第3期第7回「間取りについて」
第3期 2011年〜 | 2013.7.16
今回のアンケートは、間取り全般についてお聞きしました。
部屋の広さが限られている場合に、どのような空間を優先して間取りをつくることがいいのか、
みなさんのご意見をうかがいました。
●回答総数:5,492名
●実施期間:2013年5月30日(火)~ 6月6日(木)
回答者のプロフィール
部屋の広さが限られたマンションを想定してご回答いただきました。
<バスルームとトイレについて>
トイレと脱衣所は一緒でもいいと思いますか。
部屋の広さが限られているマンションの場合、バスルームの隣を、トイレと脱衣所を一緒の空間にすることで、水まわりがコンパクトになります。洗濯機は他の場所に置くこととし、ホテルのような空間をイメージしてご回答いただきました。
トイレと脱衣場は分けたいという方が76%と圧倒的に多いのがうかがえますが、しかし18%の人はトイレと脱衣所が一緒でもいいと答えているのも興味深い数字です。
バスルームからリビングルームが見えたらいいと思いますか。
バスルームとリビングの間に窓があったり、ガラスになっていると便利だと思います。バスルームからリビングが見えたら、お風呂に入りながらテレビが見れたり、部屋の様子もわかります。
ここでは79%もの人が否定的です。ホテルのような空間は日常では向いていないのかもしれませんが、しかしやはり12%もの人が共感していることにも注目したいとところです。
バスルームと外のベランダがつながっているといいと思いますか。
バスルームが、縁側のようなベランダとつながっているといいと思いますか。
季節の風や香りを感じたり、鳥や虫の声、街の音を聞きながらお風呂に入ることができる、窓を開けると外のベランダとつながっているバスルームをイメージし、また、暑い夏の季節は、裸のまま縁側(ベランダ)で涼むことができる、ベランダが縁側のようになっていて、バスルームから縁側(ベランダ)に出ることができるバスルームについてお聞きしました。
この2つの回答は、ともに共感度が半数を超えました。縁側は、日本人の原風景といえるのかもしれません。お風呂上がりに外で夕涼みをしたり、お風呂の中でも自然を感じたりという、温泉に行ったかのような気持ちになるものです。
お風呂は身体を清潔にするという目的だけでなく、身体も心も一緒に休めることができるものなのでしょう。マンションであっても、お風呂の場所を考え直してみる必要がありそうです。
<入浴について>
シャワーだけで済ます日がありますか。
夏はシャワーだけで過ごすという人が半数を超えますが、年間を通してでは、やはり湯船にお湯を張ってつかる人の方が多いようです。
バスルームに湯船(バスタブ)がなく、シャワーだけでもいいと思いますか。
大きなお風呂より、快適なシャワールームのほうがいいのではないかと、小さなワンルームマンションで一人暮らしの生活をイメージしてご回答いただきました。
60%もの人が湯船(バスタブ)があったほうがいいと答えています。それでも30%の人はなくてもよいと答えていて、もっと快適なシャワールームを考えることも必要なのかもしれません。また湯船があるとしても、もっとコンパクトな空間を考えることもできるかもしれません。
<寝室について>
部屋の広さが限られているマンションの場合、リビングやダイニングといった「共有部分」と、寝室のような「個室空間」のどちらを優先したいですか。
多くの人が、寝室などの「個室部分」を小さくしてもリビングなどの「共有部分」を広くとりたい、と答えています。
家は寝るところというより、生活をするところ。家族のコミュニケーションや好きなことをする空間が大切なのでしょう。
だとすると「個室部分」はどのくらいまでコンパクトにできるのか、ということも気になります。このことについてはもう少し検証していきたいと思います。
寝室では、寝る以外に何をしますか。
前の設問からは、個室はコンパクトでもいいように読み取れますが、この設問からは寝室は寝る以外にも多くのことをしていることがうかがえます。
ストレッチ、ヨガ、趣味のことなど、少しスペースが必要なこともしているようです。一方で、寝る以外には何もしないという人も18%もいます。こうした人の暮らしをもう少し調べてみたい気もします。
夫婦+こども世帯の方にお聞きしました。寝室ではどのように寝たいですか。
夫婦+こども世帯では、現状49%もの人が家族全員で寝ています。そして理想としても31%の人が、家族全員一緒で寝たいと答えています。無印良品の家で提唱している一室空間のあり方も、この場合うまく適合しそうです。
