UA値とは、なんですか?

リノベーションなんでも相談室 | 2023.5.22

ご質問

家づくりやリノベーションについて調べていると、断熱性能を示すUA値という指標があることを知りました。UA値とはどのようなものなのでしょうか

社会的な環境意識の高まりを受け、住宅においても性能を意識する人が増えているように感じます。2025年からは新築住宅の省エネ義務化も始まりますから、これからの住まいづくりにおいて、住宅の性能は無視できるものではありません。気密性能を表すC値、日射取得率を表すη値などいくつかの指標があるなかで、断熱性能を表すUA値とはどのような指標なのでしょうか。

今回は、無断熱住宅から高断熱マンションに住み替えたことで性能の重要性を実感した、宅地建物取引士でマンション管理士の”こっしー”が、断熱性能の指標であるUA値について解説してまいります。

外皮・平均・熱貫流率

「UA値とはなにか」というご質問ですので、今回は少しかたい内容になりそうですね。なるべくわかりやすく解説していこうと思いますので、お付き合いください。ということで、まずはご質問いただいたUA値の基礎的なところから解説をはじめます。

UA値(ゆー・えー・ち)は、日本語では「外皮平均熱貫流率」と表現される断熱性能を示す指標であり、熱貫流率U値に平均(Average)を示すAが添えられたものになります。その名の通り、建物の外皮の、平均の、熱貫流率を示しています。外皮とは、屋内と屋外を隔てる床・壁・天井や、窓・玄関ドアといった開口部を意味します。マンションの場合は、上下左右の住戸との境となる部分も含まれますね。平均とは、部分ごとに異なる熱貫流率を足し合わせて外皮面積で割ったものであることを示しています。そして、熱貫流率というのは、熱の通しやすさを表す指標です。つまり、建物全体(またはマンションの一室)における、壁や窓からの熱の侵入しやすさ(夏季)・熱の逃げやすさ(冬季)を数字で表したものということになります

熱貫流率についてもう少し詳しく説明すると、屋外の方が温度の高い夏季においては、屋外から屋内への熱の侵入が図1の矢印の向きに起こります。図1を例にとると、外気と壁との熱伝達、壁の熱伝導、壁と室内の空気との熱伝達という流れで熱が移動しますが、それらを含めて表現したものが熱貫流となります。そして、室内外の温度差を1℃、壁の面積を1m²とした場合の、単位時間あたりに移動した熱量を熱貫流率と呼ぶのです。数字が小さい=熱の移動が少ないということですから、熱貫流率の数字が小さい方が断熱性能は高いということになります

図1. 夏季における熱の移動のイメージ

UA値の目安

家づくりの実務者以外であれば、UA値の基礎について、ここまでの説明を理解していれば十分でしょう。むしろUA値の数字を見てどのように判断すればよいのか、目安を知ることの方がよほど重要かもしれません。表1には、品確法により定められた断熱等性能等級の基準を示しています。東京や大阪などの大都市の大半は6地域に分類されていますので、ここからは6地域を基準として説明を進めます。

表1. 断熱性能等級におけるUA値の基準

地域区分 1地域
(名寄など)
2地域
(札幌など)
3地域
(盛岡など)
4地域
(長野など)
5地域
(仙台など)
6地域
(東京など)
7地域
(福岡など)
等級7 0.20 0.20 0.20 0.23 0.26 0.26 0.26
等級6 0.28 0.28 0.28 0.34 0.46 0.46 0.46
等級5 0.40 0.40 0.50 0.60 0.60 0.60 0.60
等級4 0.46 0.46 0.56 0.75 0.87 0.87 0.87
等級3 0.54 0.54 1.04 1.25 1.54 1.54 1.81

いくつかの等級があるなかで、2025年から新築住宅で適合義務化がはじまる等級4がひとつの目安となります。このUA値0.87よりも数字が大きい=断熱性能が低いとなれば、省エネ基準から置いていかれた住まいとなってしまうのです。戸建住宅の場合であれば、等級4、等級5(UA値0.6)はクリアして当たり前、等級6(UA値0.46)もできるだけクリアしたいというのが多くの実務者の思いでしょう。

一方で、UA値が万能な指標でないという点も理解しておく必要があります。戸建住宅でもマンションでも、同じUA値であれば同じ温熱環境になりそうなものですが、実際はそうではありません。仮にUA値が同じであれば、マンションの方がより快適な温熱環境になるのです。図2は、断熱性能と冬季の最低の体感温度の関連を示していますが、UA値が0.87(等級4)のとき、戸建住宅の最低室温は10℃を下回らない程度となります。同じ0.87でも、マンションの場合はおおむね15℃を下回らない水準となっており、温熱環境に大きな違いがあることがわかります。戸建住宅とマンションを並列に評価できる指標ではないという点は頭の片隅に留めておきましょう。

図2. 戸建と集合住宅の外皮性能水準(HEAT20活動報告より引用)

UA値を向上するための工夫

最後に、リノベーションで断熱性能を向上させるための工夫について考えていきます。図1からもわかるように、外気と室内を隔てる壁、あるいは窓の性能を高めて熱を通しにくくすることが有効です。図3では、簡略化したものにはなりますが、壁や窓への断熱改修の効果の一例を示しています。

図3. 断熱改修による性能向上

古い団地などで見られる無断熱状態の壁でも、内側に断熱材の施工を行うことで壁の熱貫流率は4.1から0.67へと飛躍的に向上します。また、熱を通しやすい単板ガラスのアルミサッシでも、部屋内にインナーサッシを設置することで、窓の熱貫流率は6.51から2.26まで改善します。このように、各部分での工夫の積み重ねによって、建物全体の断熱性能であるUA値も向上するのです。さらに、断熱材の厚みを増したり、床や天井にも断熱施工をしたり、高性能なインナーサッシを利用したりすることで、さらなるUA値の向上も期待できます。コストや意匠性も勘案して、最終的にどこまでやるかを決めればよいでしょう。

今回は、外皮平均熱貫流率UA値について解説しました。具体的なUA値の計算方法や各物質の熱伝導率など、気になりはじめるときりがない分野ではありますが、まずは全体感をつかんでいただけたようであれば幸いです。もっともっと知りたいという方は、国の資料や高性能住宅関連の書籍などで知識を深めてみてください。

無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、温熱シミュレーションに基づき、断熱材やインナーサッシによる断熱改修を全戸で実施しています。ご興味を持たれた方は、リノベーションセミナーや相談会にお越しください。

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“こっしー”プロフィール

無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。

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