vol.10 桜の家
「無印良品の家」で暮らす人を訪ねて愛知県西尾市へ。
フードディレクターの野村友里さんが、
笑顔とごちそうの「窓の家」に会いに行きました。

施工例 | 2012.8.7

ダイアログ3

食事を終えて

映画の話

野村さん
先ほど2階やキッチンを拝見して、家事動線もよく考えられているなって思いました。
土地の購入を決めた頃は毎日プランを考えていましたから。彼女もキッチンや家事室の動線とレイアウトはかなり考えていて、それが功を奏したのかもしれませんね。とにかく人を招いて、友人が集える家にしたいと思っていました。感覚的には注文住宅でしたね。
野村さん
やっぱり、集いたい、帰りたいと感じるのが家の良さですよ。完成度の高い基本形に、建て主が自分の個性を加えられるのは良い仕組みですね。

実は知人が野村さんが監督された映画「eatrip」のDVDを持っていて、みんなで観たんですよ。
野村さん
あ、それは嬉しいです。ありがとうございます。
映画の最初に登場する方は野村さんですか?
野村さん
あ、あれはお友だちの料理人で細川亜衣さんです。私も映画の中で料理をしたいと思ってはいたのですけど。監督は常にファインダーを覗いてチェックしなければならないので、監督と料理を掛け持つのは無理という話になって……。
それで監督に専念したのですか。
野村さん
そうですね、残念ながら……。でも、監督として、ご登場いただいた方々との信頼関係や空気感を大事にしたかったという想いもありましたから。
確かに映像の質感というか空気感が独特でした。
野村さん
ビデオではなくてフィルム撮影だったんですよ。本来、ドキュメンタリーはフィルムロールの時間に左右されないビデオで撮影して、後で編集するほうが多いと思うんですけどね(ちなみに16フィルムは1ロールが11分です)。
それで独特な画質だったんですね。逆に計算づくではないリアリティが表現できたんじゃないですか。
野村さん
ええ、撮れたものが事実ですから。みなさんも構えることなく、いつも通りにしてくれたのも良かった。考えてみると、とても贅沢なことですけどね。

型だけなら長く続かない

そうそう、浅野忠信さんのお茶席のシーンはとても面白かったです。
野村さん
実は浅野忠信さんは茶事が初体験で、亭主の千宗屋さんとも初対面だったんですよ。撮影前に顔合わせするより、いきなり四畳半の空間で互いが向かい合うほうが、嘘がないし、隠し切れない部分も見えてくるのではないかと、確信犯的な期待もありました。何より、あの空間でどんどん二人が歩み寄る雰囲気を撮るほうが面白いんじゃないかと……。
そうだったんですか。
でも浅野さんはスゴく楽しそうでしたね。最後は胡座になったり……。
野村さん
とても楽しかったと言ってました。型だけならお茶の文化は500年も続かなかったと思います。本質的に面白いと思うから、それに対してのルールがある。この家も同じだと思うのですが、本質的に「良い」と思うから、それに対して自分らしさを足し引きして、それが自分のものになって楽しい。それと同じですね。全部決められて、それに自分を当てはめようとすると、自分のものにならないのでお稽古も続かなくなります。
その楽しさが僕たちにも伝わってきましたよ。
野村さん
お茶をよく知る人が観ると物足りないかもしれないけど、私は、お茶を一服飲むのに、感謝したり、相手の気持ちを受け止めたり「こんなに楽しむことができるんだ」という面を多くの方々に感じてほしかったんですよ。とても素敵なことですからね。
うんうん、いやホントに素敵な映画でした。
野村さん
ありがとうございます。この家は芝生の庭があるから野点もできますね。ポットを持って庭に出て、好きなお茶碗で、最高じゃないかな。
実は西尾市はお茶の産地としても有名なんです。
抹茶は宇治が有名ですが、生産量は西尾のほうが多いはずですよ(西尾の抹茶は全国生産量の約30%を占め、全国一だそうです)。
野村さん
確かに愛知はお茶の文化が根付いてますよね。名古屋には良い道具を扱うお店も多いと聞いてます。
そうなんですか。ちょっと興味あるなぁ。
野村さん
おもてなしが好きで、自分の家の空間が大好きなKさんなら、きっと楽しいと思いますよ。友人が集まって食事をした後に、場所を変えてお茶席を設けると、宴席が締まります。でもね、ハマったら大変ですよ。
ちょっと空が暗くなってきましたね。雨が降るのかな。照明をあまり使わないので、暗くてごめんなさい。
野村さん
いや、この自然な暗さもとても気持ちが良いです。
私も暗くなったから照明を点けるのではなくて、自然な暗さはそのまま楽しみたいと思う。夜は暗いものだし、雨の日も暗いものですから。だから、子どもも日が暮れると自然に寝てくれます。
僕たちは極端な自然派にはなれないと思うけど、子どもには日が暮れるまでは外で遊んで、夜は自然に眠るように育てたいと思っているんです。自分たちが昔、祖父母や父母に言われていたことが、今になって理解できるようになってきた感じかな。
野村さん
それは大事ですよね。朝は朝日を浴びて、夜は眠る。
自然に逆らわずに、よく食べて暮らすと風邪は引かないって言われますけど、それをホントに実感しています。子どもは親に似て好き嫌いがなくて、食べるのが大好きで、風邪も引かないです。
ゲスト1、2
あのー、私たちはそろそろ失礼します。ごちそうさまでした。
野村さん
名残惜しいのですが、私もそろそろ失礼しなければいけない時間になってしまいました。今日は本当にごちそうさまでした。とても楽しかったです。
ゲスト1、2
楽しかったです!!
夫・妻
こちらこそ。ありがとうございました。