中庭のある家
住まいのかたち | 2013.1.22
今回は、中庭のある家について考えてみます。
家の外の空間を家の内部に引き込むには、中庭という方法があります。外からの視界はさえぎりながら、屋外でのびのびと過ごせる空間を考えてみました。
中庭をダイニングとリビングの間において、もうひとつの「外のリビング」として、またダイニングとしても利用できるようにしてみました。季節のいい時には、すべてのドアを開いて、部屋と一体に使えます。中庭は屋外ですが、床の高さを部屋と同じにすることで、部屋の延長のように見えて空間が広がります。
外でお茶を飲んだり、本を読んだり、昔の縁側のような空間として使う事もできるでしょう。
現代の暮らしは、外部と内部を明確に分けるように家づくりは進んできました。でも昔の日本の家はその間のところが暮らしの豊かさにつながっていたようにも思います。
農家の家であれば玄関を入ったところが大きな土間になっていたり、庭側に設けられている縁側、町屋であれば通り庭と呼ばれる玄関から家の反対まで抜ける細い土間空間、採光や通風を確保する坪庭、そこに設けられた濡れ縁など、それらの空間は作業スペースになったり、人との交流の場所になったり、そしてたまには一人でしみじみと外の景色を眺めたりとする場所でした。
街の中の風景は、意外と殺風景なもの。中庭のように閉じた空間であれば、そこに眺めのいい、自分らしいしつらえをすることも簡単にできます。
家の外の空間を家の内部に引き込むこと、決して大きくない家をより広く快適に過ごす知恵の1つかもしれません。
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