スマートホームについて教えてください

リノベーションなんでも相談室 | 2021.5.11

みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問に、趣味=中古マンションの“こっしー”がお答えする「リノベーションなんでも相談室」のお時間です。

今回お答えするご質問は、こちら。
「ロボット掃除機やスマートスピーカーを使った、いわゆる『スマートホーム』に興味があります。リノベーションの設計をする際に、どのようなことを意識すべきなのでしょうか」。

最近の住まいづくりの現場においては、戸建・マンション・新築・中古問わず、スマートホームという言葉をよく見聞きするようになりました。なんだか便利そうだし、格好いい印象があるものの、実際の住まいづくりに落とし込もうと思うと、なかなかイメージが湧きにくいですよね。今回は、そんなスマートホームについて解説してまいります。

そもそも、スマートホームとは?

ご質問にお応えする前に、そもそもスマートホームとはどのようなものか、簡単にご説明いたします。例えば、「行ってきます」とスマートスピーカーに話しかけると、部屋中の電気やテレビが消え、ロボット掃除機が動き出す、というような少し未来を感じさせる住まいです。様々な機器がインターネットとつながるIoT(Internet of Things)やAIといった技術を活用することで、安全で便利で快適な住まいを簡単につくることができるのです。表1のスマートホームの代表格といえる機器は、いずれもスマートフォンやスマートスピーカー等を使って操作ができます。

表1. スマートホームの代表機器

照明(電球) ・気分に合わせて自由に色を調整できる
・起床時間に合わせて徐々に照明を明るくできる
エアコン ・室温や湿度に合わせて、自動で賢く運転する
・遠隔でのオン/オフが可能
掃除機 ・ロボット掃除機が自動で部屋中を掃除する
・出勤後などの不在時に運転するような設定も可能
・スマートフォンを使って玄関を開錠する
・アプリ上で期間限定の合鍵を発行できる
カーテン ・時間や照度によって、自動でカーテンの開閉を行う

スマートホーム設計の3つのポイント

スマートホームの良さは、何といっても拡張性の高さです。普通のエアコンやテレビのリモコンをスマートリモコンに置き換えたり、温度計や照度計等とさまざまな機器を組み合わせたり、機器の追加やソフトウェアのアップデートをしたりすることで、簡単にできることを増やしていけます。拡張性の高いスマートホームだからこそ、リノベーションの設計においては次の3つのポイントが重要になります。

(1)電源の確保
さまざまなIoT機器を設置するためには、十分な数の電源が必要です。リノベーションであれば、電源計画も含めてゼロからの間取りづくりができるので、タコ足配線の悩みも解消できますね。使用する機器の数が、テクノロジーの進歩とともに増えていく可能性もあるので、「少し多いかな」という程度のコンセントを設けてもよさそうです。個々のIoT機器を連携するためのハブが必要になることもあるので、それも忘れずに計画しましょう。

(2)柔軟な計画
テクノロジーの進歩は日進月歩。いま当たり前のものが、来年も再来年も当たり前とは限りません。だからこそ、リノベーションではつくり込み過ぎず、柔軟な計画にしておく必要があります。スマートホームとは話がずれますが、築40年程度のマンションになると、玄関の脇に宅配牛乳を置くためのミルクボックス(図1左下の銀色の物)が設置されていることが多々あります。いまではほとんど活用されていませんが、当時は当たり前のものだったと思うと驚きです。ロボット掃除機の基地など、いまの技術や機器をベースにつくり込んでしまうと、ミルクボックスのように残念な未来が訪れるかもしれません。

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図1. 使われなくなったミルクボックス。スマートホームでも同じことが起こるかも

(3)汎用性の確保
特殊な設備や仕様を使った場合、スマートホーム化が難しくなることがあります。例えば、一般的な口径のソケット(E26、E17)であれば、比較的簡単にスマート電球への取り換えができます。しかし、口径の小さな電球が必要になる場合や、特殊な形状の照明器具などでは、対応するスマート電球が存在しないなど、スマート化ができないこともあります。ほかにも、指の代わりにスイッチを押してくれる面白い機器もありますが、スイッチの形状によっては対応ができません。意匠とのバランスが難しいところですが、長く使われている汎用性の高い仕様を選ぶこともひとつのポイントといえそうです。

バケツの穴はふさげない、スマートホーム

最後に、リノベーション×スマートホームを考える際に、最も大切なことをお伝えします。それは、スマートホームに頼り過ぎではダメ、ということです。スマートホーム化によって、不便や不満の解消ができますが、住まいの性能自体が向上するわけではないからです。性能の低さをスマートホームでごまかすというのは、本末転倒です。

たとえば、穴の開いたバケツを想像してください。蛇口からは水がジャージャーとバケツに入りますが、穴が開いているので、バケツの中になかなか水が溜まりません。これを暖房に置き換えると、断熱性能の低い家(穴の開いたバケツ)では、空調にたくさんのエネルギーを使っても(蛇口をひねっても)なかなか部屋が暖かくなりません(水が溜まりません)。スマートホーム化によって、蛇口を遠隔で操作したり、AIが賢く蛇口の開け閉めを調整したりできますが、バケツの穴をふさぐことはできません。リノベーションと合わせてスマートホーム化を検討するのであれば、断熱改修によってバケツの穴をふさいだ上で、スマートホーム化するという優先順位で考えるとよいでしょう。

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図2. 断熱のイメージと、スマートホームでできること

今回は、スマートホームについて解説しました。私自身も自宅のスマートホーム化を進めており、その便利さを実感しております。一方で、住まいの性能向上といったスマートホームではできないことについても理解しておく必要がありそうです。無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、自由で快適に暮らせる住まいを提供しております。ご興味を持たれた方は、リノベーション講座や相談会にお越しください。

みなさんからのご質問もお待ちしています!/

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