家の購入費用と、賃貸の家賃。メンテナンス費用を忘れがち?
初心者が家を買う | 2010.6.1
男性・独身。30歳代後半。 私が「実際に家を購入するまで」の顛末記を連載することになりました。 計画倒れに終らぬよう、みなさんの応援をよろしくお願いします。 m(_ _)m |
今回のお話は、「家のメンテナンス費用」です。
購入時の費用だけを考えると、ずっと賃貸住宅の家賃を払い続けるよりも、家を購入するほうがお得なように思えます。
しかし、家を購入した後、メンテナンスに意外に費用がかかるものなんですね。
メンテナンス費用がどのくらいかかるものなのかについて、考えてみようと思います。
家のメンテナンスにあたっては、家の「基礎・外装」と「内装・設備」にわけて考えてみます。
基礎・外装はどんなメンテナンスが必要?
ざっと挙げてみると、以下のようなメンテナンスが必要なようです。
- (1)外壁 ─ 10年をめどに塗り替え
- (2)屋根 ─ ズレや割れ具合の点検。10年から30年で、瓦のふき替えや再塗装
- (3)基礎部分 ─ シロアリや水漏れの点検。10年をめどに対策
- (4)サッシ ─ レール、戸車の点検や水漏れの点検。10年をめどにコーキングの再施工
大きな費用がかかりそうなものを挙げてみましたが、ほかにも、ベランダの排水や水漏れの点検、雨どいの点検や補修、網戸の張り替えなど、必要なメンテナンスはさまざまあります。
内装・設備はどんなメンテナンスが必要?
こちらも重要なものだけ挙げてみます。
- (1)壁・天井 ─ 10年をめどにクロスの張替え
- (2)畳 ─ 数年で表替え。10年をめどに新畳に交換
- (3)ふすま・障子 ─ 障子は1、2年、ふすまは5年から10年をめどに張替え
- (4)キッチン・ユニットバス ─ 10年をめどにコーキング材のうち替え。 20年から30年をめどにユニット自体を入れ替え
- (5)エアコン ─ 10年から20年をめどに入れ替え
- (6)給湯器 ─ 10年をめどに入れ替え
なんともたくさんあります。ほかにも、フローリングのワックス掛けや、水道のパッキン交換、水道金具自体の入れ替えなど、挙げればきりがありません。
家のメンテナンスにはどのくらいの費用がかかる?
家のメンテナンス費用は、日本では一般的には…、
30年間で、200万円から500万円ほど
といわれているようです。しかし、家の大きさによっても変わってきますし、どの程度メンテナンスするか、によっても大きく違ってきます。
また、「誰がメンテナンスするのか」によっても大きく費用が変わってきます。
たとえば北米では、家のメンテナンスは「家の持ち主が行うもの」と考えられているようです。外壁の塗り替え、壁紙の張替えなどは、業者にお願いするのではなく、持ち主が自ら行うことが珍しくありません。ハリウッド映画などで、「子どもがいたずらをした罰として、週末にペンキ塗りをさせられる」なんていうシーンがありますが、これはそういう風習を反映したものなんですね。
また、北米では、DIY店に「家の材料」が普通に売られています。この材料を購入し、家を一から「セルフビルド」する人も決して珍しくないそうです。そんなDIY店があるので、家をメンテナンスするための材料にも事欠かないんですね。
なぜメンテナンスが必要なの?
メンテナンスが必要なのは、もちろん、経年によって、どうしても家が傷んでしまうからです。サッシが開けずらくなるとか、あるいは、大雨のときに水漏れするようになる、とか(ちょっと古い家で想像していますね)。快適に住むためには、メンテナンスはどうしても必要です。
でも、それだけではありません。家の価値を高く保ち続けるためにもメンテナンスは必要なんです。以前、「連載企画 初心者スタッフより」でも話題に出たんですが、家をせっかく購入しても、転勤などで、どうしても手放さなくてはならなくなるかもしれません。売ったりはしなくても、一定期間、貸し出すこともあり得ます。
そんなときに、家の価値が高くなるように、メンテナンスをちゃんとする必要があるというわけです。
こうした考え方は、メンテナンス大国(?)である北米では、ごく一般的なものなのだそうです。中古住宅を購入した人が、メンテナンスをきちんと行うことで、購入したときよりも高く売ることも、普通にあるのだとか。
一般に、日本の一戸建て家屋は、30年ほどで建物の価値がゼロになる、といわれています。でも、この現状が良いわけではないですよね。
メンテナンスをすれば、建て替えまでの年数も延びる?
