プロローグ

つくり続ける家

ものづくりに携わるというご主人の職業に期待を抱き、京都にある「木の家」を初めて訪問しました。その期待を裏切らず、というよりその期待と予想を超えて、今も改造が行われているライブ感あふれる住まい方と、それを受け入れる懐の深い「無印良品の家」の相性の良さがとても印象的でした。
ここは何の部屋、と決まった場所はなく、ご夫婦の言う「プチ幸せ」を求めて朝のコーヒーを飲むテラスなど、住まい手が何となくゾーンを決めている、という印象を持ちました。それは限りなく「箱」に近いことによる、使い勝手の自由さと、住まい方を考えるための適度なきっかけを与えているバランスの良さなんだと分かりました。聞くと、家具屋さんやホームセンター、日曜大工、と休日の過ごし方がまるっきり変わったそうです。そもそも専門でもなかった人が家づくりにここまで介入して、そしてそれが今も続いていて、つまり家に関わる時間と家にいる時間が増える、すっかり家づくりが趣味として定着した家族を見ていると、とても微笑ましい気持ちになりました。

トラフ建築設計事務所
鈴野浩一|すずのこういち 禿真哉|かむろしんや
建築家
建築の設計をはじめ、ショップのインテリアデザイン、展覧会の会場構成、プロダクトデザイン、空間インスタレーションやムービー制作への参加など多岐に渡り、建築的な思考をベースに取り組んでいる。
主な作品に「港北の住宅」「目黒本町の住宅」「光の織機 (Canon Milano Salone 2011)」「空気の器」など。