ダイアログ1

だから、ここに建てました

「木の家」
U邸|京都府、2010年5月竣工
延べ床面積: 104.33m²(31.55坪)
家族構成: 夫婦・息子・娘

トラフ建築設計事務所の二人が会いにいった家

Uさんが少年時代を過ごした家は、京都・宇治市西部に広がる閑静な住宅地にありました。国の大規模干拓事業で造成され、大手住宅メーカーが高度経済成長期に開発した田園都市です。
この街では、近年、第二世代が新しい暮らしを営むようになり、結婚を機に両親の家を受け継いだUさんもそのひとりでした。
昭和の鉄骨系プレハブ住宅を、ご夫婦が手作業で大胆に改装し、やがて建て替えの時期を向かえ、当初は両親の家と同じ鉄骨の工業化住宅の家づくりをスタートさせます。
でも、Uさん夫婦が、最終的に家族の新居に決めたのは、木の柱と大きな開口部が二人の心に響いた「木の家」でした。
インテリアや庭には日々、手が加えられ、新しいモノが生まれ、Uさん家族の家づくりは竣工から2年を迎えた今も進行中です。

「こんにちは」「おじゃまします」
「どうぞおあがりください!」

トラフ建築設計事務所 鈴野さん(以下・鈴野さん)
「木の家」のプロトタイプが提案するベーシックな住まいの考え方には共感を覚えていました。実際にどんな生活が営まれているのか、暮らしぶりを拝見するのが楽しみです。
トラフ建築設計事務所 禿さん(以下・禿さん)
ぼくはご主人が家具を自作したり、ものづくりに精通している方とうかがっていたので、それが暮らしにどう反映されているかが気になってました。

リビングルームは「暮らし」の作業場

鈴野さん
家は「無印良品の家」ですが、無印良品の家具は少ないですね。
既製品を使うのも良いけれど、それだけじゃなくていろいろ工夫したい質なんですよ。家のために何か使えそうな素材を探したり、時には廃材を拾ってきたり(笑)
禿さん
そういういろんなモノを受け入れうる家なんでしょうね。室内を拝見して、ホントにご主人の趣向に合ってると思いました。自作の家具もいいですよね。フレームのエイジングまで施したり。

実は、そういうこと、以前はあんまなかったんですけど……。
この家に住んでからやな。休日は以前なら外出して洋服ばかり見てたのが……。
今は家にいる時間多いし、出かけるのもホームセンターと雑貨屋か家具屋……。
さん(ご主人)は忙しくて休日は少ないですけど、その休みはいつも家でのこぎり出して何か切ってへん? よく考えてみたら、この家住んでからお休みはホームセンターかのこぎりやわ。
鈴野さん
なんか生活がスゴく変わったんですね。自分たちの暮らしに合った器が用意されると、自分で何かやりたい気持ちになるのかな。
禿さん
休日の過ごし方にも影響するくらい変わるもんなんですね。
めっちゃ変わりました。こんなふうになるとは思わへんかったなぁ。前は買わなかったオサレ雑誌も読むようになったし。
鈴野さん・禿さん
オサレ雑誌~(笑)
鈴野さん
これ工具箱ですか? こういうものが家族の空間の中心にあるってのが気になりますね~(笑)
禿さん
リビングにいてもすぐに工具が取り出せる!(笑)
たいていここで作業しちゃいますからね。
禿さん
え、リビングで作業するんですか。じゃあこのテーブルは……。
ここで材を切ったりハンマーも使いますよ。
禿さん
いや、リビングでトンカチ叩けるのは素直にスゴい(笑)
鈴野さん
日本の家でDIYを楽しむのは難しくなってますからね、うらやましい。ご夫婦でホームセンターによく出かけるようになったっていうのもいいなって思います。

プチ幸せのひととき

鈴野さん
テラスに置かれている箱、ご主人がつくった照明器具ですか?
そうです。光を柔らかくしたくてプラ板入れたり、普段仕事でやってることなんで。これが灯ってたら「家に帰ってきた~」って感じするじゃないですか。
禿さん
このテラスはどんな使い方してるんですか?
夜に、この小さい灯り点けて、家内とコーヒー飲んだりしてますね。プチ幸せを求めて……。身の丈以上のお金をかけてしまうとプチじゃないですからね、「ちょっといいな」ってのがプチ幸せなんですよ。
そうやな、プチ幸せや! 音楽聴きながら夜のテラスでコーヒー飲むなんて以前は考えられなかった。建ててから2年経ってもぜんぜん新鮮さが薄れないんですよ。
そこに座布団置いてな。プチ幸せのひとときやな。
夏はテラスで子どもがプール遊びしてるのを、吹き抜けから眺めて、贅沢やなぁって思います。夕方はそのプールに足をつけて近所の奥さんとおしゃべりしたり、それもプチ幸せ(笑)
そんなちょっとした贅沢が、自分たちの暮らしを変えるな。
この家は間取りも変えられるし。いろんな可能性が……。
禿さん
うーん、まだ家づくりが続いている感じですね。
そうですね。あんまり無茶はせんとこうと思ってますけど。基本はプチ幸せですから(笑)