第4期第8回 「理想の家」について
第4期 2017年〜 | 2019.4.16
無印良品の家では、さまざまな住まいのコラムを情報発信していくなかで、家づくりについてたくさんのご意見をいただいています。その中で、「家づくり(物件の購入・検討)をするにあたり、困難と感じた/感じている課題は何ですか?」という問いに、「購入資金の確保」を選択される方が57%いらっしゃいました。半分を上回る方が、「お金」について悩まれていたようです。
家づくりを進めるにあたり、避けて通れない資金計画ですが、また、自分がほんとうに住みたいと思う理想の家とのギャップをどのように捉えるか、今回は、理想の家とお金について、みなさんのご意見をお聞きしました。
今回のアンケートについてのコラム「『理想の家』は、お金持ちだけのもの?」も、あわせてお読みいただけると幸いです。
●回答総数:8,925名
●実施期間:2019年3月19日(火)~3月26日(火)
回答者のプロフィール
住宅を購入した方に、あなたが購入した家は、購入前の条件をどこまで実現しましたか? とお聞きしました。
戸建てを購入した方
住宅を購入していない方に、あなたが理想とする家の条件を「住宅の購入資金のことを度外視した理想」と、「住宅の購入費用が予算オーバーしたとき、妥協しても良いと思う点」をそれぞれお聞きしました。
理想の家として考える要望のうち、「これだけは譲れない」という回答の割合(住宅の購入資金を度外視して「絶対実現したい」を選択した人が、予算オーバーした時に「絶対妥協できない」を選ぶ割合)が高い順に並べてみたのが下の表です。
住宅の購入予定があり、かつ、戸建てを検討している方
土地を探し始めたら、希望エリアの実現は思った以上にコストがかかり、結局大切な家の基本性能を断念する、ということのないように、土地探し、資金計画をはじめから家と並行して進める必要がありそうです。
住宅購入時に、実現したかったが妥協した条件についてのエピーソードや体験談をお聞きしました。
リビングダイニングに耐震3を維持するための壁があり、眺めをさえぎる。が、耐震2におとして壁を取り払った場合、大地震がきたとき命は助かるだろうけれどもその後その家に変わりなく住み続けられるかというとそうではないだろうと思った。壁はそのままに、耐震強度も3のままにした。いまでは満足している。(鳥取県/20代/三世代世帯)
家づくり全体を通して、限られたコストのために様々な妥協をするとこは避けては通れないが、建築家の中には「限られたコストの中で最大限の工夫や素材等の選択をして、満足度の高い家をつくる」という考え方を持っている人がいる。そしてそういうコンセプトで家づくりができるということを知れたこと。計画当初からハウスメーカーの家に魅力を感じられなかったが、建築家とならコストも考えながら全てを0から決められると分かり、依頼したため、結果的には「妥協した」という感覚にはほとんどならなかった。(千葉県/30代/夫婦二人世帯)
庭の施工会社を別にしたが、特にそこにする必要はなかったかも、と後から思った。考えている時はフワフワしていて、妥協するとダメだ、と何とか実現させようと頑張ったけれど、予算には限りもあるし、無理をする必要がない所にまで無理してしまった。(兵庫県/40代/親子世帯)
太陽光発電を設置したかったが予算の都合で断念しました。ですが10年目の外壁と屋根のメンテナンス時に同時に導入。新築時は無理だったけどじっくりお金を貯めて満足のいくシステムを導入できました。後付けが簡単にできるものとできないものがあると思います。そのあたりを見定めて予算の調整をするのって大切だなと感じました。(神奈川県/40代/親子世帯)
降って湧いたように主人の意見一つで購入した家でした。子育てに忙しくて考える余裕がないままに建ててしまい、希望を出したのはキッチンの設備のみ。資金、長い返済、将来的におこる修理など全く考えていませんでした。現在子どもたちが巣立ち空になった個室、資金計画を立てることなく見切り発車してしまったため手持ちの貯金がないため、雨漏り、設備機器の老朽化に手がつけられません。家を建てる事は人生の中で大きな出来事であり買い物でもあります。無理のない返済、生活は変化していくこと、将来の見通し、年齢を重ねていくことに伴う身体の変化。まず、購入する前に経験した方やアドバイスを多方面からリサーチする事をお勧めします。残念ながら手放すことも住み替えすることもできない今の家。 大きなお荷物になってしまいました。できるなら賃貸に住みもう一度家についてゆっくり考え直したい。と叶わない夢を見ている毎日です。(静岡県/50代/夫婦二人世帯)
住宅の資金についてお聞きしました。20~39歳にしぼって比較しています。
住宅にかける月々の金額[20~39歳]
住宅の支払い期間(ローン期間)[20~39歳]
