2021年のマンション市場はどうでしたか?

リノベーションなんでも相談室 | 2022.2.8

みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問に、趣味=中古マンションの“こっしー”がお答えする「リノベーションなんでも相談室」のお時間です。

今回お答えするご質問は、こちら。
「新型コロナの影響が長引く中、マンション市場は活況を呈していると耳にしました。2021年のマンション市場はどのような状況だったのでしょうか」。

緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出など、2021年も新型コロナに振り回された一年となりました。夏にはオリンピック・パラリンピックの東京開催というビッグイベントもありましたが、マンション市場にはどのような影響を与えたのでしょうか。今回は、2021年の首都圏マンション市場動向について解説してまいります。

新築も中古も、とにかく好調のマンション市場

昨年にならい、まずは2021年の首都圏における新築マンション・中古マンションの市場動向について確認しましょう。新築マンションのデータについては、(株)不動産経済研究所が2022年1月に発表した「首都圏 新築分譲マンション市場動向」からデータを拝借します。2021年は、供給戸数が前年比+23.5%の33,636戸、平均価格は同+2.9%の6,260万円となっています。2020年はコロナ禍で供給戸数が激減していたため前年比+23.5%という異常な数字となっていますが、2019年と比べても+7.7%という水準です。

中古マンションについては、(公財)東日本不動産流通機構が2022年1月に発表した「首都圏不動産流通市場の動向」を参照します。首都圏の中古マンションの成約件数は前年比+11.1%の39,812件、平均成約価格は+7.5%の3,869万円となっており、新築同様にその好調ぶりがうかがえます。その他の指標も含め、表1に新築マンションと中古マンションの市場動向をまとめました。

表1. 首都圏マンションの市場動向

戸数 平均価格 平均㎡単価 平均面積 平均築年数
新築マンション 33,636戸
(+23.5%)
6,260万円
(+2.9%)
93.6万円
(+1.2%)
66.88㎡
(+1.7%)
中古マンション 39,812戸
(+11.1%)
3,869万円
(+7.5%)
59.81万円
(+8.4%)
64.68㎡
(-0.9%)
22.67年

また、首都圏においては、中古マンションの成約数が新築マンションの供給数を上回る状態が2016年以降続いておりますが、2021年においてもその状況は変わらず、首都圏においては中古マンションがメジャーな存在になっていることがよくわかります。

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図1. 首都圏マンション販売戸数の推移

中古マンションは競争が激化

ここからは、首都圏の中古マンション市場について、もう少し掘り下げてみます。前述の通り、成約件数は+11.1%と活況である一方(表2)、新規登録件数(≒売出件数)は前年比▲11.2%となっています(表3)。つまり、家を買いたい「需要」側は増えているが、家を売りたい「供給」側は減っており、需給のバランスの崩れが成約価格上昇の一因となっているように読み取れます。

表2. 地域別中古マンションの成約状況

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表3. 地域別中古マンションの新規売出し状況

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また、「登録から成約に至るまでの日数」は前年比で15%ほど短い74.7日となっています。中古マンション売買の現場では、「これはいい!」と思える物件で相場通りの値付けであれば、2~3週間のうちに売れてしまうケースもしばしば目にします。ひとつの物件に複数の購入申し込みが重なることも珍しくなく、競争の激化が進んでいる印象を受けています。

2021年の気になるトピック

最後に、2021年には個人的に注目しているトピックが2つほどありました。一つめは、コロナ禍で都心離れ・郊外人気が進んだのか、ということ。二つめに、オリンピックが終わって、不動産価格がどのように変化したのか、という点です。それぞれデータを見てみましょう。

(1)コロナ禍で、都心離れは進んだ?
2020年の緊急事態宣言以降、都心離れと郊外人気が加速するのではないか、と話題になりました。表4に2017年以降の各年における中古マンション成約件数を、地域ごとにまとめてみました。エリアごとの成約件数の割合はこの5年間ほぼ変わっておらず、直近では都心離れが進んでいるということは無さそうです。一方で、表2によれば、成約件数の増加率においては千葉県・埼玉県が比較的高い数字を示していますから、マンション価格の高騰も踏まえると、今後周辺地域の成約件数がじわじわ伸びていくということはあるのかもしれません。

表4. 中古マンション成約戸数の地域別割合

2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
東京都(区部) 42% 41% 43% 42% 41%
神奈川県(川崎・横浜) 17% 18% 18% 18% 18%
千葉県 12% 12% 12% 12% 12%
埼玉県 12% 12% 11% 12% 12%
東京都(多摩) 10% 10% 10% 10% 10%
神奈川県(川崎・横浜以外) 7% 7% 7% 7% 7%
首都圏合計 100% 100% 100% 100% 100%

(2)オリンピック後にマンション価格はどうなった?
今は昔、オリンピック後に東京都心部の不動産価格が暴落する、という主張がありました。図2では2021年各月の中古マンション相場と東京五輪の開催時期を重ねてみました。少なくとも、五輪後の数か月間においては、暴落どころかむしろ価格は上昇していることがわかります。以前のコラム「中古マンション価格は下がりますか?」でも触れた通り、いまのところマンション価格が暴落する材料はほとんどありませんから、短期的な暴落という事態には陥らないと思われます。そもそも、オリンピックが不動産価格に大した影響を与えないということは歴史が示していますから、暴落論はマンションが安くなればいいなという願いの表れだったのかもしれませんね。

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図2. 2021年各月の中古マンション相場の推移

今回は、2021年のマンション市場について解説しました。新築・中古ともに好調であるがゆえに、人気のある物件をつかみ取るためには競争に勝たなければならないという状況が続いているようです。無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、マンション購入の準備段階からワンストップで住まいづくりのお手伝いをしております。ご興味を持たれた方は、リノベーション講座や相談会にお越しください。

物件探しからリノベーションをお考えの方には、2月18日(金)より大相談会を開催します。

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みなさんからのご質問もお待ちしています!/

リノベーションなんでも相談室

“こっしー”プロフィール

無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。

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