管理組合とは、なんですか?

リノベーションなんでも相談室 | 2022.2.22

みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問に、趣味=中古マンションの“こっしー”がお答えする「リノベーションなんでも相談室」のお時間です。

今回お答えするご質問は、こちら。
「マンションを購入すると、管理組合に入るということを聞きました。あまりイメージができないのですが、管理組合とはどのような組織なのでしょうか」。

管理会社に管理人、それから管理組合と、マンションには管理○○という言葉が頻出しますよね。その中でも、マンションを購入した人が必ず入ることになるのが管理組合です。今回は、マンションを買うからには知っておきたい管理組合について解説してまいります。

マンションを買うと、みな管理組合に入る

まずは、管理組合とはどのような組織なのか、というご質問にお答えします。簡単にいえば、マンションの各部屋の所有者(区分所有者)の集まりであり、マンションの運営を行う主体者となります。マンションを購入する(=区分所有者になる)と自動的に構成員となりますから、意識せずとも、区分所有者はみな管理組合に入ることになるのです。

もう少しきちんと説明するため、根拠となる法律である「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」の条文を紹介します。一般的な単棟型のマンションにおいては、下記の「建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体」こそが管理組合ということになります。

(区分所有者の団体)
第三条 区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。

気をつけていただきたいのが「住人」ではなく「区分所有者」の集まりであるという点です。たとえば、マンションを購入した人(オーナー)が、自分では住まずに人に貸していた場合、管理組合員となるのは、賃借人ではなくオーナーということになります。このことによる注意点については後述します。

管理組合こそ、マンション運営の主体

それでは、管理組合がやるべきこととしては、どのような業務があるのでしょうか。国土交通省が示しているマンション標準管理規約によれば、以下のように定められています。

管理組合が管理する敷地及び共用部分等の保安、保全、保守、清掃、消毒及びごみ処理
組合管理部分の修繕
長期修繕計画の作成又は変更に関する業務及び長期修繕計画書の管理
建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査に関する業務
適正化法第103条に定める、宅地建物取引業者から交付を受けた設計図書の管理
修繕等の履歴情報の整理及び管理等
共用部分等に係る火災保険その他の損害保険に関する業務
区分所有者が管理する専用使用部分について管理組合が行うことが適当であると認められる管理行為
敷地及び共用部分等の変更及び運営
修繕積立金の運用
十一 官公署、町内会等との渉外業務
十二 風紀、秩序及び安全の維持に関する業務
十三 防災に関する業務
十四 広報及び連絡業務
十五 地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成
十六 管理組合の消滅時における残余財産の清算
十七 その他組合員の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保するために必要な業務

たくさんありますね。すでに分譲マンションを購入している方でも、これほど多くの業務があると認識している方はごくわずかではないでしょうか。それもそのはずで、一般的には管理会社に管理業務を委託しますから、お金の管理・修繕の調整・理事会や総会の支援・清掃・定期点検など、大半の部分についてはプロによるサポートが入っているわけです。あるいは、客観的かつ専門的な助言や指導を受けるためにマンション管理士を雇うケースもあり、区分所有者がマンションのプロでなくてもどうにか運営できているのです(図1)。

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図1. 管理組合と管理会社・マンション管理士の位置づけ

とはいえ、管理会社やマンション管理士からの助言はあくまで助言であり、管理組合の総会(年に一度の通常総会や不定期に行われる臨時総会)において最終的な意思決定がなされます。通常の議案であれば多数決で賛否が決まりますから、総会において賛成・反対の意思表示をすることが各区分所有者の最低限の務めであるといえます

私が過去に調査したマンションで、管理組合の意向が色濃く表れた事例がありました。竣工から20年間ほとんど修繕をしていないものだったのですが、じつは、大半がワンルームの投資用に分譲されたマンションでした。利回り重視で修繕費を掛けたくない区分所有者が多数を占めたのだろうと想像できます。区分所有者のほとんどが非居住者となるケースにおいては、維持管理に重きがおかれず、どこかの瞬間で問題が噴出する可能性もありますから、修繕履歴や修繕計画、財務状況などをより細かくチェックするとよいでしょう。

ぜひ、理事に立候補してみては?

ここまで読んで、「マンションは戸建住宅と比べて手がかからないことが魅力なのに、なんだか面倒くさいな」と感じた方もいるかもしれません。まさにその通り。マンションだろうと自分が所有する住まいであり資産であることに変わりはありませんから、手放しでいいなんてことはないのです。むしろ、いざ大規模修繕を行うとなれば億単位のお金が動きますし、まして建替えなどというお話になれば5年~10年議論が続くことも当たり前です。

マンション管理は面倒なことも多いのですが、だからこそ、管理規約で認められているのであれば理事に立候補してみてはいかがでしょうか。総会に参加するだけではわからない、細かなマンションの情報に触れることもできますし、マンションをよりよくするための議案を総会にかけることもできます。定期的な理事会への参加などの負担もありますが、自分の所有するマンションをより深く理解するいいきっかけになるはずです。

今回は、マンションの管理組合について解説しました。マンションの未来を決めるのは管理組合に他なりませんから、組合員同士は運命共同体といってもよいかもしれませんね。少し大げさでしょうか。無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、マンション選びのお手伝いからワンストップでサービスを提供しております。ご興味を持たれた方は、リノベーション講座や相談会にお越しください。

物件探しからリノベーションをお考えの方には、3月6日(日)まで大相談会を開催しています。

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みなさんからのご質問もお待ちしています!/

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“こっしー”プロフィール

無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。

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