良品の家」で暮らしている方を訪ねて青森県三戸郡へ。
情報学研究者のドミニク・チェンさんが、美しい風景に佇む「窓の家」に会いに行きました。

施工例 | 2019.12.24

ダイアログ2

「家に会いに。」の前に

庭先のテントでピクニックランチ

チェンさん
こんにちはー。
夫・妻
ようこそ、お待ちしてましたー。
チェンさん
Yくん(長男)、こんにちは!
長男
……(モジモジ)。
チェンさん
あれ? おヒゲが怖いのかな。
シャイなので、初対面の方には……。
チェンさん
僕も小学生の娘がいるからわかりますよ。
ランチは外のテントに準備していますので、荷物を家に置いてテントへどうぞ。
チェンさん
はい。では失礼します。
玄関の土間が広いですねー。自転車とキャンプ用品がたくさんありますね。ひょっとして、今日のランチのテントや設えも、普段キャンプで使っているものですか?
そうですよ。
チェンさん、キャンプは興味ありますか?
チェンさん
あこがれだけはあります(笑)。あこがれが募ってテント買ってしまったのですが、まだ一度も開いていないです。
もったいない! キャンプ、楽しいですよ。
チェンさん
キャンプ歴はかなり長いんでしょうか。
えーと、3年くらいかな。
わりと浅いんです。
チェンさん
そうなんだ。道具がすごいから筋金入りかと思ってました。
二人ともはまるとのめり込むタイプなので。ブレーキかける役がいないんですよね。
この前はフェリーで北海道に行って、知床を3泊、キャンプしながら横断しました。
チェンさん
3泊も。いいですねー。
キャンプ用品メーカーのキャンプフィールドでは7泊したことありますよ。
チェンさん
え、7泊ですか。
5泊の予定があまりに快適で7泊。
お店もシャワーもあるし、WiFiも使えるんですよ。まあ、それはどうかと思いますけどね(笑)
チェンさん
たしかにね(笑)。

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妻・夫
では、テントのほうにどうぞ。

(荷物を置いてみんなで庭先へ)

チェンさん
うわー、楽しそうなランチですね。本格的なキャンプキッチンだ。すごい装備じゃないですか。この鍋は……。
地元の魚介類をつかったブイヤベースです。お料理をお願いしたのは、八戸市内にあるワインバー「origo」の豊川くんと、もう一人は、折箱のお料理を用意してくれた「澱と葉」の川口くんです。
では、りんごジュースで乾杯しましょう。
チェンさん
カンパーイ。Yくんも乾杯しようよ。はい!
長男・チェンさん
カンパーイ!!
チェンさん
それにしても、これ、お米の噛みごたえが最高です。うーん、これはおいしい!
川口さん
ありがとうございます。
長男
……ふ、ふりかけほしい。
妻・夫
!!
チェンさん
あー、そうそう。子供はふりかけ大好きだからね。娘もそうでした。最近は大人好みの味の食材や料理を少しずつ増やして、食べてもらうようにしています。今では、ぬか漬けなんかも喜んで食べてくれますよ。
あ! そうそう。チェンさんといえばぬか床!
チェンさん
ええ、ぬか床にすっかりはまっていまして、その勢いでぬか床ロボットもつくりました。スピーカーに質問するとぬか床が答えてくれるんですよ。
それ、見ました、見ました。NukaBot! すごく気になっていて。製品化の予定はあるんですか?
チェンさん
いまのところはまだなんですよね。いくらなら買いますか? ぶっちゃけベースで(笑)
ぶっちゃけベースですよねー。うーん、2万円以内、ですかね。
チェンさん
ですよねー。ですよねー。
妻・夫
……(どきどき)。
チェンさん
今だと〇〇万円くらいしそうな感じで……。
ひゃー!
チェンさん
その価格ならぼくも買わないと思いますよ。塩分濃度のセンサがまだ高くて。でも、5年後くらいにセンサの価格が下がると3万円くらいでできるかもしれません。
それなら買います! 
「そろそろかきまわしてね」とか「食べごろだよー」とか教えてくれるんですよね。
チェンさん
そうそう。「今日はおいしかったよ」とか「イマイチ」とか声をかけると、それに応じて食べごろを調整してくれたり。
機械学習の機能を搭載しているんですね。
チェンさん
そうです。ご主人はIT系と聞いていますが、機械学習系の仕事も?
ディープラーニングは少しだけ。どちらかというと仕事はインフラ寄りが多いです。
チェンさん
あー、大規模システム的な。オートスケーリングに機械学習使うんでしょうか。
そうですね。オートスケールされるインフラの上で、機械学習APIを利用したりしています。
うーん、まったくわからない。

