集合住宅と一戸建て。ご近所づきあいの違いは?

初心者が家を買う | 2010.6.15

FUJI 男性・独身。30歳代後半。
私が「実際に家を購入するまで」の顛末記を連載することになりました。
計画倒れに終らぬよう、みなさんの応援をよろしくお願いします。 m(_ _)m



さて、前回より引き続き、集合住宅と一戸建て住宅の違いについて考えてみたいと思います。

今回は「ご近所づきあい」についてです。

実は、ご近所づきあいって、非常に重要なものだと思うんです。家を購入するのは、非常に高い買い物ですから、そう簡単には買い替えることはできませんよね。だから「近隣に住む人」も、そう簡単には変わりません。

積極的にご近所づきあいをするかどうか、また、どのようにご近所づきあいをするか、は人それぞれ違うと思います。今回は、そのあたりを考えてみます。

集合住宅では、どのようなご近所づきあいがある?


まず、集合住宅内のご近所づきあいについて、考えてみようと思います。

マンションのような集合住宅では、ひとつの建物に大勢の人が住んでいます。賃貸のマンションに比べ分譲マンションでは、基本は「購入した人が住む」ことが多いので、ほぼ固定された人が同じマンションに住むことになります。

都心部の中古マンションでは、投機用にマンションを購入し、それを賃貸に回す、ということもままあるので、住む人の出入りが多いマンションもあるようですが、一般的には、こういうことは少ないと思います。

同じ建物に住んでいるわけですから、住人同士がすれ違う機会も必然的に多くなります。建物の出入り口やエレベーターなどで、特に朝の出勤のタイミングで、よく同じ人と顔を合わせるということ、ありますよね?

一方で、集合住宅では、庭がないため、出入り口やエレベーター、廊下などの共有部以外で住人を見かけることはまずありません。こうした共有部は、あくまでも何かしら用事があって通過するだけの場所ですから、ちょっと挨拶する程度、という交流が多くなりがちです。その結果、「同じマンションに住んでいるんだけど、一部の住人の顔しか知らない」ということも少なくないようです。

こうしたことにならないよう、マンションによっては、住人参加のイベントなどを設けているところもあります。無印良品の家でも、マンションの新規契約者を対象に、「住人祭」を行ったりしています。(ちなみに、ルネ船橋新高根レジデンシャルヴィラで行ったときには、マンションに新規に入居される方だけでなく、マンションの近隣の方にも声をかけて参加していただきました)

会議室やレクリエーション用の部屋など、共有部が充実しているマンションでは、こういう集まりも開きやすいというメリットがありますね。

また、住人参加のイベントがなくとも、マンションには管理組合があり、定期的に会合が招集されているはずです。管理組合の会合は、住人一同が顔を合わせる機会なのです。しかも、時候の挨拶のような内容ではなく、建物の補修など具体的なテーマで、皆が平等な立場で話し合うので、「この人はこんなふうに考えるんだな」と、相手のことを理解するのが進むのだそうです。仕事を一緒にやる同僚とは親しくなりやすいのと同じことですね。

ただ一方で、管理組合の会合への住人の参加率は、マンションによってかなり違いがあります。マンションが古くなると、新築時に購入した住人の割合が減っていき、自然と出席率が悪くなる、と聞いたことがあります。

多くのマンションでは管理会社にさまざまなことを委託していることもあり、住人が共同で作業しなくてはならないことがほとんどありません。「管理費はちゃんと払っているのだから、管理会社がちゃんとやってくれればよい」と考えることもできます。しかし、こうしたことも住人同士が顔を合わせる機会が少なくなる理由のひとつです。

簡単にまとめてみると…

集合住宅内のご近所づきあい

  • (1)住人参加のイベントなどが行われないと、実は住人同士が顔を合わせる機会がほとんどない。よって、隣に住む人でも、顔がわからない、ということが多々ある
  • (2)管理組合の会合に参加すると、住人同士の相互理解が進みやすい。ただし、管理組合の会合にすべての住人が参加するわけではない
  • (3)逆に、集合住宅では、近所づきあいをしたくなければ、ほぼしないで生活することも可能だ


ご近所づきあいって、人によって好き好きがありますよね。それを選べるのが集合住宅のよいところのひとつだと思います。

一戸建て住宅では、どのようなご近所づきあいがある?


