ダイアログ2

田畑の中の一軒家に暮らしてみて

白色・緑色・黄金色

穂村さん
ホントに外国映画のシーンみたいですよね。風景の中に家が一軒だけなんて、日本では考えられないですよ。
まあ、見ての通り周囲は畑と田んぼですから。外壁の黒も、一面、緑の中に建てられることを考えて選んだ色でした。

穂村さん
ご近所を気にせずに窓を全開にして暮らせますね。
そうなんですよ。景色も良いですよ。雪景色は真っ白で、田植えの頃は一面緑、稲穂の頃は黄金色になります。最初は外から中を見られないかちょっと心配だったんですけどね。
ただ、近所の方はみんな顔見知りですから、逆に中に私たちがいることがわかるので、畑仕事の途中にトマト抱えて訪ねてきてくれたり。夫の両親や親戚もすぐ近所にいて、ほとんど知り合い同士です。
穂村さん
いいですね。でも、最初は何ができたんだろうって思ったんじゃないですか。突然雰囲気の違う建物が出現したわけですから。
近所の人はもちろんですが、川沿いの道路からも目にとまるようで、道を通る人も何だろうって思うみたいですよ。
とにかく目立つみたいで「あの家です」「あ、あの家ね」で話が通じちゃいます。
そういえば夏の炎天下、迷子になったご高齢の女性が道を尋ねてきたんですよ。今時の住宅街の家は中に人がいるのかわからないから、呼び鈴押すのもためらうと思うけれど、ここは昔の家のように人の気配が感じられたんでしょうね。とにかく暑い日だったので歩くのも辛そうで、結局、目的地までクルマで送りました。
穂村さん
それはいいことしましたね。天国へのポイントがたくさん貯まりましたね。
きゃ~、やった~!!
やった~!
実は、もともとはここも祖父母の畑で、家を建てるときは道路に面して建てるか、全面道路から長いアプローチをつくって奥に配置しようか迷ったんですよね。
穂村さん
大きさの制限もそんなになくて、建てる場所も自由に選べたんだ。
はい。でも、配置もサイズもこのプランで良かったと思います。
裏の畑は家で使わせてもらっていて、キッチンで野菜が足りなくなったら畑から持ってくる感じですね。
穂村さん
いいですね。このウッドデッキも縁側みたいで気持ち良いね。
友だちが来るとここに腰掛けて外でバーベキューしたりしてますよ。
穂村さん
楽しそうだな~。夜はどんな感じなの。
夏はスゴいですよ。カエルと野鳥の大合唱です。もうジャングルにいるみたい。
朝はスズメのさえずりで目が覚めますね。畑に来たスズメが寝室の脇のベランダに集まって、チュンチュン、チュンチュン、大騒ぎで……。

家の中にいても外にいる感じ

穂村さん
そういえば、家の中に間仕切りがないですね。
ええ。2階の吹き抜けまわりも視線が通るように手すりの仕様を選んで、2階の寝室だけは腰壁を設けました。
春になると家中ぽかぽかですよー。
窓が多いから夏も風が通って涼しいんですよ。リビングのソファがお昼寝コーナーです。
穂村さん
たしかに窓だらけですもんね。風通し、良さそうだな。ところで家を新築する前はどこで暮らしていたんですか?
祖父母の家に同居していました。ここから屋根が見えますよ。
穂村さん
ああ、すぐ近くなんだ。ここで暮らすようになって、以前の暮らしとは生活パターンは変わりましたか。
その頃は祖母と家事を分担していましたが、生活パターンはあまり変わっていないかもしれません。
以前に比べると、家にいる時間は圧倒的に長くなりました。祖父母の家は昔ながらの家で、部屋と時間によっては日当りが悪くて暗かったので、そんなときはついつい外出しちゃうことが多かったですからね。
穂村さん
こことは対照的な家だったんだね。確かにこの家は開放感があって、中にいても外にいるみたいですもんね。
そうですね。祖父母の家は古かったので、どこから忍び込むのかいろんな動物が……。外壁と壁の間をイタチが走り回っていたり。
穂村さん
え? ネズミじゃないの?
夫・妻
イタチですね。
穂村さん
それはスゴい。
そんな感じだったので、新しい家が良いんじゃないかと、私が新築するときに二世帯同居も提案したのですが、祖父母は今の家でいいと……。
穂村さん
イタチハウスがいいと……。
はい(笑)。やっぱり長年暮らすと家に愛着が生まれるんですよね。その気持ちはよくわかります。
穂村さん
なるほどね。