25歳、マンション購入は早いでしょうか?
リノベーションなんでも相談室 | 2022.8.9
25歳で独身ですが、マンション購入に興味があります。同年代で住宅購入をしている人がまわりにほとんどいないのですが、まだ早いのでしょうか
マンション購入というと、お金が貯まり、所得も増えてきた30代以降で行うイメージがあるかもしれません。実際、国土交通省の調査結果(令和3年度)を見ると、30歳未満での中古マンション購入(一次取得)は、全体のわずか6.6%しかありません。やはり、20代でのマンション購入は、「まだ早い」というべきなのでしょうか。
今回は、20代でマンションを購入するのはありなのか、購入する際にはどのようなことに注意を払うべきなのかについて、自身もギリギリ20代で1件目のマンションを購入した”こっしー”が解説してまいります。
20代でのマンション購入のメリット
早速ですが、「25歳でのマンション購入は早いのか?」というご質問にお答えしましょう。安心してください、決して早くはありません。私自身も、時間を巻き戻せるのなら新卒2~3年目でマンション購入をしたかったなと思うくらい、若くしてマンションを所有することには価値があるのです。まずは、若いうちにマンションを購入するメリットについて考えていきましょう。
メリット(1)良好な住環境を手に入れることができる
日本の借地借家法は、借り手が強く、貸し手が弱い法制度となっています。一般的な住宅の賃貸借契約では、契約期間が来たからといって強制的に借り手を追い出すこともできませんし、市場動向に応じて賃料を上げることも容易ではありません。このように借り手が強く保護されることもあり、広く、良質な賃貸住宅がつくられることは滅多にありません(表1)。一方で、分譲マンションは、賃貸と比べて広く、設備仕様のグレードも高くなりますから、早くマンションを購入すれば、よりよい住環境を早く手に入れることができるのです。
表1. 都市別の賃貸住宅の規模比較
単位 [%] | ||||||
20㎡ 未満 |
20㎡~ 30㎡未満 |
30㎡~ 40㎡未満 |
40㎡~ 50㎡未満 |
50㎡~ 60㎡未満 |
60㎡~ 70㎡未満 |
|
東京 | 12.8 | 17.9 | 15.8 | 17.9 | 14.4 | 9.3 |
ニューヨーク | 9.0 | 3.1 | 6.6 | 11.6 | 9.7 | 7.8 |
ロンドン | 10.9 | 8.1 | 6.0 | 6.4 | 10.0 | 7.2 |
パリ | 1.3 | 9.3 | 8.1 | 11.4 | 12.3 | 14.8 |
70㎡~ 80㎡未満 |
80㎡~ 100㎡未満 |
100㎡~ 120㎡未満 |
120㎡ 以上 |
無回答 | 50㎡未満 の割合 |
|
東京 | 5.7 | 3.2 | 1.3 | 1.2 | 0.5 | 64.4 |
ニューヨーク | 12.0 | 17.6 | 7.0 | 12.1 | 3.6 | 30.3 |
ロンドン | 7.2 | 10.5 | 12.8 | 19.0 | 1.9 | 31.4 |
パリ | 8.4 | 14.3 | 8.2 | 11.5 | 0.3 | 30.1 |
(株)リクルート/『愛ある賃貸住宅を求めて:NYC, London, Paris & TOKYO 賃貸住宅生活実態調査』 |
メリット(2)早くから資産を築くことができる
住宅ローン返済の一部は自分の資産となって将来売却した際に手元に戻りますから、マンションを購入すると家賃が資産に変わります。購入したマンション価格が大きく値下がりすることだけが心配ですが、今回のご質問者のような単身でのマンション購入であれば、広さを40平米程度に抑えられる分、よりよい立地を選ぶことができ、値下がりのリスクも小さくできます。表2のように、40平米であれば、4,000万円の予算で東京23区内のマンションを購入することもできます。
表2. 平米別の換算マンション価格(2022年6月度)
中古マンション平米単価 | 40平米換算 | 70平米換算 | |
東京都 (区部) |
98.10 万円/㎡ | 3,924 万円 | 6,867 万円 |
メリット(3)将来の買い替えがしやすい
マンションを早く買うことで、ライフステージが変化した際の買い替えも容易になります。たとえば、25歳で4,000万円の住宅ローンを、金利0.5%、期間35年で組んだとして、10年後の35歳時点で残債は約2,930万円となります。値下がりリスクの小さいマンションを買えば、10年で25%以上も価値が下落することはないでしょうから、売却額が残債を割り込む心配も少なくなります。かなり厳しめにみて、4,000万円で購入したマンションが2割減の3,200万円で売却できたとしても、手元にいくらかのお金が残ることになりますから、買い替えに苦労することもないでしょう。
20代のマンション選びの注意点
20代でマンション購入に踏み切れる人は、素晴らしい判断力をお持ちなのだと思います。ただし、住宅ローンが借りにくかったり、マンション選びが難しかったりと、現実的に直面する問題もあるものです。ここからは、20代でマンションを購入する際の注意点について見ていきましょう。
(1)借入可能額が伸びにくい
将来的には年収があがる見込みがあるとしても、住宅ローンの審査において最重要視されるのがいま現在の年収です。以前のコラム「40代でのマンション購入を考えています」のモデルケースを当てはめると、25歳時点での年収が424万円。今後の現役期間での収入は約2.3億円ありますが、借入の上限は約4,000万円となります(図1)。借りられる額と、住みたい街の相場との乖離が大きいようであれば、もう少し待って年収が増えてから購入するという選択もあり得るかもしれません。
(2)流動性も意識したマンション選びを行う
マンション選びについては、流動性の高さを意識したいところです。今後どのような家族構成になるか、転勤はあるのか、転職するのかなど、若さゆえに先が見通せないことも多くなります。だからこそ、30代・40代で購入する場合以上に、将来的な売りやすさを重視したマンション選びを行うとよいでしょう。駅近・大人気のマンションを狙う必要はありませんが、「買ってはいけないマンションはありますか?」で紹介したような、耐震性(旧耐震は避ける)・管理面(管理良好なものを選ぶ)・マンション規模(できれば大規模)に注意を払って選べば、リセールには困らないはずです。また、全部屋30平米台以下という単身者向けの分譲マンションも売られておりますが、将来的に管理不全に陥るおそれもありますから、あまりおすすめはできません。
(3)親御さんの反対があるかもしれない
住宅購入の現場でよくあることなのですが、若くしてマンション購入を検討する場合、親御さんからの反対がでることも多々あります。親御さんが反対する理由はさまざまですが、「頭金をもう少し貯めてからにしなさい」という意見をよく耳にします。1990年バブル期前後の住宅ローン金利は5%あるいはそれ以上の場合もありますから、このころに住宅購入をした親御さんからすると、頭金を十分に入れるべきだという固定観念があるのかもしれません。いずれにしても、親御さんの反対意見は無下にせずにしっかりと受け止めつつ、最終的にはご自身の判断を尊重したほうが後悔はないでしょう。
今回は、20代でのマンション購入について解説しました。私自身も29歳でマンション購入とリノベーションを経験し、3~4年後には売却をしています。早めに買っておいたからこそ、売却によって2件目の購入・リノベーションに充てられる手もと資金もつくることができました。まだ早いかな、と考えている方も、まずは動き出してみてはいかがでしょうか。無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、適正な予算決めから物件探し、設計・施工までワンストップサービスを提供しています。ご興味を持たれた方は、リノベーションセミナーや相談会にお越しください。
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\ みなさんからのご質問もお待ちしています!/
“こっしー”プロフィール
無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。