本アンケートでは、住宅を購入した方には、購入当初の支払い期間を回答いただいているため、繰り上げ返済の計画や実行については考慮していないものになりますが、それにしても住宅購入における月々の支払い金額と支払い期間には、購入者と検討者で大きな差があるようです。
「いくら貯金をする」という具体的な目標・目安[20~39歳]
住宅購入にまわせる資金、貯金(頭金など)[20~39歳]
住宅を検討している方(検討者)が想定しているほどに多額の貯金がなくても、住宅は取得できるということを表しているようです。
住宅購入時の資金計画、貯金や頭金、借り入れなどについてのエピーソードや体験談、これから家を購入する人へのアドバイスをお聞きしました。
マイホームの夢はあったもののなかなか貯金が出来ず。そんな時に良物件を見つけ親に頭金を借りることになってしまった。少しでも積み立て貯金はするべきだと思います。(北海道/40代/夫婦二人世帯)
携帯代金の支払いミス(引き落とし口座の金額が足りなかったなど)、滞納があるとローンが組めません。数年は記録が残ってしまうので、家を買うチャンスがなくなるかも… 支払い系はクリーンに、きっちりやっておいた方がいいです。(千葉県/30代/夫婦二人世帯)
自営業の主人の仕事が破綻し、住んで2年程で手放してしまった。条件にあまりにピッタリの土地だった為、「今逃すとこの土地が買えない」との焦りから、頭金もまともにないのに、月々の返済も無理な額の設定をし、「家を買う・建てる」目先の事しか見えていなかった。学費も増えていく、そんな当たり前の事すらまともに考えていなかった気がする。5年後子供がいくつになりいくら学費がかかる、では8年後は?10年後は?とキチンとプランニングしないと買ってはいけない、と痛感した。(兵庫県/40代/親子世帯)
打ち合わせを進めていくとアレもコレも希望が出てきて、金銭感覚も麻痺してくるが、絶対にローン返済の無理をしないこと。(愛知県/30代/親子世帯)
貯金も頭金もほとんどなくても、買えるときに買いたい家を買うのがいいと思います。貯めて貯めて待っていたら買いたい家がなくなってしまうかもしれない。買ったら買ったでがんばれるし、後悔はないです。(千葉県/30代/親子世帯)
頭金があることに越してことはないが、貯めているうちに家や土地の値段、ローンの利率などが上がってしまうこともあるので、年齢なども考えて、月々返していける見通しがきちんとあるのであれば、頭金を貯めることにこだわらずタイミングを見て建てても良いと思う。家そのものの他に、建ててからも細かいものに意外とお金がかかるとわかった。予算よりも必ずオーバーすると思った方が良い。(北海道/40代/親子世帯)
貯めてから建てたいと思っていたけど、なかなか貯まらないので、元気で働けるうちに購入したほうがいい。(佐賀県/40代/親子世帯)
35年返済でも年齢的に繰り上げ返済をしなければならない場合は、実際毎月いくらずつ返済+αなのかしっかり計算したうえで借入金額を考えた方がいいと思う。今の家賃=35年間の毎月の返済額とは違う。(山梨県/30代/親子世帯)
購入した時期は、「頭金無しで購入できる」って言葉が売りだった時代でした。まわりに家を購入する人も多く、購入する事が簡単に出来てしまうような時代だったため、購入後に発生する税金の話とか、リフォームの事とか全く考えず、勉強不足のまま購入しましたので、今後購入する方には、購入した後の税金とか、何年後にはリフォームが必要でどの位かかるのか、詳しく説明してあげてほしいです。(千葉県/50代/親子世帯)
健康診断で悪い結果を出さない。診断結果により、団信に入れなくなってしまう可能性があるから。(神奈川県/30代/三世代世帯)
今回のアンケートでは、住宅の購入資金について、購入者も検討者も、きちんとした資金計画なしに家づくりをはじめている方が思った以上に多いことに驚いた方も多いのではないでしょうか。
金利の安いいま、必ずしも多額の資金を「貯めてから建てる」必要性はないと思いますが、少ない資金で家づくりをスタートするときこそ、将来設計と組み合わせた綿密な資金計画は必要になると思われます。例えば、購入した家に家にずっと住み続けるのか、将来住み替えを予定しているのか、将来の働き方や子どもの進学など、家族にとって大事な事柄で資金計画は立てられ、家を取得する時期、場所、間取りなどで予算が大きく変わってくるので、資金計画抜きでは土地の決定、家の設計はできないはずなのです。
資金計画には、さまざまな知識と経験が必要です。プロに相談してみると、思っていたより明るい気付きがあることも多いようです。実際に住宅を購入した方からのアドバイスも、ほんの一部ですがご紹介させていただきました。今回のアンケート結果を見て、私たちが考えている以上に資金計画が軽視されていることに気付き、もっともっと資金計画の大事さを訴えていかなければならないという思いを新たにいたしました。お金と家づくりについて、さらにみなさんと一緒に考えていきたいと思います。