40代でのマンション購入を考えています
リノベーションなんでも相談室 | 2022.6.28
これまで賃貸暮らしを続けてきましたが、40代半ばになって、いよいよマンション購入を考えるようになりました。40代で住宅購入をする際の注意点を教えてください
国土交通省の調査結果(令和3年度)によれば、中古マンションを購入した一次取得者の平均年齢は43.6歳ということですから、ご質問者のように40代ではじめてマンションを買うという方は多いようです。年齢によっては住宅ローンを35年間借りることができなくなりますから、30代の住宅購入とは違った悩みもあるものです。
今回は、40代で住宅購入をする際に気をつけたいことについて、宅地建物取引士でファイナンシャルプランナーの”こっしー”が解説してまいります。
返済期間が刻一刻と短くなる
多くの金融機関において、住宅ローンの最終の返済年齢が満80歳と設定されています。満80歳ですから、実年齢でいうと79歳が住宅ローン完済のデッドラインとなるのです。図1のように、44歳までの方は35年の住宅ローンを組めるのですが、45歳・46歳・・・と年齢を重ねるごとに借入できる期間が刻一刻と短くなってしまいます。
言いかえると、住宅ローンの最大の特長のひとつである「長く借りられる権利」が45歳以降は毎月少しずつ価値を失っていくことなります。44歳までの1ヶ月と45歳以降の1ヶ月とでは重みが違うのだと認識しておくとよいでしょう。
借りられる額と収入とのミスマッチ
日本の典型的な会社では、年次が上がるにつれて給与も上がるものです。じつは、この点に40代で住宅購入をする際の罠が潜んでいますから、ここからは30歳・44歳(35年ローンのリミット)それぞれの年齢での住宅購入を比較しながらお話を進めてみましょう。
図2には、モデルケースとして、22歳から65歳までの年収の推移を示しています。入社以降は徐々に(年率2%)収入が上がり55歳には役職定年。60歳で定年退職後は65歳までは再雇用という想定です。そもそもこのモデルケースがこれからの時代に合うのか、という点はさておき、注目していただきたいのは、30歳・44歳各年齢時点の年収とリタイアまでの収入総額です。
表1の通り、30歳時点での年収は469万円、フラット35(期間35年、金利1.49%)で借りられる上限額は4,474万円となります。44歳時点では年収も上がり、借入可能額は30歳時点よりも1,400万円以上多い5,896万円となります。ところが、残りの現役時代に稼ぐことのできる金額は、44歳の方が約7,500万円も少なくなってしまうのです。金融機関の審査では、審査時点の年収をベースに融資の判断をするため、このような借入可能額と収入とのミスマッチが発生してしまうのです。年収だけを頼りに借入額を決定する、という安易な判断は避けた方がよいでしょう。
表1. 30歳と44歳の借入額などの比較
年齢 | 30歳 | 44歳 |
---|---|---|
年収 | 469万円 | 618万円 |
借入可能額 | 4,474万円 | 5,896万円 |
退職までの収入総額 | 約2.07億円 | 約1.32億円 |
より細かなシミュレーションを行いましょう
40代でのマンション購入では、より具体的な資金計画を立てることをおすすめしています。30代と比べて貯蓄が増えたり、家族構成が固まってきたりと、不確定要素が少なくなりますから、老後に備えた精緻なシミュレーションを行うことで、安心して住宅購入ができるのです。
ファイナンシャルプランナーとの相談などを通じて、住宅ローンの借入期間・金額、自己資金の投入額、定年以降の働き方を明確にしてみてください。また、40代の住宅購入においては、繰上げ返済の計画を立てるというのも大切なポイントになります。個人的には積極的な繰上げ返済は推奨しない立場なのですが、40代の住宅購入においては、老後に負担を掛けないように計画的な繰上げ返済も必要となります。
今回は40代での住宅購入について解説しました。マンション購入の平均的な年齢ではあるものの、借入期間の限界、借りられる額と返せる額とのギャップなどがありますから、資金計画は慎重に検討したいものです。無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、具体的な資金計画から物件探し、設計・施工までワンストップサービスを提供しています。ご興味を持たれた方は、リノベーションセミナーや相談会にお越しください。
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“こっしー”プロフィール
無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。