vol.24 光の家
「無印良品の家」で暮らす人を訪ねて神奈川県逗子市へ。
建築への造詣も深いKIKIさんが、日向に佇む「窓の家」に会いに行きました。

施工例 | 2018.2.27

ダイアログ2

建築を学んだ経験

ダイニングテーブルに座って

KIKIさん
ここは少し奥まったスペースですが、とても明るいですよね。冬なので太陽が低くて光が奥まで差し込みますよね。
ダイニングは天井もそんなに高くないし、照明もたくさん付けてもらったんですが、夜でも全点灯することはないですね。
ペンダントライトを取り付ける場所は用意しているんですが、なくてもなんとかなりますね。
KIKIさん
ないほうがすっきりしていていいですよ。普段はどういうふうに座るんですか。
子どもは、いろんな場所に座りたがるんですよね。
KIKIさん
子どもって大人の椅子に座りたいんですよね。このダイングテーブル、東京の住まいに新しく買ったテーブルに似てて嬉しいです。角がないのは、人が集まったときに座りやすいですから。
そうですね。
KIKIさん
私は「窓の家」は写真でしか見たことがなくて、最初は庇がないことに驚いたんですよ。夏の日射とか大丈夫なのかなって。
それは大丈夫でしたね。夏もエアコン一台だけで全室快適でした。
KIKIさん
高気密・高断熱っておっしゃってましたもんね。
ガラス自体の性能が高いんでしょうね。熱をカットするような……。
KIKIさん
窓は自由に設定できるんですよね。
そうです。仕様もいろいろで、庭に面した開口部はガラスが大きいので、防犯面で少し不安があって、それで強化ガラスにしてもらったり、ここ(ダイニング)は道路に面しているので網入りで曇りガラスにしました。
KIKIさん
無印良品は馴染みがあるブランドですが、雑貨や衣類ではなく、人が住む「家」をつくるとなると、どのくらいちゃんとしてるのか気になっていたんですよ。シンプルでオシャレなだけかもしれないし。でもお話をうかがうと、性能面もしっかり考えられていることがよくわかります。

03_img01

KIKIさんは、美大で建築を学んでいたんですよね。大学時代は住宅の課題もありました?
KIKIさん
あんまり覚えてないんですよねー(笑)。えーと、私は自分が生まれ育った街に、長く空き地になっていた場所があって、そこに住宅を建てることがメインのコンセプトで、「こういうデザインの建物を建てよう」みたいな考えはなかったですね。美大の建築学科だったので、建物のプランや構造のチャレンジよりもコンセプトが重視される傾向にもあったので。
歴史や時間の蓄積から、敷地を読み解く感じなんでしょうか。
KIKIさん
そうですね。歴史というよりも、そこに長く暮らしていると土地の特長や人の流れはよく知っているので、そういうことを手掛かりに設計しました。基本といえば基本かな。いかに面白い建築を設計するかではなくて、もっと地味なところで、細かく……。
ある意味、ユーザー目線ですね。とても共感できます。

03_img02

KIKIさん
やっぱりその場所にふさわしい建築ってあると思うんですよ。この家も、もっと人通りが多かったら、窓の場所や形も変わっていたと思います。斜面に建てられているので、傾斜を生かしてうまく採光しているなって思いましたよ。
建築って建物だけで成り立っているわけではない、ってことですよね。
KIKIさん
そうですね。そこで暮らす人はもちろん、周辺環境や地形との関係を考えることは大事だと思います。きっと「無印良品の家」も、それぞれの商品に合う環境があるんだろうなと思います。
僕のまわりにも建築を勉強した友人が何人かいるんですが、考え方が、いわゆる文系と理系の文化の良い部分をハイブリッドしている印象があって、建築って最強の学問なんだなと思いますよ。確かに計算だけでは造れないですよね。そこに来てもらう人や、それを眺める人の気持ちなんかも想像できないと、良い建築はできないですよね。建築で学んだことをベースにコンサルティングの仕事をやってる友人は多いですよ。
KIKIさん
実は、建築を勉強しようと思ったのは、受験が実家の建て替えのタイミングと一緒で、設計を担当されたのは女性の建築家だったんですが、いろいろお話を聞いて面白そうだなと。身近にそういう方がいたことも大きかったですね。
ここも建築家にお願いしようと思ったりもしましたが、こちらの希望は伝えられるけど、建築家から提案されたものは、受け入れざるをえないケースが少なくないと言われて、怯んでしまい・・・
KIKIさん
それ、わかります。しっかりとした信頼関係を築くまでは、施主からの注文が多かったり文句を言ったりすると、関係がギクシャクするんじゃないかと不安になりますよね。
「無印良品の家」はそのちょうどいいバランスだと思いますね。ルールはあるけど自由で、ほかの家の見学会でも「優先順位を決めるとうまくプランニングできる」と言われていました。
KIKIさん
「見学会」ってあるんですね!
この家でも何度かやりましたよ。
でも、間取りがシンプルなんで、みんな3分くらいで見学終了(笑)。

03_img03

質問されることは多かったです。一室空間で仕切りがないと寒くないですか、とか。あと、建ててから「こうすれば良かった」と思うところはありますかって。
ああ、それ、よく聞かれたね。
KIKIさん
「こうすれば良かった」って思ったところあるんですか。
うーん、ホントに細かいところなんですが、キッチンシンクの水切りかごが……。
KIKIさん
あー!!! それ思いました。位置は左右逆のほうが使いやすいですよね!
そうなんですよー!
すごい! 見ただけでわかっちゃうんだ。
作業の流れを考えると、シンクとワークトップが隣り合わせが理想なんですよ。その間に水切りかごがあると、作業の時に邪魔になることがあるんですよね。
KIKIさん
そういうちょっとしたことが、ストレスになったりしますよね。でも私が鎌倉の家で使ってる水切りかごなら右側に置けるかも。
えええええ、教えてください!!
KIKIさん
えーと(スマホで検索)、コレです!
おお、ありがとうございます。
KIKIさん
ところで、家のプランを考えているときに、2階を暮らしのベースにするアイデアは出ませんでした?
それはなかったかな。友人の家がキッチンからお庭に出られるようになっていて、それがいいなと思っていて、そのイメージからキッチンの場所が決まって、迷ったのはダイニングの場所くらいでしょうか。
KIKIさん
ちゃんともとになるイメージがあったんですね。
玄関の広めの土間も、友人の住まいを参考にしました。そちらはもともと設計事務所だった建物を転用した住まいで、広い土間の使い勝手が良さそうだったので。
玄関に設けた階段をスケルトンに変更することで、視覚的にも「抜け」が生まれて、広い土間のイメージをうまく生かすことができました。

03_img04