vol.26 理の家
「無印良品の家」で暮らしている方を訪ねて愛知県豊川市へ。
建築家の永山祐子さんが、心地よく整頓された「木の家」に会いに行きました。

施工例 | 2019.5.14

ダイアログ1

だから、ここに建てました

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「木の家」
T邸|愛知県、2016年12月竣工
延べ床面積: 111.79m²(33.81坪)
家族構成: 夫婦・息子2人

永山祐子さんが会いにいった家

暮らしに「広さ」は求めず、気持ちが隅々まで行き届く1DKのこぢんまりとした生活に満足していたTさん夫婦。
やがて長男が育ち、活発に動き回るようになると、そんなライフスタイルの見直しを迫られるようになります。
手っ取り早く分譲住宅を探すか、土地を探して家を建てるか。
Tさんは自分たちが長年暮らす場所にちゃんと投資しようと、後者を選びました。それから土地を探し始めて2ヶ月。
Tさんが思い描く「家」に合う、南に開けた敷地に出合います。
その家とは「体験@無印良品の家」で、居心地の良さを実感した「木の家」です。高断熱仕様のおかげで屋内の寒暖差がなく、一年を通して快適に過ごせることも決め手になりました。
2人の子供の将来のため、駐車場は4台分を確保しています。

「こんにちは~」
「おじゃまします」

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永山さん
収納も空間の使い勝手も、足したり引いたりできるよう、うまく考えられています。建築家の発想から生まれた家という印象ですね。

キレイな収納に感動!

永山さん
玄関には土間があって、靴とアウターの収納も兼ねているんですね……。収納がとてもキレイ。感動です!!
ホントはクローゼットもここに収めようと計画していたんですよ。家族が家に帰ってきて、この土間の収納スペースを通ると、自然に部屋着に変身して、向こうからリビングに出てくるアイデアだったのですが。これが限界でしたね。
永山さん
画期的! 確かに収納は全部同じスペースにまとめると楽ですよね。うわ! キッチンの収納もすごくないですか。う~、もうキレイすぎて泣けてきます。驚きですよ。単純に持ち物が少ないから整然と片付いているのではなく、煩雑になりがちな子供のおもちゃや学校道具もカゴを使ってキレイに収納してますよね。

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そんなに褒めていただいたの初めてですよ。しかも永山さんに。
永山さん
これって、最初に収納の仕組みやシステムのルールを考えて……。
はい、あとはそれを守るようにするだけですね。いつも仕組みやシステムのことばかり考えています(笑)。基本は家具とケースの組み合わせの足し引きで、どんどん変えられるように。
永山さん
時間とともにモノの量や比率も変わるし、今を基準にするのではなく可変的に対応できるよう考えるのは大事ですよね。というか、もう、人に合う収納の仕組みやシステムを提案する、パーソナル収納トレーナーみたいな仕事されたほうがいいですよ(真顔)。
えええええ、考えたことなかったです。
永山さん
ちょっと、もう……自分もがんばろうって思いました。えーと、どうしても収納にばかり目が向いてしまいますが、この家は空間へのアプローチが特長的ですよね。玄関ドアを入ると直接リビング。玄関スペースがなくて、リビングインで。
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玄関スペースがないのはどうかなと思っていたけど、暮らしてみると開放的で、むしろ快適ですよ。僕が育ったのは、廊下で部屋が振り分けられている家でしたが、ここで暮らすと、そもそも廊下って何で必要だったんだろうと思います。
永山さん
空間を分節して部屋をたくさん欲しい家族には、各個室にアクセスするための廊下が必要ですが、最近の建築家の住宅は、大きな空間に個々のスペースをつくる傾向にありますからね。トイレやお風呂とか、どうしても仕切りたい場所以外は、できるだけフレキシブルに考えるようになりました。まさにこの「木の家」のようなプランです。でも、昔の日本家屋も、大広間を建具で自由に仕切って、道具を置き換え、多目的に使えるよう考えられていましたよね。
あ、確かに! そうですね。

2階も見せていただいていいですか

永山さん
これベンチじゃなくて子供用のベッドですよね。この使い方もいいですね。将来は右側の個室が勉強部屋になるんでしょうか。

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迷ってますね。リビング学習か勉強部屋か。1階にも学習机を置けるようにレイアウトを考えてもらったので、どちらでも……。
将来個室を欲しがる年齢になったら、2階の二部屋をそれぞれの部屋にするか、部屋を兄弟で分けるのではなく用途や目的で分けて使うようにするか、その時に考えればいいかなと。
永山さん
子供は成長につれてパーソナリティがどんどん変化しますからね。部屋の用途は最初から決めないほうがいいと思います。
家を建てる時には、「今」だけではなく、家族の「将来」を見越してプランを考える必要に迫られますよね。子供はまだ2歳と5歳なのに、将来の教育方針までここで決めなければならない。でも、そんなのわからないじゃないですか。その時はちょっと戸惑いました。
永山さん
そうですね。子供が大きくなるとどれだけモノが増えるのか、今の時点では想像できないですよね。判断の基準すら見えないですし。
だから、将来の選択肢を狭めず、とにかく可変性があり、融通が利く家づくりを目指しました。その結果が今の住まいです。
永山さん
なるほど。家づくりは、カウンセリングのようなもので、家族は何を求め、何が必要なのかを気づく機会でもあるんですよね。

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