ペットが飼える中古マンションは見つかりますか?

リノベーションなんでも相談室 | 2021.8.31

みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問に、趣味=中古マンションの“こっしー”がお答えする「リノベーションなんでも相談室」のお時間です。

今回お答えするご質問は、こちら。
「賃貸を脱却し、マンションを購入しようと考えています。ただ、中古マンションを探しているとペット飼育不可のものも多いようです。ペット飼育前提での中古マンション探しは難しいのでしょうか」。

マンションを買えばお部屋は自分のものになりますから、ペットの飼育も自由にできそうなものです。ところが、実際には規約によりペットの飼育が禁止・制限されているマンションも多く、自由にペットが飼えるわけではありません。今回は、ペット飼育前提でのマンション探しについて解説してまいります。

兎にも角にも、規約次第

ペットというと犬や猫を想像する方が多いと思いますが、小鳥・観賞魚・爬虫類など、ほかにもさまざまな生き物がペットとして飼育されています。じつは、ペット飼育不可のマンションにおいても、カゴや水槽内で飼育が完結する生き物については飼育が認められる場合が多く、国土交通省が示しているマンション標準管理規約においても、下記のような例文が紹介されています。

(ペット飼育の禁止)
第○条 区分所有者及び占有者は、専有部分、共用部分の如何を問わず、犬・猫等の動物を飼育してはならない。ただし、専ら専有部分内で、かつ、かご・水槽等内のみで飼育する小鳥・観賞用魚類(金魚・熱帯魚等)等を、使用細則に定める飼育方法により飼育する場合、及び身体障害者補助犬法に規定する身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬及び聴導犬)を使用する場合は、この限りではない。

実際の管理規約においては、「他人に危害を与えるおそれのある動物等の飼育を禁止する」という内容をよく目にします。このような文言がある場合には、犬や猫は飼育不可、小鳥などに限って飼育可、と捉えればよいでしょう。なかには、「規約で禁止されていようが、ペットを飼育する権利はあるはずだ!」と主張する方もいるかもしれませんが、ペット飼育不可の管理規約は有効であるという当然の判例が出ています。ペット飼育不可のマンションにおいては、どんなに大人しくても犬や猫は飼ってはいけないとお考えください。

ペットの飼育が可能なマンションにおいても、なんでもOKというわけではありません。飼育できる動物の種類、頭数、大きさ等の制限や、ペットクラブへの登録や共用部では抱きかかえることなどの飼い方についての決まりも守る必要があります。ペットの飼育が可能ではあるものの、細かな決まりが明文化されていない場合もありますので、ペット飼育に関してどのような運用がされているのか事前に確認するとよいでしょう。不動産仲介の方に相談すれば、管理会社や管理組合へのヒアリングをしてくれるはずです。

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図1. 管理規約によるペット飼育制限の一例

ペット飼育前提での、マンションの選び方

「ペット飼育前提での中古マンション探しは難しいのでしょうか」というご質問にお答えすると、ペットにこだわらない場合と比べると苦労することは間違いありません。これまで説明した通り、管理規約による制限は絶対的なものなので、規約を破ってペットを飼育してしまうと、管理組合から飼育の差し止めを求められる可能性もあります。ペットの飼育が認められているマンションの中から選ぶことになりますから、選択肢が減ってしまうというのは事実です。

不動産経済研究所の2008年の発表を見ると、新築マンションでのペットの飼育が当たり前になったのは2004年頃からであることがわかります(図2)。これ以降に新築されたマンションであればペット飼育可のマンションを探すのは難しくありませんが、リノベーション前提となると、築25~35年あたりのマンションが主なターゲットとなります。ペットの飼育が当たり前になるよりも少し前の時代に建てられたものですので、ペット可の物件探しが容易ではなさそうです。

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図2. 首都圏新築マンションのペット可率の推移

ペットの飼育を希望される方が物件を探す際、ポータルサイト等で「ペット飼育可」にチェックを入れて検索する方も多いのではないでしょうか。軽い情報収集段階ではこのやり方でも良いのですが、本気でペット可の中古マンション探しをする場合には、そのやり方は得策ではありません。というのも、実際にはペットが飼えるのにペット飼育可の登録がされていない場合もあれば、小鳥等しか飼えないのにペット飼育可として登録されていることもあるからです。大きさや頭数の制限などの決まりについても、ポータルサイトだけでは調べようがありません。

本気で中古マンションを探す場合には、まずはペットの飼育可否は問わずに、立地や広さや予算などの条件に合う物件を網羅的に見てみるとよいでしょう。そのなかで、ペット飼育不可の表記があるものは除外し、とくに表記がないものやペット飼育可となっているものについては、物件毎に詳細を確認する、という手順で進めます。そこまで調べてあげれば、希望条件に合致するペット可物件を絞り込むことができるので、あとはそれらの候補のなかから気に入るものを選ぶだけです。選択肢が絞られる分、選びやすいという面もあるかもしれませんね。

今回は、ペット飼育前提での中古マンション探しについて解説しました。マンションでのペット飼育が当たり前になったのはここ十数年の話。中古マンションをリノベーションしてペットと楽しく暮らしたい、という方は本日のお話を参考にしてみてください。無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、中古マンション選びから設計施工までワンストップでお手伝いしております。ご興味を持たれた方は、リノベーション講座や相談会にお越しください。

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“こっしー”プロフィール

無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。

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