「たて管」から考える暮らしの知恵

団地から考える暮らしの知恵100 | 2023.11.30

第四十三回
「たて管」から考える暮らしの知恵

前回まで、今まで提案してきた知恵を組み合わせることで、新しいライフスタイルの「暮らしの知恵 レシピ」となる提案をしてきましたが、今回からまた団地暮らしで役に立つアイデアを提案していきたいと思います。

改めて団地の住まいを観察してみると、団地には排水のための「たて管」がたくさんあることに気づきます。排水が必要なのは、キッチン、洗面、お風呂、トイレ、洗濯機といったところです。

その中でも、洗面の排水は、洗面台のすぐ横にたて管があり、生活の中で常に目に触れるところでもあります。しかし生活を便利にする機能としては特に役には立っていません。

そんな洗面のたて管を、素敵にアレンジできればより良い暮らしができるのではないでしょうか。そんな暮らしに役立つアイデアを考えてみたいと思います。

<暮らしの知恵(1) アイデア紹介 – トイレのたて管を模したストッカー ->

第二十三回「団地のトイレ」から考える暮らしの知恵では、たて管の外径とトイレットペーパーの外径がほぼ同じであることを利用して、縦半分にカットした塩ビ管に、トイレットペーパーを縦に積んでストックするアイデアを提案しました。

たて管自体は何の役にも立っていませんが、その横に同じような形状のトイレットペーパーストッカーがあることで、トイレという味気ない空間が、用を足すとき、それを見る度に、少し楽しい気持ちになるのではないでしょうか。

<暮らしの知恵(2) あったらいいな空想レベル – たて管を利用した収納 ->

※たて管は共用設備なので、居住者が作り変えたり、ビスで穴を開けたりすることはできません。

そもそもたて管は、上階からの排水を下階まで流すために作られている共用部のものです。そのため、居住者が勝手に作り変えたり、ビスで穴を開けたりすることはできません。

そこでたて管に、簡易的に挟み込みだけで固定ができるような装置を開発してみてはいかがでしょうか。例えば、

・拡大鏡
・タオルバー
・プランター
・コップ、歯ブラシ置き
・スツール

これらを設置することができます。さらにスツールにキャスターを取り付ければ、たて管を中心に回転して移動することができそうです。
たて管に負荷をかけることなく設置できれば可能性も広がりそうです。

MUJI×URではたて管はそのまま生かして見せるデザインになっています。

芝山団地 MUJI×UR plan16 洗面のたて管をそのまま現したデザイン

金田一丁目団地 MUJI×UR plan34 キッチンのたて管をそのまま現したデザイン

このたて管に今回のようなアイデアが加わると、暮らしに役に立つ「たて管」になるのかもしれません。

いかがでしょうか? このようなちょっとした知恵で素敵な暮らしが実現する「団地から考える暮らしの知恵」を随時発信していきます。みなさんのご意見をお待ちしております。