vol.24 光の家
「無印良品の家」で暮らす人を訪ねて神奈川県逗子市へ。
建築への造詣も深いKIKIさんが、日向に佇む「窓の家」に会いに行きました。

施工例 | 2018.4.10

「無印良品の家」に寄せて | モデル KIKIさん

葉桜の季節に想う

逗子の住宅地に建つ「窓の家」を訪ねたのは、まもなくクリスマス、という時期だった。取材を終えた後に、家主だけでなくスタッフも一緒に皆でクリスマスツリーを組み立て、飾り付けをした(実は撮影のために、もともと飾ってあったツリーを片付けていた)。小学生の娘さんは友だちの家に遊びに出かけていたので、大人ばかりでの作業になったのだけれど、皆、自然と笑顔になっていた。その笑顔でツリーを取り囲んだ数分が、なんと楽しい時間であったことか。家族だけで、最初にツリーを組み立てたときも、わくわくとした幸せな時間だったのだろうと想像できた。
「窓の家」は空間の仕切りがほとんどない作りだ。だから、家の中のいろいろな場所からリビングに置いてあるツリーを見ることができる。玄関、キッチン、ダイニング、階段、そして2階の寝室からも吹抜けを覗きこむとツリーが見える。

仕切りのない空間というのは、室内の温度を快適に保つことが難しいのでは、と思い込んでいた。けれど、「窓の家」においては無意味な心配だった。そんなことよりも、数時間の滞在中に、それぞれの部屋の空間がどこかでつながっているこの家の快適さをじわじわと感じていた。見えなくても家族の気配を知ることができる。主婦の目線からだと、掃除機をかけるのも楽だろうと思う。そして、窓から入ってきた光は白い壁に道筋をつけながら、隣の部屋まで伸びていく。家の中だけで完結するのではなく、外ともつながっている。季節が変わればその時季ごとの自然の気配も、家にいながら感じることができるのかもしれない。

建築は完成した時が、始まりである。
学生の時に誰かから聞いたこの言葉が、わたしは好きだ。住宅なら、住み手がどのように暮らすかによって、空間は作られていく。家族や植物が成長していくように、家も育っていく。クリスマスツリーだけでなく、季節ごと、年齢ごとに変わっていく楽しみを、この「窓の家」では身近に感じながら暮らしていくことができるだろう。わたしもそういう楽しみがたくさんある家にいつか住みたいと思う。
家を失礼したとき、すでに日は暮れて外は暗かった。手を振りながら見送った窓の向こうで、クリスマスツリーの電飾がキラキラと輝いていた。この家は「窓の家」でありながら、「光の家」でもあるのだ。昼間、外からの光が溢れんばかりに家の中にも届いていたけれど、夜はまたその逆しかり。自分の家にその光を見つけて、笑顔で「ただいま!」と言う娘さんの表情もまた鮮明に思い浮かぶのだった。[2018.4]

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