家を建てるのはいつ?(後編)
住まいのかたち | 2013.5.21
前回のコラムでは、家を建てるタイミングは「人それぞれの事情」と「世の中の事情」があって、今は「世の中の事情」が大きく動いていること、そして土地との出会いは人の「縁」と同じで、見つかる時間が読みにくいため、「世の中の事情」に間に合わせようと思ったときに手遅れにならないように、余裕を持った家づくりをはじめませんか、というお話をしました。
このコラムのタイトルは、「家を建てるのはいつ?」ですが、実際に家を建てるのは大工さんであって、建築主がやらなければならないのは、大まかにいうと以下の4つを「決める」ことです。
(1)いつ、誰と住み始めるかを決める
(2)いくらくらいの支払いになるのか、返済計画を決める
(3)どこに住むか(建設地)を決める
(4)どんな家に住むかを決める
今のように、消費税率の改定や景気対策で世の中が大きく動いているときは、(1)いつ、誰と住むか、(2)返済計画は、専門家のアドバイスで比較的すんなり「今でしょ」と決める方が多いかもしれません。
そして、「なるほど、今年の9月末日までに家を契約すれば良いのだな、では(3)どこに住むか、の土地をまず決めて、それから(4)どんな家に住むか、をじっくり検討しよう」と考えるのが通常の家づくりの流れです。実はこの(3)どこに住むか、でいったん家づくりが足止めになる場合があります。実際に土地を決定する大きな要素は「場所、価格、地形」。これら全てを満足する土地との「出会い」が、そう簡単ではないからです。
しかし、全くゼロの状態から始めて、土地の決定から建物の契約まで、すんなり決められる方もいらっしゃいます。
Aさんの場合は、昨年12月に「初めての家づくり講座」を受講され、翌年2月に土地を契約、4月中旬に建物の契約をされました。所要期間4ヶ月でした。
最も早いケースのBさんの場合、昨年5月初旬に同じく「初めての家づくり講座」を受講し、なんと2週間後に土地の手付金を入金、その5月中に建物も契約されました。所要期間はなんと1ヶ月!でした。
このように、「水もの」の土地探しをあっさりクリアする方は、実は、家を建てるために決めなければいけない4項目「いつ、いくらで、どこに、どんな家」を順に決めるのではなく、まず「どう暮らすか」を先にイメージすることができたからだと、私たちは考えています。
土地探しは人の「縁」のようなもの、と言いましたが、こちらが明るく心を開いていれば素敵な出会いが増えるように、「どう暮らしたいか」という最小限の暮らしの「箱」としての家のかたちが見えていると、土地もすんなり決まることが多いのかもしれません。
自分たちの望む暮らしを「これで十分」だという最小限の暮らしの「箱」が入ればいいという視点でみてみると、絡み合っていた糸がすっとほどける様に、全てが解決してしまうのです。
家という人生で一番大きな買い物を、あせって失敗したくないと誰もが思うでしょう。消費税率アップに間に合わせるために土地探しをしても、良い土地に巡り合わないかもしれないし、逆に失敗する恐れがあるなら、今すぐに慌てて動くのはやめておこう、と二の足を踏む方もいらっしゃるかもしれません。そもそも土地も決まっていないのに、今からではとても無理、とあきらめている方も多いかもしれません。
消費税率アップの前に家を建てた方がお得かどうかは、家の価格、資金計画などが決まらないと正確には計算できません。だからといって、価格を決めるために「どんな家」が良いかをあわてて考えるのではなく、まず自分たちの豊かな暮らしとはどういうことなのか、このくらいの「暮らしの箱」で十分ではないか、ということをご自身や家族と確認しあうことが、「急がばまわれ」のことわざ通り、一番近道で、失敗のない方法だと思います。「家を建てる」ということは、「家族の暮らしをつくる」ということなのです。
いずれ「家を建てよう」と考えている皆さん、世の中が大きく動いている今、「どう暮らすか」を私たちと一緒に考えてみませんか?