中古マンションは、築何年までなら安心ですか?

リノベーションなんでも相談室 | 2026.4.7

ご質問

中古マンション購入を検討しているのですが、古いものへの不安も少し感じています。築何年くらいまでなら安心して住めるのでしょうか

中古マンションを探していると必ず気になるのが「築年数」です。築年数の数字が大きくなるほど不安に感じる方も多いのではないでしょうか。実際のご相談のなかでも「できるだけ新しい方が安心でしょうか?」というご質問を受けることもありますが、マンションの良し悪しは築年数だけで決まるものではありません。築年数が経っていても安心して暮らせるマンションと、築年数が浅くても不安なものとでは、どのような違いがあるのでしょうか。

今回は、自身も現在築43年の中古マンションで暮らす、マンション管理士で宅地建物取引士の“こっしー”が、築年数の経ったマンションの見極め方について解説してまいります。

重要なのは、耐震性と管理状態

まず、大前提として確認しておきたいのが「耐震性」です。地震大国の日本ですから、1981年6月の建築基準法改正で定められた耐震基準(いわゆる新耐震基準)を満たしているか否かは重要な指標となります(図1)。それ以前の基準(旧耐震基準)で建てられたマンションのすべてが危険というわけではありませんが、万が一大地震が発生した際の安全性を確保するため、あるいは、将来的な資産価値の下落リスクを回避するためには、新耐震基準を満たしているものを選びたいところです。

図1. 耐震基準の変遷

実際、住宅ローンを組む際の要件として「耐震基準」を考慮する金融機関も増えており、大手の金融機関においても、旧耐震は融資NGというケースも増えてきました。同様に旧耐震NGという基準を設ける金融機関が今後増えていくことも予想されますから、資産を守る意味合いでも耐震基準は意識しましょう。

もうひとつ重要な要素となるのが「管理状態」です。マンションを長く健全な状態に保つためには、適切なタイミングで必要な修繕工事を行う必要があります。たとえば、外壁等の防水の工事、電気設備の更新、給排水管の更新など、快適で安全な暮らしを守るためにやらなければいけないたくさんの工事があるのです。それらを実施するためには当然お金が必要となりますから、長期的な修繕計画を立て、そこから必要な修繕費用を割り出し、修繕積立金というかたちで毎月しっかりと貯めていくことが大切です(図2)。

図2. 長期修繕計画の一例

実際、私が暮らす築43年のマンションでは、玄関ドアや窓サッシの交換、共用給排水管の更新などの必要な修繕工事がきちんと行われており、生活する中で不安を感じることはほとんどありません。最近では、「管理計画認定制度」や「マンション管理適正評価制度」といった、管理状態を客観的に表す取り組みも普及が進んでいますから、築年数だけでなくどのように維持管理されているのかという点にも目を向けてみてください。

見えない部分の劣化は、リノベーションで解決する。

つぎに考えたいのが、お部屋の中身です。マンションの適切な修繕工事によってコンクリートや共用の給排水管が健全な状態になっていたとしても、たとえば自室の床下を通る配管・配線、壁や床の下地などについては、居住者自身が更新しなければ古いままになってしまいます。一般的なリフォーム工事では、壁紙の貼り替えや設備の交換などの表面的な改修を行いますが、給水管のサビや排水管からの漏水など、見えない部分の劣化に対して根本的な解決をすることはできません(図3)。

図3. 共用排水管の漏水の様子

以前のコラム「配管は古いままですか?」でご紹介したように、1990年代以前のマンションではサビや腐食劣化が起こりやすい配管が使われていることも珍しくありませんから、築年数によらず安全に暮らせる環境を整えるためには、室内の給排水管の全面的な更新を行うことがおすすめです(図4)。

図4. 配管材料の種類と変遷

中古マンションも、性能で差がつく時代に。

さいごに、これからのマンション選びにおいて欠かせないのが「性能」という視点です。2025年から新築住宅では省エネ基準への適合義務化が始まり、2026年度の税制改正では、中古住宅の性能向上推進が重要視されるようになります。ここ数年のマンション市場では、「ZEH水準などの性能が高い新築マンション」VS「性能が低い(計算をしていないので性能がよくわからない)中古マンション」という対立軸がありましたが、これからの時代は、中古住宅においても一定の断熱・省エネ性能を満たすものについては正しく評価されるようになるのです。以前のコラム「2026年は、中古マンションを選ぶ人がますます増えるのでしょうか?」では、国が「中古シフト」を本格化させていることについてもご紹介しておりますから、あわせてご参照ください。

築何年なら安心か、という問いに対する答えとしては、築20年でも30年でも40年でも、
・現行の耐震基準に適合している(耐震補強をしたものも含め)
・適切な維持管理がなされている
・住戸単位での省エネ性能が担保されている
という3点を満たすものであれば、安心して暮らせると考えてよいでしょう。今後10年、20年と時を経るごとに、想像以上に高経年のマンションが当たり前の世界になりますから、そのことも意識しながら失敗しないマンション選びをしてみてください。

今回は、中古マンションは築何年までなら安心かということについて解説しました。マンションが「築年数」で評価される時代から、管理状態や省エネ性を含めた「質」で評価される時代へと変化しつつありますから、築年数にとらわれることなく、よいマンションを見極めることが大切です。なかには、お世辞にも買うべきとはいえないマンションも存在しますから、営業トークや勢いに任せてマンションを選ぶことがないようにお気を付けください。

無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、価値あるマンションをご一緒に選ぶところから、資金計画・設計・施工まで一気通貫でリノベーションサービスを展開しております。ご興味をお持ちの方は、リノベーションセミナーや相談会、見学会にぜひお越しください。

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“こっしー”プロフィール

無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。

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