3月はマンションがよく売れるのでしょうか?
リノベーションなんでも相談室 | 2021.3.2
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問に、趣味=中古マンションの“こっしー”がお答えする「リノベーションなんでも相談室」のお時間です。
今回お答えするご質問は、こちら。
「賃貸のお部屋を探していたときに、3月はとにかく忙しいというお話を不動産屋さんから聞きました。賃貸ではなく、マンションの購入を検討する際にも、物件が見つかりやすい時期があるのでしょうか」。
マンションを探す際に、どの時期だと見つかりやすいのだろうか、というのは気になるところかもしれません。4月から新生活が始まることを考えると、3月は不動産の動きが活発なように思えますが、実際はどうなのでしょうか。今回は、不動産市場の季節トレンドについて解説してまいります。
賃貸は、とにかく1~3月が繁忙期
ご質問の冒頭に賃貸のお話が出ておりますので、まずは賃貸業界の動きについて簡単に見ていきましょう。後ほどご説明する売買市場に比べて、居住用不動産の賃貸市場は季節トレンドが色濃く見受けられます。アットホーム調べによれば、2019年における首都圏における居住用賃貸物件の成約数は、図1のようになっています。ご覧の通り、1月から3月、つまり年明けから新生活が始まるまでの期間はほかの月と比べても大幅に成約数が多くなっています。最も成約数の多い3月は、最も少ない8月と比べると、実に2倍以上の数字となっているのです。
中古マンション売買市場は、3つの谷
賃貸市場の季節トレンドは、何となく私たちの感覚と合っている気がしますが、売買市場の場合はどうでしょうか。ここからは、首都圏の中古マンション売買市場の様子を見ていきましょう。前回のコラムで触れた通り、2020年は少々特殊な市場の動きとなりましたので、2019年以前の中古マンション売買市場のデータをまとめてみます。
図2は、2015年から2019年の5年間における、月別の中古マンション成約件数を示しています。このグラフを見ていると、毎年1月・5月・8月に成約数が落ち込んでいる様子がわかります。また、やはり3月に最も成約数が多くなっていることも見て取れますが、賃貸と比べると、1月から3月が突出しているという様子ではありませんね。
それでは、なぜこのように1月・5月・8月に谷が現れるのか考えてみましょう。寒い時期や暑い時期は物件の内覧に行きたくない、ゴールデンウィークは内覧など行かずに遊びに行きたい、などさまざまな要因もあるでしょうが、多くの不動産会社がお休みだから、という点が最も大きな理由かもしれません。大手の不動産仲介会社では、年末年始、ゴールデンウィーク、お盆はまとまった休みを取ることが一般的で、売りたい人が査定を依頼しても、買いたい人が内覧を希望しても、休み明けまで待たされることになります。結局、実働の日数が少ない1月・5月・8月は成約数が少なくなるという結果につながっているようです。
大切なのは、自分にとっての必要な時期
今回のご質問のような「物件が見つかりやすい時期」に加えて「お得に購入できる時期」を知りたいという声を、私もしばしば耳にします。例えば家電であれば、新製品が発売される直前には既存の製品が安くなる傾向にありますから、不動産も時期によって変化がありそうだと考えるのは、当然といえば当然です。ところが、残念ながら、不動産売買市場には割安な時期というものはなく、成約データを見ても季節トレンドは見当たらず、むしろ中古マンション価格は毎年上昇していることがわかります(図3)。
見つかりやすい時期・お得な時期など、ついつい買い時を探してしまう方も多いと思いますが、大切にしてほしいのは、ほかでもない、「自分にとっての買い時はいつか」ということです。人によっては、こどもの誕生や成長に合わせて住宅購入を考える人もいるでしょうし、いまの住まいが劣悪な環境ですぐにでも家を買いたいという人もいるかもしれません。自身のライフスタイルやライフステージ、置かれた環境と向き合って、住宅購入が必要だと感じるのであれば、そのときが買い時といえるでしょう。
今回は、中古マンション市場の季節トレンドについて解説しました。賃貸市場と比べると季節性は少なく、年末年始などの休みが多い時期は不動産の流通が少ないという当たりまえの結果が見えてきました。中古マンションの場合、時期を狙って売りに出されるというものでもないので、ご自身にとって家が必要な時期というのを考えていただきたいものです。無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、資金計画や物件探しからのワンストップサービスを提供しております。ご興味を持たれた方は、リノベーション講座や相談会にお越しください。
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“こっしー”プロフィール
無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。