vol.23 協奏の家
「無印良品の家」で暮らしている方を訪ねて奈良県生駒市へ。
イラストレーターの大塚いちおさんが、職住一体の「窓の家」に会いに行きました。

施工例 | 2017.11.14

ダイアログ3

横浜から奈良へ。そして家づくりへ

二人が家を建てるまで

大塚さん
横浜出身の奥様が関西に引っ越して、地元に溶け込むのに時間はかかりましたか?
私は保育園のママさんのおかげで自然に溶け込めましたね。
僕の地元なのに、僕より地元に溶け込んでる感じです。
大塚さん
おお、素晴らしい。
2ヶ月くらい夫の実家にお世話になって、暮らしてみると自然も豊かだし、住み心地は良いし、子育てにはいいなーと感じました。
大塚さん
先ほど震災がきっかけで引っ越したとうかがったんですが。
長男が生まれて半年で地震があったんですよ。私は育児中で仕事はお休みしていたし、それで、まあなんとかなるかなあという感じで。
もともと二人とも「なんとかなるかなあ」で生きてきたから、これからも「なんとかなるでしょう」という謎の確信があったかもしれない(笑)。
大塚さん
引っ越してきてから、ここに「家」を建てるきっかけって何だったんですか。
私たちの年齢的なものもあったんですが、それ以前に、私の祖父がここで畑をやっていて、体調に不安があったので僕が畑を手伝えればいいかなと思い、それを祖父に相談したら。
畑の一部を宅地に替えてくださって。
でも上棟をお祝いした後、亡くなったので、僕たちがここで暮らして畑を一緒に手入れする夢はかなわなかったんですよ。
祖父が長年大事にしてきた土なので、だから私たちも畑を続けていこうと。
大塚さん
そうだったんですね。
きっかけ、というよりも、いろいろな物事や偶然が噛み合って建った感じですよね。賃貸マンションが更新時期だったり、低金利だったり。お互い自営業なので住宅ローンは難しいだろうと思っていたら、意外になんとかなりましたし。動いてみるもんだなあと思います。近年、生駒市は他県からの転居者が多くて、地域も開放的な雰囲気になってました。
大塚さん
生駒市という立地も大きかったかもしれないですね。大阪や京都なら「横浜でいいや」って思うかもしれない。
そうですね。ここは大阪にもすぐ行けるし、京都に出れば新幹線で横浜まで一本ですから、アクセスの良さも安心材料でした。東京や横浜に比べるとデザインの予算は少ないけど、だからこそ自分たちで何とかしたいという方々のために、チラシづくりのセミナーをやったり初心者向けの本を書いたり、そういうかたちでも自分の経験やノウハウが役に立つことがわかって、仕事のやり方はかなり変わりました。
大塚さん
家を建ててから、いろいろ変化があったんじゃないですか。
賃貸マンションの頃は観葉植物はパキラひとつしかなくて、これはそんなに手間をかけなくても枯れないんですよ。でもそれが枯れそうになるくらいのレベルだったんです。
大塚さん
今は植栽がたくさんで、畑もあるわ、お庭もあるわ。
暇さえあれば園芸店に行って、今では鉢植えだらけ。前なら考えられないですよ。まさか、バラの苗木を買うことになるとは(笑)
大塚さん
その時は「うわー、私たち今バラなんて買ってるよー」なんて思ったりしたんですか。
帰り道のクルマの中はずっとその話でしたよ。「今、オレたちバラ運んでるわ」とか(笑)。

