エピローグ(編集後記)

改めてモノと向き合ってみる

「本当にこれだけで生活されているんですか?」
私は何度も同じことを聞いていたように思います。

清々しさや潔さのような、整理整頓されているということを大きく飛び越したOさんの暮らし風に、長谷川さんと同様、強い衝撃を受けました。

暮らしに必要なモノの量、増してやそれらを納めるスペースの量など、自分で最適な状態がどのぐらいであるかなんていうことは理解しようとしてもなかなかできないのに、それがまるできっちりと計算されているかのようです。(Oさんは「自然とこうなった」とコメントされていましたが…)

私は実際にモデルハウスへ家づくりのご相談に来られるお客様のお話を伺うことがあります。
その時に収納スペースについては「できるだけ広く取りたいです。」とリクエストされるお客様が多いと感じます。

誰でもこれからの暮らしの変化を予測することは難しいから、どうしても収納量はその変化に耐えられるように多めに作っておきたいからなのでしょう。

長谷川さんは対談の中で、「家を建てるときこそ『自分らしさは何か』を、時間をかけて考えられるタイミング」と仰っていました。
そう考えると、設計における収納の話は単純に広さの問題ではなくて、住む人の個性や暮らし方そのものについてもっともっと考えることなんだとこの取材を通じて改めて感じるのです。
それは、Oさんは自分のライフスタイルとモノの量との関係が「自分らしさ」として表現されていたからに他ありません。

しかし本当にOさんのお宅はモノが少なかった…
でも、そこに十分に豊かな暮らしのかたちを感じたのは私だけではないはずです。

取材後、自宅の収納を見て呆然とした私。
基本的にはモノは少ない方が気持ち良いと思っているはずなのに…
それでもまだまだモノ、多いなぁ。(E.K)