価格も安い狭小住宅こそが、ほんとのエコ? 一室空間がポイント。

初心者が家を買う | 2010.3.16

FUJI 男性・独身。結婚したいさかりなお年頃をやや過ぎてしまった。結婚のために家を買う、というのが人生の当面の目標。しかし貯金は少なく、実現はいつになることやら…。   CHAKA 女性・既婚・子どもあり。2年前に自宅マンションをリフォームしたが、思ったほど満足していない。歯に衣着せぬ辛口トークで他のスタッフに恐れられている。

今日は…、主張したいことがあるんだ!

青年の主張ならぬ、中年の主張ですか…。で、何でしょう?

このコラムのテーマって、「僕がいかにして家を購入するか」ってことじゃない?

いや、それは違うと思いますが…。「家を購入した経験のない初心者が、家を購入する際に悩んだり、迷ったりすることは何か?」がテーマだと思うんですけど。まぁ、それは置いておいて、中年の主張の内容は何でしょう?

貯金の問題もあって、家の購入計画がちっとも進んでいないわけですよ。その理由がなんだかわかったような気がしてさ。貯金がないんだから、できるだけ安い価格で買いたいんだよね。ということは、自然と、家を建てるにしても、すごく小さいサイズにすればいいんだ、って気付いたわけ。ということで、「狭小住宅の良さ」について、今日は主張しようと思ってるんだよね。

意外に…、なかなか興味深いテーマですね。

でしょ!

で、FUJIさんが思うに、「狭小住宅の良さ」って、何でしょう?

えー、ちょっと調べたんだけど、一般的に「狭小住宅」というと、15坪とか50平方m以下の土地に建てられたものをいうらしいんだよね。とはいうものの、土地の広さが同じでも、土地によって、建ぺい率とか、容積率とかの制限が違うから、そこに建てられる家の大きさも変わってきてしまうよね。

はい、そうですね。

それで、必ずしも15坪とかいう土地の広さに関わりなく、建築面積が10坪くらいのものを考えてみようと思うわけ。

なるほど。この「無印良品の家」のウェブサイトに掲載している「木の家」のプランバリエーションに「3間×6間」の例を掲載してますけど、それよりもひとまわり小さいイメージですね。実際に、「施工例」のページには、そのくらいのサイズのお宅も掲載してますよね。

そう、僕も「施工例」を見てて、気付いたわけよ。「自分だったら、もっと小さいサイズでも問題ないんじゃないか」って。ほら、僕って、あんまり所有欲とかないじゃない? 自宅にものがほとんどないし。

確かに、お給料の使い道が、飲みに行くとか、そいういうことばかりに消えていってしまってるようですから…。

いやぁ、今となっては、給料を飲み代に使っていたことを、ほんと良かったって思ってるよ。

じゃなくて、ちゃんと反省したほうがいいと思いますよ! そんな歳になって、貯金もないことを…。

 

狭小住宅こそが、ほんとのエコ?”

で、本題に入るけど、狭小住宅の良さについて、ね! まずは…、「小さいサイズの家だと、建築費が抑えられる」ってことだね!

それは大切なポイントですよね。前回のコラムも、そういう内容でしたけど。

次に、「家のサイズが小さいと、冷暖房などの光熱費も抑えられる」ってこと。これは安さだけじゃなくて、エコの面でも、非常に重要だと思うんだよね。ほら、電気消費量を減らすことは、二酸化炭素の排出量を減らすことに繋がるでしょ?

確かに、それはいい着眼点ですね。光熱費のことだけじゃなくて、そもそも必要な建築部材が少なくなる、ということがエコだといえるでしょうね。環境問題って、温暖化にスポットが当たりがちで、さらに二酸化炭素の排出量のことばかりが語られがちですけど、それ以外にも環境問題っていろいろあるわけですから。

そうか…。

そもそも、地球温暖化を促進する温室効果ガスって、二酸化炭素の他にもメタンとか、いろいろあるんです。あくまで二酸化炭素の温室効果が高いから、全部ひっくるめて、「二酸化炭素の排出量に換算すると…」ということにしてるわけです。

あ、そうなんだ。

さらに、温室効果ガスを直接排出する量だけじゃなくて、森林などの自然を破壊すると、二酸化炭素などの吸収量も減っちゃうわけですし。だから、そういう観点からすると、「使う建築資材が少なくて、つまり将来廃棄する建築資材も少ない」ってことは、すごく環境保全のためには価値があることだと思いますよ。

なるほどね…。ということは、できるだけ建て替えたりせずに、同じ家に長期間住むことは、さらに環境にとって良い、と。

まぁ、「ものを長く使うことが大切」っていうのは、当たり前といえば、当たり前のことなんですけど…。でも、実際問題として、日本の住宅って、世界の先進国の中でも、群を抜いて平均寿命が短いといわれてますから…。

 

一室空間なら、狭くても大丈夫?”

