リノベーションで、結露対策はできますか?

リノベーションなんでも相談室 | 2020.11.17

みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問に、趣味=中古マンションの“こっしー”がお答えする「リノベーションなんでも相談室」のお時間です。

今回お答えするご質問は、こちら。
「マンションは結露しやすいと聞いたことがあります。リノベーションをすることで改善できるものなのでしょうか」。

寒い季節になると、窓の結露に悩まされる方は多いかもしれません。お部屋のなかを十分に暖かくしたいし加湿もしたいけれど、そうすると窓が結露してしまい困ってしまいますよね。今回はそもそも結露とは何なのか、どんな問題があって、リノベーションでどのような対策ができるのか、ということを解説してまいります。

暖かい空気が、冷たいものに触れると

まずは結露という現象について簡単に説明します。家の窓以外でも、冷たい飲み物を入れたグラスの表面が濡れるというのも結露ですね。暖かい空気は水蒸気をたくさん含むことができますが、冷たい空気は多くの水蒸気を含むことができません。ですから、暖かく湿った空気が冷やされると、空気中にとどまれなくなった水蒸気が結露として現れるのです。たとえば、室温を25℃、湿度を50%にすると、空気中の水蒸気量は1㎥あたり約11.5グラムとなります。この空気が表面温度5℃のガラスに触れたとして、5℃の空気が含むことができる水蒸気量は1㎥あたり約6.8グラムですから、水蒸気ではいられなくなった分が水滴として窓ガラスに付着するのです。

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図1. 温度と飽和水蒸気量の変化

結露によって、困ること

結露が発生することにより困ることとしては、次の3つにまとめることができそうです。とくに窓拭きなどは、冬場は毎日のことになりますから相当な負担になっているのではないでしょうか。

(1) 掃除やお手入れの手間がかかる
これについては「うんうん」とうなずいていただける方も多いのではないでしょうか。結露するたびに窓を拭くというのは、とても手間のかかることです。ガラスだけでなく、サッシのレールにも水が溜まってしまったりすると、きれいにするのはひと苦労だったりします。また、濡れてしまったカーテンも洗ったり干したりしないと、カビが生えてしまいます。

(2) 健康上のリスクが高まる
こちらも気にされる方が多いかもしれません。結露が生じるとカビが生えやすくなります。カビ自体もアレルギー症状を引き起こすものですが、カビが生えるとそれを食べるダニが増えてしまいます。更にはそのダニを食べる別種のダニも増え、アレルギー症状や刺されることでかゆみの原因にもなるのです。

(3) 建物が劣化する
結露に対してこまめな手入れを怠ると、窓のまわりの枠が濡れてしまうこともあります。枠が濡れてしまうと枠の塗装がペリペリとはがれることや、枠が腐ってくることもあります。木造の住宅であれば、結露やカビによって骨組みが弱りシロアリの被害を受けやすくなることもありますし、コンクリート造のマンションであっても下地の木材やボードが傷んでしまうことにつながります。

リノベーションで実現できる、結露対策

最後になりましたが、リノベーションによって改善できるのか、というご質問にお答えします。手軽にできることから大掛かりなものまで、さまざまな結露対策が存在します。窓面に結露防止のシートを貼るなどの簡単な方法もありますが、ここでは、リノベーションをする際に行うことができる結露対策に絞ってポイントをご紹介します。

(1) 窓の断熱性能を強化する
マンションのリノベーションの場合、共用部分である既存のサッシは変更できない場合がほとんどです。窓の性能を強化するためには、部屋の内側にインナーサッシを設置することで大きく断熱性能を向上することができます。インナーサッシの表面温度は既存のサッシほど低くならないため、結露しにくくなります。気密性の高いインナーサッシであれば、既存のサッシが結露するリスクも抑えることができます。これは比較的手軽にできる対策ですね。

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図2. インナーサッシによる断熱性能強化

(2) 空気の流れを考える
間取をつくるときには、空気の流れも考えましょう。マンションはそもそもの気密性が高い(すきま風が少ない)ため、空気の流れや換気を整えないと、空気の溜まり・淀みができてしまいます。リビングなどから流れてきた湿った空気が一箇所に溜まってしまうと、そこが結露しやすくなってしまいますから、注意が必要です。窓の断熱性能を高めた上で、閉じ切った空間を極力減らし、お部屋全体に空気が通るような間取りをつくるとよいでしょう。

(3) 空調の方法を工夫する
日本の住宅では、人が居るところだけを暖房する方法が一般的ですが、家のなかに温度差ができることで結露もしやすくなってしまうのです。冬にクローゼット内の洋服にカビが生えてしまった経験がある方もいるかもしれませんが、それもリビングと寝室の温度差がひとつの原因となっています。また、瞬時に採暖できるガスストーブや灯油ストーブを好む方もいるようですが、燃焼時に水蒸気を発生するこれらの暖房はおすすめできません。もっとも、気密性の高いマンションにおいては、空気汚染の面からもエアコン等の使用が推奨されています。

今回は、マンションの結露について解説しました。定期的な換気で室内の空気を外へ捨てることも効果的ですが、そもそもの窓の性能を高めることも大切です。無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、断熱性能の向上や広々とした空間づくりをすることで結露の起こりにくい住まいをつくることができます。ご興味を持たれた方は、リノベーション講座や相談会にお越しください。

みなさんからのご質問もお待ちしています!/

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“こっしー”プロフィール

無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。

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