こども部屋は必要でしょうか?
リノベーションなんでも相談室 | 2021.3.30
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問に、趣味=中古マンションの“こっしー”がお答えする「リノベーションなんでも相談室」のお時間です。
今回お答えするご質問は、こちら。
「こどもが大きくなるにつれて、将来のこども部屋について考えるようになりました。まだしばらくはみんなで寝ればよいと思っているのですが、こども部屋はいつごろから、どれくらいの広さが必要なのでしょうか」。
私もまだ小さい娘が二人いるので、お気持ちはよくわかります。こどもが小さいうちは、なるべくみんなで一緒に過ごしたい。けれども、大きくなったらプライベートな空間も用意してあげたい。とはいえ、大きなこども部屋を与える必要性は感じない。私自身もそのように考えています。今回は、こども部屋の考え方について解説してまいります。
こども部屋はいつから必要?
はじめに、こども部屋が必要な時期について考えてみましょう。少し古いものになりますが、2014年の東京ガスの調査に興味深い結果がまとめられています。一都三県の小学生から高校生とその父母(回答1,664組)を対象として、「家で子供が過ごす部屋」というテーマのアンケート調査が行われております。
図1を見ると、「自分だけの部屋がある」こどもの割合が半数を超えるのは男子で中学生(61.5%)、女子は小学4~6年生(54.8%)となっています。家庭ごとの差はありますが、小学校の高学年から中学生になるころには、こども部屋が必要になり、高校生になると「兄弟姉妹と一緒の部屋」も含めると90%以上が自分の部屋を持つようです。お子さまはこれからというご家庭であれば、まだ10年くらいはこども部屋がなくてもよさそうですね。
こども部屋に必要な広さは?
続いて、こども部屋に必要な広さについて検討してみましょう。同様の東京ガスの調査において、現在こども部屋がある家庭における、こども部屋の広さについても集計結果がまとめられております。図2に示す通り、戸建住宅では8割以上、集合住宅でも6割以上が6畳以上のこども部屋を設けていることがわかります。
6畳のこども部屋と聞くと、みなさんはどのように感じるでしょうか。住まいづくりに携わっている身としては、かなり広いなという印象を持ちます。6畳もあれば、ベッドを置いて、タンスを置いて、勉強机を置いて、テレビを置いて、ゲームをして… なんだかとても充実した空間になりそうですね。最近ではリビング学習という考え方も一般的になり、こども部屋に求められるものは少なくなっているように思いますが、「寝室=6畳」という考え方はまだまだ根強いのかもしれません。
たとえば、広さによってどのようなことができるのかを図3にまとめてみました。別コラム、無印良品の考えるリノベーション「寝室でできることを見直す」にて詳しく解説していますので、そちらも合わせてご覧ください。こども部屋に持たせたい機能としては、「寝る」「収納する」「勉強する」がメインでしょうか。「くつろぐ」についてはリビング・ダイニングなど家族の共有スペースに任せてもよさそうです。すると、一般的な常識の半分=3畳もあれば十分にこども部屋としての機能を果たせることがわかります。
こども部屋はどうつくる?
最後に、こども部屋のつくり方について一例を示します。図4の(a)は、約6畳の部屋をひとりで使っている様子です。先ほども触れたように、6畳のこども部屋となるとかなり余裕があることがわかりますね。(b),(c)は、(a)と同じ約6畳の空間をふたりで使う想定です。こどもが小さいうちは(b)のようにひとつの空間をふたりでシェア、大きくなってきたら(c)のように別々の空間として使うことを考えてみました。(c)は、かなりコンパクトなこども部屋に見えますが、「寝る」「収納する」「勉強する」を満たすだけであれば、これで十分なのではないでしょうか。
たとえば、こども2人を想定しているご家族の場合、それぞれに6畳の部屋を与えるとすると、こども部屋のために12畳が必要となります。もしも図4(b),(c)のようにこども部屋を6畳の一室でまとめることができれば、6畳≒9.7㎡が浮きますから、その分を使ってリビングや収納を充実させることもできますね。マンション購入を検討している方であれば、想定よりもコンパクトな物件でよくなりますから、購入価格を抑えることにもつながります。2020年首都圏の中古マンションの平均平米単価が55.17万円ですから、単純計算ではありますが、6畳狭くなると約535万円も価格を抑えることができるのです。
今回は、こども部屋について解説しました。なんとなく「寝室=6畳」という単位で考える方は多いかもしれませんが、こども部屋は意外とコンパクトなサイズで十分なようです。リノベーションでゼロから間取りをつくるのであれば、既成概念にとらわれずに自分たちにとって必要な空間を見つめてみてください。無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、10年後・20年後など将来的な使い方も踏まえた空間づくりをしております。ご興味を持たれた方は、リノベーション講座や相談会にお越しください。
\ みなさんからのご質問もお待ちしています!/
“こっしー”プロフィール
無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。