暮らしのデータ化で未来の団地暮らし
築200年団地 | 2019.3.19
前回の団地再生物語コラム「団地で住宅スゴロクのその先へ」では、老後の住まいについて考えました。今回は、未来の高齢者の団地住まいについて考えてみたいと思います。
未来の住まい探し
現在でもインターネットで買い物をする場合、自分へのオススメ商品が表示されますが、それはいままでの買い物の履歴や閲覧履歴が登録されていて、そこから判断されているようです。つまりデータがパーソナライズされていて、最適なオススメ商品がその人ごとに変わります。
近い未来には、自分のいままでの住まい、現在の持ち物、家族数、体力、好きな場所、人のにぎわい加減など、さまざまな暮らしの項目を入力あるいは計測することができるようになりデータ化されるかもしれません。
そんな未来では、Amazon EchoやGoogle Homeのようなスマートスピーカーに呼びかければ、その家から計測されたデータからその人にぴったりの答えをくれるかもしれません。
暮らしのデータが最適化された未来では団地や間取りもデータ化され、住まいを探そうとするとAIによって自分の暮らしとのマッチングでオススメの団地暮らしが表示されるかもしれません。
団地には同じ間取りがたくさんありますが、団地の場所や階数や方位などによってその環境はことなります。
暮らしがデータ化された未来では、住戸選びが変わりそうです。
例えば体力がある、あるいは体力をつけたい人はエレベーターなし住棟の5階をオススメされるかもしれません。高齢者であればあるほど、いままでの暮らしのデータが数多く蓄積されることで、より自分に合った住まいがオススメされそうです。
コミュニティも同様です。近隣住人との距離のとり方によってオススメの団地が変化しそうです。
前回のコラム「定額家賃で自由に団地住まいをする未来」で提案した、定額制の団地住まいが実現すれば、その時々の暮らしにあわせて気軽に住み替えができそうです。
スキルと持ち物
仕事を引退した高齢者の住まい方では、社会への接点を持つことが重要になりそうです。
いままで培ってきたスキルもデータ化し、それを生かすことができたらどうでしょうか。例えば、英語や中国語といった語学、料理、囲碁・将棋、着付けといった趣味、プログラミング、DIYなどをスキルとしてWEBサイトに登録してそれを時間単位で販売したり、ワークショップを開いてもよさそうです。自分で自分のスキルの価値はなかなかわからないが、他人が入ること、情報のやりとりができる場所があれば価値化できるかもしれません。さらに、それが好評であれば起業して仕事を大きくしていくこともありそうです。
また、不要になった持ち物をデータ化し、WEBを使って売ることも考えられます。自分にとっては価値のないものでも、暮らしが違ったり国が違えばその価値も変わります。いまでもCtoCで直接売るサイトはありますが、例えば、無印良品が入って暮らしのアドバイスをすることで、家にあるものの要・不要の判別と独自の査定をし、海外の無印良品のサイトで販売をしたりすることで、新しい価値を発見することができるかもしれません。不要なものをただ捨てるのではなく、それが違ったかたちで生かされるのであれば意義はありそうです。
団地はもともとモデルの家族があり、同じ暮らしを想定していました。
これからはWEBを使って暮らしをデータ化し、最適化することでより自分に合った団地暮らしができるようになるかもしれません。また、集まって住む団地の利点を生かして社会と接点をもてるようになれば、楽しく余生を過ごせそうです。
みなさんはそのような団地の未来をどう思いますか。ご意見をいただければと思います。