仏間がないときには、仏壇はどこに置く? これって収納の問題?

初心者が家を買う | 2009.12.8

FUJI 男性・独身。結婚したいさかりなお年頃をやや過ぎてしまった。結婚のために家を買う、というのが人生の当面の目標。しかし貯金は少なく、実現はいつになることやら…。   CHAKA 女性・既婚・子どもあり。2年前に自宅マンションをリフォームしたが、思ったほど満足していない。歯に衣着せぬ辛口トークで他のスタッフに恐れられている。



先日、お客様からこんなご意見をいただいたんです。

家を建てるにあたって、仏壇をどこに置いたらよいか、迷っています。いわゆる「仏間(ぶつま)」は設けないつもりなのですが、どうしたらよいでしょうか。
インテリアに合う、合わない、という問題もあるので、何かいい解決法があればと思うのですが。


確かに、こういうことは考えたことがなかったなぁ。


長男の方とかは、けっこうこういう悩みを持っていらっしゃるかもしれませんね。


代々受け継がれてきた仏壇を、両親が亡くなると長男が受け継ぐ、ってことね。でも、ウチの実家には仏壇はないような…。


仏壇がないお宅も増えているようですけどね。仏壇って「北向きには置かない」なんていうルールもあるみたいですし、気を使うと、なかなかたいへんそうです。


そういえば、仏壇を階段下に置くのもよくない、ってのも聞いたことがあるなぁ。

 

収納スペース、ユニットシェルフに仏壇を置く?


そういえば、先日お邪魔したお客様の家でも、そういう話題でたよね?

両親が亡くなったのをきっかけに家を建て替えました。仏壇も引き継いだのですが、部屋の中に「どーん」と置くのは、インテリアにマッチしないので気乗りがしませんでした。かといって、見えないように押入れの中にしまっておく、というわけにもいきません。
幸い、開放できる収納スペースを設けてあったので、その収納スペースにユニットシェルフを組み、そこに仏壇を置くことにしました。実はユニットシェルフのサイズには、ほんのちょっとだけ合っていないんですけど、そこは目をつむりました。


これはなかなかいいアイディアですよね!


ユニットシェルフに仏壇を置けば、好きな高さにできるよね。床に座ったときの 目線の高さに仏壇を合わせたり、立ったときの目線の高さに合わせたり、自由にできるし。


収納スペースの扉を半透明にするのは、本来は、収納スペースの中のものを隠しながら、一方で収納スペース内を明るくして使いやすくしたり、また、何が収納されているのかをわかりやすくするためなんですけど。


それが、仏壇を置いたときにも、仏様の気配が感じられやすい、ってメリットがあるかもね。

 

サザエさんの家には仏間がありますが…


そもそも、今どきの住宅って、仏間がないじゃない。


そうですよね。仏壇って、向きや高さの問題がありますから、以前であれば、家を設計する段階で仏壇の場所や向きを決めて…、というふうにしていたわけですけど、建売住宅なんかを見ても、仏壇のための場所を設けてあることが少なくなってますよね。


でも、仏壇を置くかどうかは、「急に仏壇を受け継ぐことになった」なんて具合に、必ずしも主体的に決められるわけではないから、予定がなかったのに仏壇を置くことになったりして、困っちゃうわけね。


サザエさんの家には、仏間があるじゃないですか。確か、茶の間と続いている部屋が、畳敷きの和室になっていて、そこに仏壇があるんですよ。


サザエさんって、1950年代の日本の平均的な家族の姿を描いているわけだから…、そう考えると、少なくとも50年ほど前には、仏間があるのが日本の家屋の平均的な姿だった、ってことだもんね。


もちろん今でも、ちゃんと仏壇の場所を考えて設計することもあるんですよ。無印良品の家でも、そういう例、ありますもん。


収める仏壇の大きさに合わせて、ちょうど良いサイズの収納場所をつくりつけたわけね。しかも、畳敷きじゃなくて木材フローリングだけど、座ってお祈りすることも考えて、仏壇の前だけに「イ草ユニット」を敷いてあるのね。

 

仏壇の場所を考えることは、収納について考えること?


サザエさんの家って、波平の代からタラちゃんの代まで一緒に住んでいる「大家族」であって、世帯別に住んでいる「核家族」じゃないよね。だから仏壇を受け継ぐ問題とかを気にする必要もなかった、ってことかな?


いえ、「核家族」ということばが注目されるようになったのは、1960年代なんですけど、実際のところ、日本人は江戸時代から「長男以外は、結婚したら家を出て独立する」というのが一般的で、つまりは核家族が普通の形態だったらしいですよ。


そうか…。じゃあ、仏壇の問題って、家屋が洋風になったらか、という理由が大きいのかなあ?


そうかもしれませんね。とにかく、仏壇を置くために、専用の収納スペースや和室を設けようと思うと、ハードルが高くなると思うんです。しかも、家を建てた後に仏壇を受け継ぐ可能性もあるわけですし。


家を建てる前に仏壇の場所を心配するのではなく、家を建てた後で、仏壇にふさわしい場所を考えることが重要、ってことね。そういう意味では、ユニットシェルフに仏壇を、っていうアイディア、参考になるね。


そうなんですよ。それで、今回、この「仏壇の置き場所問題」って、すごくいいテーマなんじゃないかな、と思ったんですよ。


え? どういうこと?


仏壇に限った話じゃなく、収納の問題って、家を設計したり、建てたりする瞬間だけの問題じゃないですよね。家を設計する際に、そのときに所有しているものをすべてきれいに収納できるだけの収納場所や棚を設けたところで、1年後とか2年後とか、しばらく時間が経つと、必ずものが増えてしまうんですよ。だから、家を建てるときにも、つくりつけの収納棚をあまり多くせず、収納するものの大きさや量が変わっても対応できるようにするのがおすすめなんです。つくりつけの収納棚って、見た目はすっきりしていいんですけど、収納するものの変化に対応しづらい、っていう弱点もありますからね。


それって…、自宅をリフォームしたときの反省なわけ?


そうなんです…。


だから無印良品の家も「永く使える、変えられる」をテーマにしているわけだね…、って、なんか、今回はうまいオチがついたなぁ。


このコラムも、たまには、ちゃんとした内容にしないと(笑)。


【今回のまとめ】

  • 仏壇の置き場所に困っている人もけっこういる。
  • サザエさんの家には、ちゃんと「仏間」があるが、現代の日本の家屋は、専用の「仏間」を設けないケースも増えている。
  • 仏壇は必ずしも専用の収納スペースに置かなくてもよいのではないか? 家を建てた後に仏壇を受け継ぐ場合もあるし。そこはアイディア次第。
  • 僕は三男なので、仏壇の置き場所の心配をしなくてもよさそうだ。それよりは、自分の結婚相手(募集中) 、そして後継者の問題のほうがずっと心配だ。


あっ! 先週も、変なまとめはしなくていい、って言ったじゃないですか! せっかくちゃんとした落ちがついたのに!


……。
今週も皆さんからのご意見をお待ちしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。