vol.25 五感の家
「無印良品の家」で暮らしている方を訪ねて福岡県糸島市へ。
東洋文化研究者のアレックス・カーさんが、せせらぎと虫の音を聴く「木の家」に会いに行きました。

施工例 | 2018.10.16

エピローグ(編集後記)

土地選びと建物選び

今回会いに行ったYさんのお宅は、海にも近くそれでいて里山の風景も残すとても豊かな自然環境と、多少通勤時間は長くなるけれど博多にも十分通えるほどの利便性を両立していて、「木の家」での生活を楽しむのに「ちょうどいい」素敵な場所に建っていました。
春には隣の神社の境内に咲く桜を眺め、夏には前を流れる小川にはホタルが舞い、秋には里山の紅葉も楽しめるという環境は、周りに自然が少ないところに住む私にとってはなんともうらやましい限り。取材がひと段落してリビングに座り、目に飛び込んでくる緑の鮮やかさを楽しみつついただくおやつは格別のものでした。

今回のYさんは、どこに住むかということに十分に時間をかけて検討してきたそうです。Yさんの土地探しのプロセスはまず「木の家」を気に入っていただいたことからスタートしています。気に入った建物が見つかったから、その建物の特性を生かせるような場所を選びたい。15~30分通勤時間が長くなるけど、周辺環境が良く「木の家」の大きな開口部から四季の移ろいを感じながら家族とのつながりを大事にして暮らしたいという明確な価値観が、結果的に現在の豊かな暮らしを実現していると思います。

一般的にはお金をかければ別ですが、限られた予算との兼ね合いもあってすべての要望を満たせるような土地はなかなか見つかりにくいものです。そんなときは一度、土地に対する要望を整理してみてください。一番大事などんな家でどう暮らしたいのかということを考えてみると、意外と土地の選択肢は広がるかもしれません。土地選びと建物選びは一体で考えることがとても大事なのです。

話は変わりますが、今回の訪問の中で「蕎麦猪口」のことが話題に上がっていました。実は私が事前の打合せでアレックスさんのご自宅におうかがいしたときに、産地は違えどさまざまな表情を見せる蕎麦猪口の数々を見せていただきました。蕎麦猪口はちょうど良いサイズ感で使い手の発想によってさまざまな使い方ができる。お茶やコーヒーを飲む、花を生ける、デザートの器にと、実に懐が深い使い勝手の良さがあるところがお気に入りだそうです。
「無印良品の家」もまた、どんなライフスタイルでも受け止められる懐の深さがありますが、
お二人の会話の中で、全く違うプロダクトではあるものの「いろいろ使える」ということは実は完成されたデザインであるということを、ふと発見することができました。(E.K)

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