一方で、理想としては、夫婦とこどもとは分かれて寝たいという人が43%となり、現状では部屋の間取り数や面積が足りなくて、仕方なく一緒に寝ているということもわかります。
夫婦世帯では、夫婦別室を理想とする人が21%もいるのも注目したい数字です。その場合、どんなことを個室でするのでしょうか、寝るだけでしょうか、それとも仕事などもするのでしょうか、もう少し深く調べてみたいところです。
空間の自由度があまりないベッドと、空間の自由度が高い布団、どちらがよいですか。
布団は使わない時はたたんでしまえば部屋を広く使えます。空間の自由度が高くなりますが、毎日の布団の上げ下ろしは面倒です。
夫婦+こども世帯では、布団派の割合が多くなっています。布団派のなかでも、フローリングの上に布団という方もある一定量いることも注目の数字です。家族のかたちは時代とともに変化するものです。ベッドでの生活を希望するベッド派が多いですが、布団で暮らす時期というのもあるのかもしれません。
<玄関について>
いろいろなタイプの玄関についてお聞きしました。
玄関先で近隣とのコミュニケーションができるのはどうでしょうか。家の奥までは入らずに、しかし、玄関には人を入れてお茶を飲んだりするのも悪くなさそうです。
「格子戸のようなもので中が見え隠れするのがいい」57%、「玄関先で訪問者と少しはなせるといい」79%、「土間があるといい」72%という数字から、玄関のありかたがもっと考えられてもよさそうだということがわかります。今後、具体的な玄関先の間取りについてもっと考えてみたいと思います。
玄関からベランダの風通し(通風)と、日当たり(採光)ついてお聞きしました。
玄関には通常網戸はつきませんが、格子のようなもので通風はありながら、鍵もかけられるような扉や、ルーバーがあれば便利かも知れません。
多くの人が風通しや日射しのコントロールに関心があるようです。マンションの玄関側の壁が改良されると風通しは一挙によくなります。日射しをうまく遮断しながら、風の通る家を考えてみる必要がありそうです。
<キッチンについて>
キッチンの床を低くすること、キッチンの使い方についてどう思いますか。
キッチンに立って作業をするとき、キッチンの高さがダイニングやリビングの床よりも20cmくらい低いと、リビングにいる人との目線が同じ高さになります。
キッチンカウンターがある場合でも、20cmくらい床が低いことで、カウンターチェアではなく普通の高さの椅子を置くことができます。
「キッチンカウンターとダイニングカウンターが一体型でもいい」63%と共感度が高いのがわかります。しかし参考画像のような一体型にすると、どうしてもキッチンの高さとダイニングテーブルの高さがそろいません。そして床に段差があるのは面倒だと答えている人も多いのも実態です。しかし具体的にこうした空間を目にしたことも少ないでしょうから、もう少し提案内容を検証していきたいところです。
ともあれ、キッチンで家族のコミュニケーションが求められているのは想像がつきますし、料理をしながら一緒に食べるというのも現代的なキッチンのかたちとも言えそうです。
ダイニングカウンターとキッチンカウンターがつながって一体になっているものをいいと思いますか。
大きなダイニングカウンターに、ガスコンロなども埋め込まれているようなものをイメージしていただき、キッチンに立って料理をする人と家族が、一緒に食事ができるカウンターについてお聞きしました。
このダイニングカウンターとキッチンカウンターがつながって一体になれば、食事の仕方も変わるかもしれません。
これには63%もの人が共感しています。キッチンの高さとダイニングテーブルの高さには段差がありますが、料理をしながら家族も一緒の空間にいるというのは楽しい空間となるでしょう。参考画像のように思い切って大きなダイニングテーブルを中心に家族のありかたを考えるのも悪くないかもしれません。
今回は多岐にわたっての質問となりました。今までも間取りについて個別にうかがってきたのですが、もう少し深く聞いてみたいと考えてアンケートを実施いたしました。
ホテルのような水まわりはあこがれのようにも思いましたが、実際にはあまり共感度が高くないこと。しかし、ベランダや外の空間とつながることにはとても共感されていること。夫婦別室で寝たい人が21%もいることや、反対に夫婦とこどもと家族全員で寝たい人も49%もいることがわかりました。
理想の住まいのかたちはさまざまです。玄関先のありかた、陽射しや風のコントロールについてももっと考える必要がありそうです。今回のご意見を反映した間取りを検討しながら、今後もコラムなどでみなさんのご意見をうかがっていきたいと思います。たくさんのご回答ありがとうございました。