さて、一戸建て住宅の場合のご近所づきあいについて考えてみます。

まず、日本のどこに住もうとも、ほとんどの地域で「町内会」や「町会」というものがあります。町内会って、賃貸住宅に住んでいるときにはあまり意識しませんが、「自分で家を買う」と、町内会から連絡がよくくることがあります。「町会費を払ってください」などの内容です。

マンションのような集合住宅でも、町会費は払っていることが多いんです。でも、それは住人が払う管理費の一部を町会費として使っているので、個々の住人は町会費がいくらなのか必ず知る必要はありません。

集合住宅と比べると、町会が管理会社にいろいろな作業を委託することもまだまだ少ないので、住人が参加してやらねばならないこともあります。ゴミ捨て場や排水溝の清掃を町会で行うのですが、住人が行っている場合がほとんどです。

人によっては、こうした作業も「めんどうくさい」と感じられるかもしれませんが、ご近所の方と顔を合わせ、話すいい機会でもあるんです。

こうした「町住人の義務」としてのイベントだけでなく、盆踊りなどのお祭りも町会単位で行われるものがたくさんあります。こうしたイベントに参加するだけでなく、運営にもたずさわれば町会の人々と親しくなることができます。

また、そもそも一戸建て住宅は、「ひとつの建物に、一家族が住む」というのがほとんどですから、誰がどこに住んでいるのか、集合住宅よりも把握しやすい、というメリットがあります。集合住宅の出入り口やエレベーターで他の住人と出会っても、「あ、この人は6階に住んでいるんだな」ということはわかっても、名前まではわかりません。一戸建て住宅であれば、その家の玄関から朝出てくる人は、ほぼ間違いなくその家に住んでいる人です。表札も人の目に触れやすい場所にかかげてありますし。

簡単にまとめると…

一戸建て住宅の場合のご近所づきあい

  • (1)
    清掃など、町内会で参加が必須のイベントがあるので、他の住人と自然と顔を合わせる機会が多くなる
  • (2)
    誰がどこに住んでいるのか、把握しやすい。集合住宅に比べ、名前も覚えやすい


といったところでしょうか。集合住宅に住んでいると、あまり意識することのない「町内会」の存在が大きいんですよね。

集合住宅と一戸建て住宅、どちらがセキュリティ上、良いのか?


私がご近所づきあいのことを意識するのも、それが「セキュリティ」に繋がる、と個人的に考えているからです。

セキュリティ、とひとくちでいっても、いろいろあります。例えば、留守の間に泥棒が入るのを防ぐ、ということなら、集合住宅に軍配があがると思います。集合住宅は一戸建て住宅に比べて、窓や扉が圧倒的に少ないですし、高層階に住めば、自宅の玄関の戸締りにさえ気を配れば、防げるからです。

また、地震や台風などの自然災害などへの備えも「セキュリティ」ですね。

例えば、ご近所づきあいがあれば、しばらくの間、旅行に行くときにも、信頼できる人に「ちょっと旅行してきますので」と声をかけて行くことができます。もし、私が旅行中であるにも関わらず、自宅に電気がついているのを見た人が、「怪しい」と思ってくれるかもしれません。

あるいは、旅行で家をあけるときに、ご近所の人がペットの面倒を見てくれるかもしれません。

こうしたことって、数十年前までは、ごく普通に行われていたことだと思います。私は地方出身なのですが、住人の移動が少ない地方では、今でもごく普通の光景になっています。それに比べ、住人の移動が激しい、都心部の賃貸集合住宅では、どうしても「ご近所づきあい」がなくなりがちです。

もちろん、ご近所づきあいは、めんどうでもあるんです。でも、めんどうさを上回るメリットがあるからこそ、人は古くから「ご近所づきあい」をしてきたのではないかな、と思います。

集合住宅内でもご近所はできます。でも、一般的にはやはり一戸建て住宅のほうが、よりご近所づきあいが自然に生まれる傾向にありますね。そういう点では、個人的に一戸建て住宅に惹かれます。


さて、次回なんですが、皆さまよりいろいろとご意見をいただいておりますので、すべてをご紹介することはできませんが、一部をご紹介しようと思います。

この原稿を書くにあたって、無印良品の家の他のスタッフや私の知人で家を買った人たちと、いろいろ話してはいるのですが、皆さんからのご意見はまた参考になることがたくさんありました。

次回もよろしくお願いいたします。 m(_ _)m