vol.18 つながる家
「無印良品の家」で暮らしている方を訪ねて愛知県あま市へ。
建築家の大西麻貴さんと百田有希さんが
情趣ある家具と暮らす「窓の家」に会いに行きました。

施工例 | 2015.4.7

ダイアログ1

だから、ここに建てました

「窓の家」
S邸|愛知県、2013年8月竣工
延べ床面積: 122.56m²(37.07坪)
家族構成: 夫婦・息子2人・犬

大西麻貴さんと百田有希さんが会いにいった家

名古屋に隣接する田園都市あま市。奥様の実家に程近いこの街で、Sさん夫婦は築40年以上の古い平屋住宅を借り、手入れしながら暮らしていました。家づくりのきっかけは長男の誕生です。
寒くて傷みも酷かった借家から、戸建て新築への住替え計画をスタートさせたのは奥様。東南に開けた川沿いの土地を見つけ、ご主人を家づくり講座に誘い、そこで出合った「窓の家」に二人は未来の住まいを見出します。Sさん夫婦が大好きな、古く趣のある愛すべき家具や雑貨。その個性と家族が暮らす住まいは白くてシンプルな箱が理想でした。庭に面した南向きの大きな窓と、東に広がる掘割と稲穂の瑞々しさ。やがて次男も生まれ、穏やかな光に包まれた白い空間では、家族4人と味わい深い家具が紡ぐ、奥行きある時が刻まれていました。

「こんにちは」
「どうぞおあがりください」

大西さん
外から見るところんとしているところがかわいいですね。
百田さん
「窓の家」を選ばれたということで、家づくりで窓をどんなふうに考えたのかは興味がありますね。

玄関から室内へ

大西さん
外は曇り空でしたが、家に入るとふわっと明るいですね。
主人は帰ってくると、いつも「はぁ~、気持ちいいぃ」みたいなこと、思わず口にしてますよ(笑)。
大西さん
家に入ると視界が広って、家の中に入ったというよりも、中だけど外みたいな空気感がありますよね。
帰ってくるといつも「空気がキレイだな」って思うんですよ。空気が家中回る感じですね。扉も間仕切りもできるだけなくして、可変性のある空間が希望でした。入り口の左は、今は夫婦のアトリエですが、いつかはここを妻のお店にしたいと考えているんです。
大西さん
おもしろ~い!! 確かにリビングでもダイニングでもない、何でもない場所になってますよね。
百田さん
だからあそこにドアがあるんだ! いろんな使われ方がイメージできます。空間に名前が付く前の「場所」のようなものが浮かび上がってくる感じかな。家の中に外とのつながりが深い場所があるのは面白いですね。
大西さん
この家具はどうやって選ばれたんですか?
特に決め事はなくて、二人が気に入ったものを買ってますね。二人ともアンティークやヴィンテージ家具が好きなんですよ。
新築して新しく買った家具はほとんどないかな。
百田さん
ひょっとして「自分たちの家具に合う家を選ぼう」みたいなことが「窓の家」を建てるきっかけだったのですか?
もともと家はシンプルな白い箱でいいと思っていて、それにもぴったりだったんですよね。二人とも家具や雑貨が好きだから、気に入った家具と心地良く暮らすためには、家はシンプルなのがいちばんと考えていました。
スイッチプレートやドアノブ……など、細かいディテールや納まりが気になるほうなんですが、「窓の家」ではそのストレスがなかったですからね。

では、2階へどうぞ

百田さん
外と内をつなぐ窓と室内の窓、いろんな窓が吹き抜けを中心に重なって見えるのがいいですね。いろんな窓がつながっている。
家の中心を吹き抜けにして、どこにいても家族の雰囲気が伝わるようにしたかったんですよ。
大西さん
部屋と部屋とつなぐスペースが普通よりちょっと大きめなんですね。廊下よりは場所っぽいかも。
もともと収納スペースを少なめにして、見せるタイプの収納家具を活用しようと思っていたので、収納家具を置くスペースをちゃんと確保することは最初から考えましたね。
大西さん
私は18歳まで実家で育って、その家の影響をすごく受けているんですよね。質感や匂いや大きさ、季節ごとの光、それが私の空間の原点ですから。実は先日、実家を設計した建築家に初めてお会いしたんです。その時、長年の疑問の答え合わせをするように、空間を確認することができて、その方が想いをかけてつくってくれた空間が、私の感覚を育んでくれたことを知り、家って本当に大事なんだなぁと、改めて思ったんですよ。

子どもへの影響はいっぱいありますよね。私の育った家には南向きの窓があって、自分の家もそうしたいと思ってましたから。
大西さん
この家は外から見ると小振りに見えて、ちょっと小さめなところがかわいいなと思いました。でも、中に入ると、壁の厚みや空間と空間をつなぐスペース、いろんなところが少しずつ大きい。窓も普通の家よりちょっと大きいから、外とのつながりが感じられるし、ちょっと背が高いから空気も気持ち良い。それが豊かさにつながってる感じがします。これからは、この空間で二人のお子さんが育つわけですね。
やっぱりそうですか! 普段はそういうふうに感じていても、私たちは建築のプロではないので、それをなかなか言葉にできなかったんですよね。ありがとうございます。