メンテナンスにあまり費用をかけずに、家が全体的に傷んできたら、家そのものを建て替える、という考え方もあります。
ただ、建て替えはメンテナンスよりも圧倒的に多額の費用が必要です。また、「古くなったものは、スクラップ&ビルドしてしまえばいい」という考え方自体が、環境への配慮が当たり前になった今の時代にそぐわないものなんじゃないかな、と思うんです。
ちなみに、無印良品の家のコンセプトは「永く使える、変えられる」です。国が定める「長期優良住宅」の認定を受けることもできます。でも、こうした話も、メンテナンスをきちんとすれば、という前提での話です。そういうわけで、無印良品の家では、モデルハウスにいらっしゃったお客様に、購入後のメンテナンスについてもきちんとご説明しています。
メンテナンスの費用も、できるだけかからないように配慮されています。たとえば「木の家」の外壁にバルバリウム銅板を使用しているのは、耐久性が高く、メンテナンスのコストや手間が少なくて済むからなんです。
また、内装の壁は、壁紙と塗装から選ぶことができます。塗装にすれば、ちょっと汚れたところだけを自分で塗りなおしたりすることも簡単です。
家のメンテナンス費用について、購入前に気をつけることは?
いろいろ考えてみたことを、簡単にまとめてみます。
- (1)賃貸住宅に住むときには、メンテナンス費用を考慮する必要がないが、家を購入する場合には、購入後のメンテナンスにどのくらい費用がかかるのか、あらかじめ担当者と相談しておくのがよい
- (2)メンテナンスに費用をどのくらいかけるかは、家の持ち主の自由裁量だが、「家の価値を高く保つ」ため、また「建て替えまでの年数を延ばす」ために、メンテナンスはきちんと行ったほうがよい
- (3)メンテナンスしやすい家かどうかによって、メンテナンスにかかる費用が変わってくる。安く済むにこしたことはないので、できるだけ自分でメンテナンスできるようにするのもあり
家を購入する場合でも、マンションなどの集合住宅の場合は、管理組合などが各戸から定額の「修繕費」を集め、管理会社に相談しながら、共用部分である基礎・外装のメンテナンス費用に充てることが多いようです。とはいうものの、大掛かりな補修などになると、大勢の住人の意見が分かれ、「自分はこうしたいのに…」ともどかしく思うことも多々あるそうです。
一戸建ての場合は、すべてを自己責任で行わなくてはならない、ということですね。もちろん、工事業者の補償期間があったり、補償期間がすぎても、工事業者によっては相談にのってくれたりすると思います。しかし基本的には、すべてを自分が管理することになるので、そこが清々しく、楽しくもあるのですが、なかなかたいへんでもあるようです。ただ、その分、集合住宅よりもメンテナンス費用が安い傾向にあるようなんです。
どちらが自分向きか、というのは、人それぞれだと思うんですが、一戸建ての購入を目指す私としては、「すべて自分で」ということに馴染む必要がありますね。
購入費用の工面だけでなく、家を買うためには、いろいろと考えなくてはならないことがありますね。やはり、こうやって、まとめていかないと、私の小さな頭ではわからなくなってしまいそうです(汗)。
さて、次回は、さきほどちょっと話題にした、「集合住宅と一戸建て。それぞれの長所と短所」を考えてみることにします。
また、多くの方からいろいろご意見をいただいております。ありがとうございます。すべてはご紹介できませんが、折をみて、みなさんからお寄せいただいたご意見も紹介していこうと思っています。
次回以降も、ぜひおつきあいくださいまし。 m(_ _)m