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ランチの後はリビングでティータイム

チェンさん
お二人が地元に戻ろうと思ったきっかけは何だったんですか。
子供が生まれたことですね。都会より田舎で育てたいと思ったんですよ。それにお互いの両親とも、けっこう高齢なので、そのへんも考え合わせて地元に帰ろうと…。孫の成長を直接見てもらえるのも親孝行にもなるかなーと。
私の実家もここからクルマで5分くらいのところで、家畜運送と畜産農家の兼業です。いまは母がメインで牛の世話をしているんですが、私が帰って、母の手伝いをしたいなという想いもありました。
チェンさん
じゃあ、いまも。
はい。朝と夕方、牛のお世話をしていますよ(「家に会いに。」の表紙の牛です)。
このへんはITの仕事は少ないので、私はいまの仕事を辞めて、地元に戻ろうと考えていたのですが、お付き合いのある会社がこちらに事務所を開設してくれて、東京でやっていた仕事をそのまま八戸で続けてほしいといわれて……。それもうまく事が運んだ感じですね。もともとフリーランスだったんですが、いまは半分その会社所属で働いています。
ホント、ありがたいですよね。
もとの仕事を続けられるのは本当に嬉しかったです。でも、世の中の働き方は、そういう方向に動いているのかもしれないです。
チェンさん
とくにIT系の方はUターンして同じ仕事を続ける方が多いみたいです。行動の自由が高まっていますよね。いかがでしたか、この10ヶ月、東京を離れて働いてみて。
うーん、つい、やりすぎちゃうかも。
チェンさん
ひとりで集中できるからでしょうか。
サテライトで仕事してた先輩や、フリーランスの同業者からは、仕事場に自分一人だけで、まわりに人目がないと、自分の好き勝手できてしまうので、ずっと仕事を続けられてオーバーワークになるから、そこを気をつけてといわれていたんですよ。みなさんそうみたいです。集中が高まりすぎて。
チェンさん
僕はそうじゃない人の話も聞いたことあるんで(笑)。リモートワークになると気が抜けちゃって、とか。Kさんは逆なんですね。
そうですね。逆ですね。
チェンさん
東京と八戸で、仕事の感覚や環境の違いは感じますか?
それが、あまりないんですよ。隣に話ができる人がいるかいないか、それくらいの違いです。最近はチャットツールも発達してるし、Slack使ってやりとりしていると、東京とほとんど同じ。あとは、けっこう高性能なスピーカーを設置してもらっていて、東京とずっとつないでいるので、会議が常時つながっている感じで仕事できています。
チェンさん
「さぎょイプ」ってやつですね。
そうです、そうです。東京のオフィスの音声がいつも聞こえてきて、気配が感じられるのは、けっこう助かってます。たまにぼやきとかも聞こえてきますし。
チェンさん
「面倒くさいなー」とか。
そうそう(笑)
チェンさん
リモートワークにはコツがあるんですね。Kさんならではのリモートワークのスタイルができあがっている感じで、参考になります。

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お茶の準備ができましたよー。
川口さん
滋賀県のほうじ茶をどうぞ。お茶請けは鶴田町の栗の渋皮煮と「origo」さんのカヌレです。
チェンさん
ありがとうございます。カヌレは世界でいちばん好きなお菓子です!!
地元の紅玉を使ったカヌレだそうです。
チェンさん
りんごを使うのは珍しいですね。おいしいですよ、これ。
キッチンまわりもスッキリ整理整頓されてますよね。アイランド型のキッチンは設計者からの提案だったんですか。
そうですね。設計者さんからの提案です。
チェンさん
キッチンのガスコンロ、パワーがありそう。
そうですね。お湯が沸くのも早いんですよ。
チェンさん
私の妻もハイパワーのガスコンロは使い勝手がいいっていってましたよ。奥様は料理好きなんですね。
はい! 大好きです。
チェンさん
声のボリュームが上がりましたね。
料理はもちろんなんですが、最近、気づいたのは、実は調理器具や調味料を集めるのが好きなんだって……。調理器具マニアですね。
チェンさん
わかります。このフランスの鋳物のホーロー鍋は、わが家でも使ってますから。良い鍋はやっぱりいいみたいで、集めたくなるのわかりますよ。
いいですよねー。
チェンさん
それにしてもキレイに暮らしていますよね。
それはですねー、新聞や郵便物などは無印良品で買ったバスケットに入れたり、キャビネットにすぐしまうようにして、視覚的な雑音を減らして、なるべくスッキリ見えるように心がけています。
チェンさん
前からそんな感じだったんですか。
うーん、そうでもないかな。東京で住んでいたマンションはモノで溢れいて、新聞や郵便を置きっ放しでも気にしていなかったかもしれないです。
チェンさん
じゃあ、ここに引っ越してから「このままではダメだ」と。
そうですね。スッキリ暮らしたいという気持ちは以前からあったので。
新居に移ってから持ち物も相当減らしましたよ。引っ越しのときは東京からダンボール60箱くらい送ったんですが……。
チェンさん
え、60箱も?!
そのうちの開梱したのは半分くらい。それで十分、快適に暮らせていますからね。未開封の箱が隣の倉庫に積まれてます。
チェンさん
本も減らしたんでしょうか。部屋に本が溢れていないですよね。
そうですね。自分はデジタルで読んでますから。でも料理の本なんかは……。
私は紙派なので、厳選した料理本をパントリーにしまっています。
チェンさん
なるほど~。

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