2020年の不動産市場はどうでしたか?

リノベーションなんでも相談室 | 2021.2.16

みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問に、趣味=中古マンションの“こっしー”がお答えする「リノベーションなんでも相談室」のお時間です。

今回お答えするご質問は、こちら。
「2020年は何かと大変な1年間でした。この1年、不動産市場はどのような状況だったのでしょうか」。

2020年は、これまでに経験したことのないような1年間になった方も多いかもしれません。緊急事態宣言のなかで一時的に不動産の流通も落ち込みましたが、気が付けばもと通り。最近では、中古マンションの流通も活発に行われている印象があります。2020年の不動産市場、とくに首都圏のマンション市場がどのような状況だったのか、解説してまいります。

新築マンションと中古マンションの市場動向

まずは、2020年の首都圏の新築マンション・中古マンション動向について確認してみましょう。不動産経済研究所の調査によれば、首都圏における新築マンションの供給戸数は、2万7,228戸で、前年比12.8%減、1992年のバブル崩壊以来の3万戸割れという結果でした。1戸あたりの平均価格は前年比1.7%上昇の6,083万円と、こちらはバブル絶頂期以来の6,000万円台という高水準です。

一方、東日本不動産流通機構の発表によれば、首都圏の中古マンションの成約件数は、前年比6.0%減の3万5,825件。成約平均価格は3,599万円で前年比4.6%の上昇となりました。首都圏においては、中古マンションの成約件数が新築マンションの供給戸数を上回る状態が2016年から続いておりますが、2020年もその状態は変わっておりません。表1にそれぞれの数字をまとめます。

表1. 2020年首都圏の新築マンション・中古マンション市場

戸数 平均価格 平均m²単価 平均面積 平均築年数
新築マンション 27,228戸
(-12.8%)
6,083万円
(+1.7%)
92.5万円
(+5.2%)
65.76㎡
(-3.3%)
中古マンション 35,825戸
(-6.0%)
3,599万円
(+4.6%)
55.17万円
(+3.2%)
65.24㎡
(+1.3%)
21.99年

中古マンション、変わらぬ人気と減る在庫

ここからは、首都圏の中古マンションに絞って、もう少し細かく2020年の市場動向を見てまいりましょう。はじめに、2020年月別の成約価格と成約戸数の推移を示したものが図1になります。緊急事態宣言が発出されてから解除されるまでの4~5月は大きく成約件数が落ち込み、その後はグッと回復していることが見とれます。4・5月は前年同月比がそれぞれ、52.6%減・38.5%減だったものが、8月には同18.2%の増加に転じ、通年でみると前年比6.0%の減少程度で着地しました。成約価格は4月こそ若干の落ち込みを見せたものの、全体としては上昇基調が続き4.6%の上昇となりました。

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図1. 2020年首都圏の中古マンションの成約価格と成約件数の推移

もうひとつ特長的なところは、在庫物件の減少です。成約件数が回復の兆しを見せ、成約価格は上昇するなかで、中古マンションの在庫件数は2020年のすべての月において前年同月比がマイナスとなりました。中古マンションを買いたい人は活発に動いている一方で、売りたい人の動きは鈍く、首都圏の中古マンション市場においては、売り物件がどんどん減っている状態であることがわかります。2020年の新規売出し件数は前年比11.3%の減少となっています。

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図2. 2020年首都圏の中古マンションの在庫件数の推移

地域別の中古マンションの成約状況もなかなか面白い結果となっています。表2・表3の通り、首都圏のいずれの地域においても、成約件数は減少した一方で、成約価格が上昇、面積も広くなっていることがわかります。成約件数の減少率が最も小さい埼玉県においては、新規売出し件数の減少率も最も小さく、もしかするとマンション価格の高騰や広さを求める時代の流れを背景に、「都内にこだわらず埼玉県も」という住まい選びのトレンドが生まれつつあるのかもしれません。

表2. 地域別中古マンションの成約状況

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表3. 地域別中古マンションの新規売出し状況

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2020年のマンション市場まとめ

ホテルなど一部のセグメントを除いては、活況といえる2020年の不動産市場でした。コロナ禍で不動産価格が暴落すると予想した人もいるでしょうが、少なくとも2020年の結果としては、新築・中古マンションともに、そうはなりませんでした。取引件数こそ減少したものの、価格は上昇し、新築においてはバブル期の水準まで到達しました。在庫物件が減少している状況を見ると、この先も暴落する可能性は低そうですね。

今回は、2020年の中古マンション市況について解説しました。数字が多く退屈だったかもしれませんが、想像していたよりもマンション市場は好調でした。その背景には、家にいる時間が長くなったことにより、住まいと真剣に向き合う人が増えたという側面もあるのかもしれません。みなさんは、いかがでしょうか。無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、物件探しからのワンストップサービスを提供しております。ご興味を持たれた方は、リノベーション講座や相談会にお越しください。

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“こっしー”プロフィール

無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。

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