給気口は閉めてもよいのでしょうか?
リノベーションなんでも相談室 | 2023.1.31
気密性の高い住宅では、計画的な換気が必要であることを耳にしました。給気口は常に開けておくべきなのでしょうか。それとも、時には閉めてよいのでしょうか
室内の良好な空気環境を維持するためには、外の新鮮な空気を連続的に取り込むことが大切です。ところが、私の実家のことを思い返すと、窓の脇にある給気口を粘土でふさいでいた記憶がありますし、中古マンションの内覧に行くと、同じように給気口をふさいだり閉じたりしているケースもよく目にします。果たして、マンションの給気についてはどのように考えればよいのでしょうか。
今回は、低性能から高性能まで幅広く居住経験のある、宅地建物取引士でマンション管理士の”こっしー”が、給気や換気の考え方について、解説してまいります。
給気・換気の基礎
まずは、住宅における給気や換気の必要性という点について考えてみましょう。人間は生きている限り呼吸をしますから、絶えず室内の空気を吸って、二酸化炭素を含む空気を吐き出します。それだけでも、放っておけば室内の空気を汚していくことになるので、換気が重要だということは直感的にご理解いただけると思います。新型コロナウイルスの感染拡大以降は、換気状況を示すためにCO2モニターを設置する店舗も増え、より換気についての意識も高まっているのではないでしょうか。
建材などから発生する化学物質による健康被害、いわゆるシックハウス症候群が社会問題になったことを受け、2003年7月からは24時間換気が義務化されました。住宅においては2時間で室内の空気が入れ替わるように計画的な換気をすることが定められ、常時機械的な換気を行うことが求められるようになりました。給気も排気も機械的に行う第一種換気方式、排気のみ機械的に行う第三種換気方式が住宅で用いられますが、多くのマンションでは第三種換気方式が採用されています(図1)。
給気口は、常時開放が原則
そもそも、古い木造住宅のような隙間だらけの住宅では、それほど計画的な換気について考える必要がありませんでした。隙間から勝手に空気が出入りするので、とりあえず新鮮な空気が室内に入る状態にはなっていたわけです。ところが、排気も給気も自然に任せることになるので、空気の淀みが発生したり、夏は暑い空気・冬は冷たい空気が勝手に入ってきたり、隙間から虫が入ってきたりと、住まいとして快適な環境とはいえないものでした。
マンションのような鉄筋コンクリート造で隙間が少ない建物では、空調効率が高く、計画的な換気がしやすいという大きな利点がある一方で、油断すると換気が不十分になるおそれがあります。第一種換気であれば、換気設備は決してオフにしてはいけませんし、第三種換気であれば、換気扇の常時運転と給気口の開放を常にセットで行う必要があります。私の実家のように給気口を塞いでしまうというのはもってのほかで、換気不足による空気の汚染や空気の淀みによるカビの発生などのリスクが高まってしまうのです。
もちろん、頻繁に窓を開けて換気をするという解決策もあるでしょうが、せっかく空調機器で暖めた/冷やした空気が逃げてしまうので、どの季節でもできることではありません。家の中を見渡して、もしも給気口がしまっているようであれば、ぜひ開けに行ってください。
それでも、時には閉めたいことも
それでも、どうしても給気口を閉めたいと思うこともあるかもしれません。ここからのお話は必ずしも推奨できるものではないという前提にはなりますが、対応策をご紹介します。給気口を閉めたい場面というと、給気口から入る外の音が気になるとき、排気ガスや花粉の侵入が気になるとき、寒さが気になるときなどが考えられますが、それぞれどのように対策すればよいでしょうか。
音が気になる場合は、消音スリーブ(図3)と呼ばれる商品が世の中に流通しておりますので試してみてもよいかもしれません。給気口に入れるスポンジ状の吸音材なのですが、ネット通販などでも比較的安価に購入ができ、取り付けも容易なので試しやすいものになります。給気口の直径にいくつか種類があるのでお気を付けください。
排気ガスや花粉の侵入が気になる方は、フィルター付きの給気口を選択するとよいでしょう。花粉対策を謳ったものなど、いろいろな商品があります。現状フィルターが付いていない、または付けられない給気口であれば、防虫網に不織布や市販のフィルター(図4)をかませてみるのもよいでしょう。使用していくうちにだんだん汚れてきますから、フィルターの定期的な清掃・交換をお忘れなく。
冷気が気になるという場合、コールドドラフト軽減型の給気口という商品もあります(図4)。冬場の冷たい空気は下へと流れますが、それを軽減できるような形状のものになります。厄介なのは、枕元に給気口がある場合でしょうか。ベッドや布団の配置を変えるという対策も考えられますが、それもできない場合は、最後の手段として、給気口を閉じるということになるでしょう。寝るときに閉じた際には、起床後に忘れずに給気口を開きましょう。
今回は、マンションにおける給気・換気について解説しました。古いマンションになると、窓から給気を取るタイプがあったり、エアコンのスリーブを給気口に転用することがあったりと、複雑な検討が必要になります。団地などでは、お風呂・トイレに換気扇が付けられないこともありますから、それらの特性も理解した上で住まいづくりを進めてみてください。
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“こっしー”プロフィール
無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。