vol.18 つながる家
「無印良品の家」で暮らしている方を訪ねて愛知県あま市へ。
建築家の大西麻貴さんと百田有希さんが
情趣ある家具と暮らす「窓の家」に会いに行きました。

施工例 | 2015.5.19

エピローグ(編集後記)

なんでもない場所

少しずつ春の気配を感じられるようになってきた2月末、早朝の名古屋駅は前日から続いていた小雨も止み、清々しい空気に包まれていました。
駅からは車に乗り換えて西へ向かいます。都市部を抜け庄内川を越えると周辺の雰囲気は少しずつ変化して、濃尾平野の田園風景が広がるあま市に入っていきます。
あま市は平成22年に周辺の3つの町が合併することで誕生した新しい街。名古屋市内へのアクセスもしやすく近年はベッドタウンとしても発展してきているそうで、今回訪問したSさんの「窓の家」も住宅地でありながら、側を流れる川越しに見える風景から自然の移ろいを間近に感じることができます。

今回一緒に訪問していただきました建築家の大西麻貴さんと百田祐希さんですが、とくに大西さんは名古屋のご出身ということもあり、地元の話題も間に挟みつつ和やかな雰囲気の中、対談していただきました。
訪問してまず最初に話題に上がった「将来お店として使用する予定の場所」ですが、このゆるっとした空間に大西さん、百田さんはとても興味を持っておられたようです。
リビングでもないダイニングでもない・・・・名前のない「場所」。
今回の訪問で改めて感じたのは、家の中にこのような「のりしろ」のような空間があることが暮らし方に大きなゆとりと楽しさを与えてくれているということ。

無印良品の家はあまり細かく部屋を仕切らない、つくり込まないことを空間構成の基本としていますが、この考えは住まい手がいつでも自由な発想で空間を使いこなすことができるようにするためです。
一般的に間取りを決めるときには将来起こるであろういろいろな不確定要素も踏まえつつ、ある程度これなら大丈夫と思えるものを最後はエイヤッで決めなればいけない。すなわち、これからの暮らしのかたちを設計段階で決めなければならないということであり、大きな覚悟が要ると思います。

これに対して無印良品の家は、最初から間取りをつくり込んでいない分、空間にこのような「のりしろ」が生まれます。つまり自分たちに必要な空間を住みながらにして探していけるという「気楽さと楽しさ」があるわけです。たとえば週替わりでいろんな使い方をしながら自分のライフスタイルに合ったかたちを見つけるなんていうのも面白いかもしれません。家の中で思いもよらない場所が意外と居心地の良い空間になったりするかもしれません。
この家に住む楽しさはこのような「のりしろ」や「ゆるさ」から生まれているのではないでしょうか。

ソファに首を持たれかけて気持ちよさそうにしている犬の横の床で、まだ小さな赤ちゃんがすやすやと寝ている。何とも暖かい気持ちになれたSさんのリビングでの光景です。ワンちゃんも赤ちゃんもきっとここが一番居心地の良い場所だということがわかっているのでしょうね。
Sさんご家族の「窓の家」がどのようにこの後成長していくのか楽しみです。(E.K)