ふーむ、ということは、「間取りが変えられて、家族構成やライフスタイルの変化に対応できる一室空間」は、環境にもいい、ってことね?

まぁ、あんまり環境のことばっかり言ってもアレですから…。

いや、ちょうど、「使い勝手の面から考えると、狭小住宅では一室空間しかない」ってことを主張しようと思ってたのよ。

それも、前回のコラムでちょっと話題にしましたけど…、「将来いるかもしれない」子どものことを想定して、家の間取りを決める、ってのは、個人的にはあまり賛成できないんですよね。たとえば、建築面積が10坪くらいで、2階建ての家を想定すると…、個室を、夫婦用、ふたりの子ども用と3つ用意すると、それぞれの寝室って、四畳半もないくらいの大きさになっちゃうと思うんですよ。

すると、各個室は設けたりしないで、リビングダイニングルームを広くして、食事以外のこともダイニングテーブルでこなせるようにする、とかって発想が重要だよね。子供が勉強したり、親が趣味のことをするのもリビングダイニングルームで、っていう感じで。収納も各個室に設けるんじゃなくて、家族で共有にする、とか。子供が生まれるまでは、寝室を個室として設ける必要とかも特にないじゃない。

そうなんですよね。そのほうが、将来子どもが生まれても、生まれなくても、どちらでも対応しやすいですから。どうしても個室が必要なようであれば、子供が中学生から高校生にかけてくらいの間だけ、壁で仕切って個室を設ければいいわけですから。

するとさ…、「家なんて、みんな狭小住宅で良い」ってことにならない? 僕の先見の明、というか…。

それはさすがに極論です。二世帯で一緒に住む場合もあるわけだし、ご自宅で仕事をなさる方もいるわけだし。あるいは、FUJIさんと違って、ものの量がどうしても多い場合もあるわけですから。

 

都心の狭小地はお得?”

あとさ、東京23区内のような都心部だと、狭小地ってけっこうあるじゃない?

確かに都心部では、遺産相続のときなどに土地が分割されて小さな単位になってしまう、という傾向がありますね。販売価格については、立地の問題もあるので、狭いから安いとは一概には言えないと思いますけど、固定資産税は累進的な性格があるので、狭いほうが割安ですよね。

それで、家は建てたけど、駐車場のスペースがない、とか、そういう理由があるから、人気がなくて、安い価格で売られていたりすることがあるんだよね。そういうのに目を付けていこうと思ってるわけよ。

あれ、FUJIさんは運転免許証を持ってないんでしたっけ?

そんなもの、持ってません!

別に威張ることじゃないと思いますけど…、確かに車を持たないのであれば、駐車場がいらない分、土地は狭くてすみますもんね。

都心部って、土地の価格が高いじゃない? だから、どうしても家を建てるときにも狭い土地しか購入できなかったりするわけだから…、その分を都心部という利便性の高いところに住んでいる、と考えて、不要なものを持たない生活を目指そうと思ってるんだよね。車がなければ自転車でいいわけじゃない。あっ、ほら、車に乗るよりも、自転車に乗るほうが、これもエコでしょ?

まぁ、ちょっと極端な意見ですけど…、基本的には賛成かな。

むふふ…。今回の主張は、なかなか良かったのではないかのぅ?

【今回のまとめ】

  • 狭小住宅は、建築費が抑えられるだけでなく、環境にとって良いという側面もある。
  • 狭小住宅の場合、個室を設けると、非常に狭くなってしまう。一室空間の間取りは、狭小住宅では特に活きる。
  • 都心部に住むということは、利便性が高いわけだから、思い切って「ものを持たない暮らし」を目指す。その結果、狭小住宅でもゆとりを持って住めるはず。

確かに、私たちの世代って、「デートのときには車で…」っていう感覚があったじゃないですか? でも、今の都心部の若い世代は、そういうことをあまり気にしていない、っていいますよね。

むむ、何だ? 僕が結婚できないのは、運転免許証と車を持ってないせいじゃないよ。ちゃんとデートをするときを想定して、自転車に荷台をつけてあるもん。ふたり乗りできるようにさ。

車を持ってないのはいいですけど、そんな子供みたいなことを言ってるから、お相手がみつからないんですよ。そもそも、「自転車にふたり乗りしたい」なんてのは、せいぜい高校生くらいまで、です!

やだなぁ。みんな、少年の心を失ってるよ。

そもそも、自転車の大人ふたり乗りは法令違反ですよ。何言ってるんですか…。