夫婦の寝室

住まいのかたち | 2008.7.15

今回の「みんなで考える住まいのかたち」のコラムは「夫婦の寝室」についてです。
2008年6月に実施したアンケートの結果のまとめでは、総括として4つの間取りを提案したところ、皆さまからたくさんのご意見・応援をいただきました。ありがとうございました。
今回は少し変わったプランを見ながら夫婦の寝室について皆さまと一緒に考えてみたいと思います。

現代の生活を見ていると、夫婦であっても、生活の時間帯もまちまちですし、寝る前にゆっくり部屋で本を読んだり、音楽を聴いたりと、自分の時間をもちたいというのも自然です。
そうした視点から夫婦の部屋をそれぞれ持つというのはどうでしょうか?
だからといって夫婦仲が悪いという訳ではないですよね。お互いに自立しているからこそ、それぞれの空間や時間を尊重し合うというのも、現代の暮らしのかたちとしてありそうです。

延床面積112m²の2階建ての戸建てです。

1階はリビング、ダイニングをゆったりとっています。風呂や洗面も1階に配置しました、2階には個室を4つ、夫婦それぞれの部屋と子供部屋2室を配置しました。家族4人が2階のそれぞれの部屋で寝るようになっています。「無印良品の家」のように8m²ほどの大きな吹き抜けもつくっています。

少し歴史的に考察してみましょう。現在の夫婦は一緒の部屋で寝るのが普通ですが、夫婦が同じ部屋で仲良く眠るというのは、この50年ぐらいの話です。1950年代当時、住宅公団の間取りが出てきたときには「就寝分離」「食寝分離」ということがテーマになっていました。
それまでは、寝るときは家族が一緒に寝ていたので、まずは一人で寝る空間を確保しようというスローガンです。

また寝るところと食べるところも一緒でしたので、それも分けようということでダイニングキッチンという空間ができました。それまでは「ちゃぶ台」をかたづけて布団を敷いて寝たのです。
こうした時代背景によって、2LDKとか3LDKというような呼び名が生まれました、その時の2とか3は個室のことをあらわし、夫婦は一部屋なので個室の数は、家族数から1を引いた数になります、こうしてnLDKという呼び方は日本の住宅の間取りの呼び方として定着していったのです。

さて、上記の間取りに戻ります。
限られた間取りで夫婦だけでなく、子供部屋も最小限効率よくまとめ、勉強する場所だけ共同のスタディーコーナーをつくってみました。家族は完全なプライバシーを持つ空間と、適度に家族の間でコミュニケーションをはかる場所をわけてみました。
ホテルのような個室ユニットタイプを持つ家。現代の暮らしのかたちとして皆さまはどう思いますか?

2008年7月15日配信 無印良品の家メールニュース Vol.93より