ほんの少し先の未来の暮らし。

住まいのかたち | 2019.11.19

「職場に通う」ための「家のかたち」
統計局の調査によると、働いている日本人のうち、いわゆる会社員(雇用者)の割合は、ここ20年くらいずっとほぼ90%近く、45年前の1975年で約75%となっています。
つまり昔から、毎日職場まで通勤するのがほとんどの日本人の「働き方」というわけです。
となると、「家」の場所は、当然職場に近いところに住むことになります。
30年くらい前までは、1時間前後も「通勤地獄」に耐えながら通わなければならない郊外(ベッドタウン)の住宅地が人気でした。
そのころまでの都市部は、自動車の排気ガスや騒音、スモッグなど「住む場所」というイメージからは程遠かったこと、そして何より費用の面で、当時のより良い住環境を手に入れられる家のかたちは、新しくつくられた「郊外の住宅地」だったのです。

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ところが1990年代には、耐震構造や防火などの高層建築技術が進歩し、都市部のオフィスが急速に高層化されて新たなスペースを生み、自動車、工場の騒音や排気ガス抑制技術などの進歩により、都市部でも住宅地としての環境が整いはじめます。
さらに、1997年に容積率の緩和が盛り込まれた建築基準法が改正され、それまで住宅の少なかった都市部に高層マンション、いわゆるタワーマンションが建てられるようになり、それに伴い都市部に次々に商業施設やオフィス、住宅の複合ビルが立ち並ぶようになりました。
より新しい「家のかたち」の誕生です。

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この半世紀ほどに生まれた2つの新しい家のかたち、「郊外の住宅地」と「都市部のマンション」は、まったく別のかたちをしていますが、「郊外の住宅地」は庭や家の広さなどを得るために通勤時間を犠牲にし、「都市部のマンション」は通勤時間を短縮するために庭や家の広さをあきらめる、というように「職場に通う」という大前提を中心に考えられている、という点では、同軸上にあるといっていいのではないでしょうか。

少しだけ未来の、自由な暮らし
ここでほんの少しだけ未来に目を向けると、IT技術のさらなる進化により、毎日職場に行かなくても仕事は十分できるようになってきています。各自の仕事はノートパソコン1台あれば、ほぼこと足りますし、会議さえも電子会議でまかなえはじめています。いわゆるリモートワーク(在宅勤務やコワーキングスペースなど自由な場所での仕事)は、実際に採用している企業も増えており、すでに未来ではなくなっているといってもよいかもしれません。
このいわゆる働き方改革と未来の交通技術をあわせれば、家の場所が「通勤」という呪縛から解かれ、いまよりずっと自由な「家のかたち」なるのではないでしょうか。

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そうなると、これまで通り都市部に住んで職場に通勤する人もいれば、いままでは考えられないくらい都市部から遠く離れた景色の良い遠隔地で、仕事とプライベートの境なく暮らす人も出てくるでしょう。故郷に帰って親の近くで暮らす人も増えそうです。

住む場所が自由になると、家の所有形態や家のかたちも自由になります。永く住みたい土地を買って家を建てる人も、いろいろな家を借りて日本各地を転々とする人も、場合によっては自動運転のキャンピングカーが「家」なんていうこともあるかもしれません。

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無印良品デザインの自動運転シャトルバス「GACHA

このように、いまよりほんの少し先の未来の「家のかたち」は、いままでにないくらい自由になりそうです。
家のかたちが自由になるということは、暮らし方や住む場所が多様化するということです。この暮らし方の多様化は、郊外や田舎の過疎化を救う切り札になるかもしれません。

みなさんは、「ほんの少し未来に、自由な場所に住めるとしたら」どのような家を考えるでしょうか。
ぜひ、ほんの少し先の未来の、新しい家のかたちについてご意見・ご感想をお聞かせください。お待ちしております。

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