インフラゼロハウスが男山団地にやってきた[UR都市機構との共同実証実験の最終話]
ゼロ・プロジェクト | 2026.3.13
2025年8月からスタートした、既存のライフラインに依存しないモバイルユニット「インフラゼロハウス」を活用した実証実験。これまでさまざまな場所でその可能性を模索してきましたが、最終地として選ばれたのは京都府八幡市にある「男山団地」です。
今回のプロジェクトは、独立行政法人都市再生機構(以下、UR都市機構)とMUJI HOUSEが共同で進めているもので、団地およびまちなかの防災、そして地域交流の拠点としてインフラゼロハウスをどう活用できるかを検証することを目的としています。
UR都市機構との共同実証実験の目的や内容については、別のコラムでもご紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。
9月12日|UR都市機構と「インフラゼロハウス」を活用した共同実証実験が始まりました>
10月31日|インフラゼロハウスが北ぶらくり丁商店街にやってきた>
2月6日 | 阪神・淡路大震災から31年。インフラゼロハウスがHAT神戸・脇の浜にやってきた
インフラゼロハウスが目指す「日常」と「非常時」の架け橋
「インフラゼロハウス」とは、MUJI HOUSEが開発した、電気・ガス・水道といった既存のインフラが整っていない場所でも、太陽光発電や水循環システムなどを備えることで自由自在に暮らすことができるトレーラーハウスです。
これまでの実証実験では、このユニットがもつ「移動できる」「自立している」という特性を活かし、地域の魅力向上や災害時の避難生活支援など、多様なシーンでの活用を試みてきました。今回の男山団地での取り組みでは、これまでの知見を活かしながら、さまざまなプログラムを実施しました。

多文化が共生する「男山団地」
今回、インフラゼロハウスが設置されるのは、京都府八幡市に位置する「男山団地」です。


男山団地は、昭和40年代後半に誕生した大規模な団地です。緑豊かな環境と、利便性の高い立地から、多くの人々が暮らしていますが、近年ではその居住層も多様化しています。若年世代から高齢者、そして近年ではベトナムの方々をはじめとする外国人居住者も増えており、日本人居住者との相互理解の促進に向け、多文化共生に取り組んでいる団地です。
しかし、多様な人々が暮らすからこそ、災害時などの非常時における「自助・共助」の仕組みづくりが必要とされます。言葉や文化の壁を越えて、日頃から「顔の見える関係」をいかに築いておくか。インフラゼロハウスは、その「きっかけ」を作る装置として、この地に運ばれました。
また、男山団地では「だんだんテラス」という地域交流の拠点を中心に、八幡市、関西大学、UR都市機構などが連携したまちづくりが活発に行われています。今回の実証実験も、これら産・官・学や地域のコミュニティと深く連携しながら進められることとなりました。
防災を「体験」し、「共助」を育むオープニングイベントを開催
実証実験の開始を告げるオープニングイベントとして、2月15日(日)に「防災・多文化共生イベント ~防災をきっかけに共助の団地へ~」が開催されました。
このイベントの最大の特長は、さまざまな世代・国籍の方に、自然災害に対する備えと多文化共生への意識を高めていただくために「体験」を中心としているところです。
多文化共生の「食」を通じた交流
団地内にある「Anna Kitchen」の協力により、ベトナム料理がふるまわれたほか、豚汁や防災食品(アルファ米・保存水)の実食も行われました。


実践的な防災体験
アウトドアテントの設営や、身近なものでできる防災工作など、大人から子どもまで楽しみながら学べるプログラムが用意されました。


地域との連動
当日の午前中には、団地に隣接する男山第二中学校やくすのき小学校にて、くすのき地区自治連合会主催の防災訓練も実施されました。
また、この日は13時からオープニングの挨拶が行われ、八幡市長 川田様、UR都市機構西日本支社長 高原様、MUJI HOUSE川内が登壇しました。

オープニングの挨拶の終了後は、インフラゼロハウスを開放し、多くのみなさまにご覧いただきました。


設置後の取り組み:日常に溶け込むインフラゼロハウス
2月15日から3月8日までの約3週間、インフラゼロハウスを基点として、地域の方々が実際に集い、学び、活用する「場」として、期間中には、地域の課題解決や健康増進を目的とした多彩なプログラムが開催されました。
防災の学びを深める
八幡市危機管理課による「地震災害への備え」をテーマとしたレクチャーや、災害時に活躍する段ボールベッドの展示をインフラゼロハウス内で行いました。


健康と福祉の拠点として
地域包括ケア複合施設「YMBT」と連携した介護予防の「いこいの広場体験」や気軽におしゃべりを楽しめる「ほっこりカフェ」、スポーツクラブ「メガロスくずはモール」による運動教室、地域まちづくり団体「だんだんテラスの会」によるだんだん句会など、日々の暮らしに寄り添ったイベントが開催されました。


サステナブルな活動の実験
関西大学と八幡市の協力により、家庭系粗大ゴミ回収の支援実験や、「だんだんテラスの会」による、手作り品の販売や不用品を活用した手作りワークショップを行う「だんだん手作り市」も開催されました。
また、イベントのない日も、事前予約制で地域の方向けの会議やコミュニティ活動、くつろぎの場として無料で開放され、地元の小学生や保育園児も見学に訪れるなど、多くの方に活用していただきました。
団地・まちなかでの実証実験
2025年8月から始まった実証実験では、約160日間、800kmを移動し、各拠点において多くの方々に参加いただき、貴重なご意見をいただくことができました。

インフラゼロハウスという「場」が介在することで、住民同士の交流が促され、地域コミュニティの活性化や防災への取組意識向上に少しだけ寄与することができたのではないかと考えております。また、当初の目的であった「団地・まちなかでの実証」において、災害時の自立型拠点としての機能性、移動可能なコミュニティスペースとしての柔軟性、多世代・多文化が共生する基点としての有効性が確認され、インフラゼロハウスの活用の可能性が大きく広がりました。
本実証実験は男山団地をもって終了となります。まちなかの広場や公園に設置し、平時にはコミュニティを育む拠点として、有事の際には一時的な避難場所として本格的に活用してもらうため、今回の実証実験で得たものを今後の商品開発に活用してまいります。
今後のインフラゼロハウスの展開に、ぜひご期待ください。