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大塚さん
お話を聞くと、更新時期がとか金利がとか、理由はいろいろあるけど、どちらかが乗り気じゃないことが一つでもあれば、この家は実現できなかったと思うんですよ。
そうかも。
意外に僕よりも彼女のほうが乗り気で。
ここに建てるなら絶対に「窓の家」って思い、すぐにカタログを取り寄せて、いつか見てもらおうと思って。
もうね、すでにいろいろ計画ができあがっていて。僕はそれをひたすらプレゼンされる側になってしまい、しかもそのプレゼンがうまくてねー(笑)
大塚さん
あははははは。そこはデザイナーの仕事のノウハウが生きたんですね。そこまで惚れ込んだ理由でなんですか。
一目惚れですね。無印良品も大好きでしたし。ただ、製品のデザインは洗練されているけど、機能で不満を感じた経験もあったので、厳しい目で見学会にも参加したのですが、性能もかなり優秀であることがわかって。デザインが良くて機能も良ければいうことないですよね。
家といえば〇〇ハウスとか〇〇ホームみたいな専門会社のほうが歴史も定評もあるし、と思ったこともあったんですが。
両親に相談したときも「無印良品の家」って大丈夫なの? というのが第一声でしたから。
じゃあ一度、実際に建てられた家を見に行こうと両親と見学に行ったんですよ。そこで不安はすべて払拭されましたね。
最初に見学した「窓の家」は、ご主人が建築関係のお仕事をされている方で、プロが選んでいるならという安心感もありました。
一応、視野を広く持とうと思い、他のメーカーのモデルハウスも見学したんですが、見れば見るほど「窓の家」の良さが際立つ感じで。
大塚さん
でも、大きな買い物だから慎重になるところもありますよね。不安はなかったんですか。
冬の寒さくらいでしょうか。見学会では部屋の温かさについて、実際に暮らしている方にしっかりと話を聞きました。それで不安解消。実際、寝る前に暖房を消しても、どんな寒い日でも翌朝20℃以下になることはなかったです。暖房はエアコン一台だけです。
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プランをどう考えるか

大塚さん
さっきも話しましたが、快適な暮らしはしたいけれど、自分のつくるものがそれで制限されるなら、つくり手として後悔が残るじゃないですか。もっと広ければできたとか、こういうふうにできたんだよー! とかありがちだと思うんですが、この家からはそういうことがまったく感じられないですよね。片方が忙しくて、片方がこちらで読書してても、お互いのストレスにならない感じがします。その空間や場の割り振りが見事なんですよね。しかもイライラする時は庭で草むしり、ですからねー。
間取りが自由に決められたのは大きかったですね。最初提案していただいたプランはかなりオシャレな間取りで、でも仕事を含めた1日の動きや流れをシミュレーションすると、無駄な動きが多いことがわかって。
私たちはすぐに玄関、すぐ仕事場って簡潔な感じのほうがいいんじゃないかと。
それでシンプルなプランに変更していただきました。デザイン的には単調になったかなと思うこともありますが。
大塚さん
僕はそんなに感じないですね。シンプルだからこそ、一枚、絵を増やしたり、好きなモノを置くことで、それを中心に違う色が広がるイメージがありますよ。
確かに家具ひとつでずいぶん変わると思うんですよ。将来、子どもの家族が暮らす頃は土間の仕事場はただの倉庫になっているかもしれないし。自由に変えていく楽しさもあると思いますね。
大塚さん
うんうん。
子ども部屋をつくるとしても「THE 子ども部屋」にはしたくなくて、空間はどこもフレキシブルにしておきたかったです。
大塚さん
別に壁を設けなくても、家具や鉢植えで空間をふんわり仕切ることはできますからね。
実際に暮らしている「無印良品の家」を見学すると、独立した子ども部屋がまだないお宅が多くて、子ども部屋の参考になる例が少なかったんですね。「子どもはいつもはこのへんにいます」くらいで。でも一つの大きな空間を、家族がその時その時でシェアしながら暮らすほうがいいですよね。
大塚さん
白い家は緑や土との相性もいいし、フォトジェニックだなーと思いますね。カラフルなソフビ人形までマッチするのはすごい(笑)。整然と佇んでましたよね。
たしかにそうですね。なんでも合います。
大塚さん
この先、何か家に置きたいものってありますか。
食器棚ですかねー。
そういえば建てる前から「食器棚がほしい」って言ってたね。
今は食器はキッチン収納に収まってますが、ガラスケースに並べて絵になる食器も一緒にしまい込んでいるので、そういうのを愛でる棚がほしいです。よろしくお願いします。
は、はい。
大塚さん
ガラスケースの中でソフビ人形と食器のせめぎ合いとか、大丈夫?(笑)
ま、それはそれで(笑)。何か家に置きたいものありますか?
家の中というより、外観が素敵な家なので、外に木陰ができるくらいの大きな木がほしいかな。
大塚さん
いいですねー。それがどんどん育っていくのを見るのも楽しいですよね。
夫・妻
そうですね。
大塚さん
本日はどうもありがとうございました。

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