他人の家をのぞき見(5) 都心部の木造狭小住宅

初心者が家を買う | 2010.9.7

FUJI 男性・独身。30歳代後半。
私が「実際に家を購入するまで」の顛末記を連載することになりました。
アタマの中で考えているだけではラチがあかないので、他人が買った物件を見に出かけます。
いずれ、他人の家ではなく、自分の家の候補を見に行かなくては…。



みなさん、こんにちは。FUJIです。

今回は、私の友人のYさんが都心部に家を購入した、というので見に行ってきました。上の写真は、その友人の土地です。

この連載コラムの第1回から第8回まで、個人的にいろいろと考えたのですが…、今、私の頭の中は、こんな感じになっています。

  • 予算さえ許すのであれば、間取りが自由になる注文住宅がベストだ
  • 注文住宅が予算的に厳しければ、間取りを変更できる中古マンションを購入して、間取りを変更したい
  • 朝の通勤ラッシュは苦手なので…、会社まで自転車通勤ができるくらいの場所がいい


まぁ、これは、あくまでも「理想」なんですけど…、それにしても「都心部に、木造の、狭小住宅」という、私の理想に近いカタチの家を購入した知人は、実にうらやましい…。

というわけで、私の理想に非常に近いので、いろいろ参考になるところも多かろう、と期待して出かけました。

ちなみに、ちょうど地鎮祭をするタイミングだ、ということで、地鎮祭の日に私も部外者なのにお邪魔し、その後、Yさんご夫妻にいろいろと話を聞きました。

建築条件付きの土地、って?


さて、Yさんが購入した土地ですが、東京都 JR山手線のターミナル駅から、徒歩5分強くらい、という、すごい場所です。友人いわく、「土地がすごく高かった」とのこと。そりゃそうですよ。

元々、何かが建っていた土地を4分割して、狭小住宅用の狭い土地にして販売されていたんだそうです。Yさんは今は夫婦おふたり。今年の後半にお子さんが生まれるご予定なんだとか。「郊外の土地とか、マンションとか、とにかくいろいろ見に行ったんだけど、最終的には、小さくてもいいから、自分で設計できる注文住宅がいいなぁ、と思った」のだそうです。

Yさんご夫妻が家さがしにかけた時間は、3年以上とのこと。とにかく週末になると、奥様が嫌がるダンナさんを引っ張って、建売住宅やマンションの展示場などを巡ったそうです。そういえば、ちょうど1年ほど前にも、私の自宅の近所の路上でYさんご夫妻に偶然出あったことがありました。そのときも「マンションを見に行った帰り」といってましたっけ。とにかく熱心にさまざまな物件を見て回ったそうです。

「もう、すっかり不動産のことに詳しくなっちゃったんだよねぇ。でも一方で、ウチのダンナは、家のこととか全然興味がなくて…。すぐに『なんでもいい』って言うのよ。今の物件に決めるときも、『オマエがいいんなら、いいんじゃない』だって……。」

家のことを決めるときは、夫婦で熱意にばらつきがあったり、好みが違ったりするのは、当たり前といえば当たり前のことです。まぁ、こういうふうに、どちらかが引っ張って決めていくものだと思います。

「今回購入した土地なんだけど、建築条件付き、っていうやつなんだよね。私はそこが引っかかってたから、ダンナに相談したんだけど、まぁ、最後は私が決めちゃった」

建築条件付き? それって何ですか? そういえば、以前、家を買ったと聞いたときには、建売住宅を買ったのかな、と思っていたんですけど?

「建築条件付き、っていうのは、土地を買うときに、同時に、どの工務店が家を建てるかが指定されている、っていうことなんだけどね。」

ふむふむ…。

「建築条件付きの土地、って、決して珍しくはないよ。いろいろ土地を見て回ったけど、けっこうな割合で、建築条件付きの物件があったもん。自分で工務店を決めることができないわけだから、土地を買うかどうか決めるときに、同時に、指定されている工務店の評判とかをいろいろ調べるのが大切だと思うよ」

なるほど…。確かに、今の時代、ウェブなんかでそういうのも調べられますよね。まぁ、あとは、その工務店がこれまでに実際に建てた物件を見せてもらう、っていうのも大切ですよね。

「そういうのが面倒くさい、と思うようだったら、建築条件付きの土地はおすすめしないわぁ。」

狭小住宅であることのメリットは?


しかし…、それにしてもこんなJRのターミナル駅からすぐのところの土地なんか買って…、高かったでしょうに。

「でもね、そういう土地のほうが、将来、もし子どもに譲るときにもいいかな、と思って。こういう都心部のほうが、将来も値崩れしにくいかな、と思うのよ。日本は今後、人口も減っていく一方だし、特に若い世代の人口割合が減るわけだから、今みたいに、新築の家がどんどん必要になる、っていう時代じゃなくなると思うのね。そうなっても、都心部であれば、利便性が高いから、値下がりしにくいと思うわけ。もし、子どもが『いらない』っていっても売ればいいわけだから。」

でも、もう少し郊外だったら、同じ価格で、庭付きとかにできたかもしれないじゃない?

「大きな家とか、庭とかって、それはもちろん魅力的なんだけど、大きな家を建てるのも、大きな庭をつくるのも、やっぱりコストがかかるわけ。狭小住宅のよさって、建築費用が少なくてすむ、っていうこともあるのよ。それに、環境のことを考えると、できるだけ少ない資材で家を建てるほうがいいわけでしょ?」

それは僕も同意します。

「あと、購入代金の総額のうち、土地の価格が占める割合が高いほうが、もし、どうしても家を手放さなくてはならなくなったときにも、いいかな、と思うのね。いろいろ調べてみると…、中古住宅って、建物の価値ってほとんど認められないじゃない。土地の価値しか認められないというか、建物の価値はすぐになくなってしまう、というか。だから、予算のうち多くを土地に投じたほうが、将来的にも安心、って」

それはそうかも。長期優良住宅認定制度で、この先、建物の価値は変わっていくかもしれませんが。少なくとも今は、売ることを考えるとそうですね。

「ただ、とにかく狭い土地だから、結局3階建てにするしかなくて。階段も決して緩やかじゃないから、老後は3階まで上がり降りするのがたいへんかも…。そうなったら、子どもに家をゆずって、小さいマンションでも借りようかな、ってダンナとは話してるけど。」

あと、都心部に住むときの、住環境についてはどう思ってるの?

「私もダンナも、今は都心部に住むのが好きだし。ダンナはサラリーマンだから、あと20年は毎日通勤があるから、あんまり遠くはちょっと、ということで…。この土地を買ったときは、まだ子どもができてなかったから、子どもには聞いてないんだけど(笑)、都心部だから住環境が悪い、ってことはないと思ってるの」

確かに…。駅の近くには、都心部でも屈指の広さの自然園があるし…。そういう意味では、東京に住む限りは、都心部と郊外で、それほど住環境には差はないかもしれませんね。



ひとしきり話したあと、Yさんが持ってきてくれた家の図面を見ながら、間取りについてもいろいろ聞きました。

狭小住宅の間取り、やはり参考になることがありました。というわけで、次回はYさんの家の間取りについて、です。