インフラゼロハウスが北ぶらくり丁商店街にやってきた

ゼロ・プロジェクト | 2025.10.31

和歌山県和歌山市の中心部に位置する北ぶらくり丁商店街。 昭和の面影を残す建物が並ぶこの商店街に、大阪府河内長野市の南花台団地から、インフラゼロハウスが移設されてきました。
水や電気を自給しながら、どこでも好きな場所で暮らせる未来の家「インフラゼロハウス」。 UR都市機構とMUJI HOUSEが連携し、団地やまちなかでの活用可能性を探る共同実証実験。南花台団地での約1ヶ月間の実証を経て、全国で初となる「まちなか」での実証実験が、2025年10月12日より、北ぶらくり丁で始まりました。
UR都市機構との共同実証実験の目的や内容については、別のコラムでもご紹介しています。ぜひあわせてご覧ください。

9月12日|UR都市機構と「インフラゼロハウス」を活用した共同実証実験が始まりました>

9月25日|インフラゼロハウスが南花台団地にやってきた>

北ぶらくり丁商店街について

北ぶらくり丁商店街は、和歌山城の城下町に位置し、1830年の大火で街並みが焼失した後、商人たちが集まって商売を始めたのが起源とされています。昭和20年の和歌山大空襲でほぼ全滅したものの、復興を遂げました。道路舗装やアーケードなども整備され、昭和30~50年代ごろに全盛期を迎えます。
ちなみに、「ぶらくり丁」という名前の由来は、各店が商品を軒先に吊るして販売し、和歌山弁で「吊るす」を「ぶらくる」と表現することからついたとされているそうです。
当時は「歩けば肩がぶつかるくらい」と表現されるほどの賑わいで、物販から飲食店、娯楽施設に至るまで多業種の店舗が集まり、百貨店や映画館なども複数立地。「大阪ミナミと肩を並べる」ともいわれるほど繁盛していました。
しかし、昭和の終わりから平成に入るころ、市電の廃止や郊外への人口移動、大型店の郊外出店なども影響し、百貨店や映画館が閉店・閉館し、商店街各店舗の閉店も続くようになります。
近年では、古いものを活かした新しい店が生まれており、昭和の雰囲気を残した建物や看板を生かした店、またアパートの2階を改修した小さな映画館などが新たにオープンするなど、エネルギーを感じさせる商店街へと変化しつつあります。

北ぶらくり丁での実証実験

そんな「これからの商店街」に向けた取り組みが進む北ぶらくり丁で、「まちなか」での実証実験が2025年10月12日よりスタートしました。
今回の実証実験では、北ぶらくり丁商店街の一角に「北ぶら SUNNY PARK」として、インフラゼロハウスのリビング棟とユーティリティ棟を設置。災害・環境をテーマにした活動や、持続的なまちづくりにつながる活動の拠点として活用されます。

和歌山市、北ぶらくり丁商店街振興組合、そして地域のまちづくりの担い手等と連携し、この空間を通じて様々な意見や検証結果を収集。インフラゼロハウスの最適化、災害・環境に配慮した商店街の再整備、地域の担い手の定着、そしてまちなかの魅力向上等に活かしていきます。

オープンセレモニーの開催

2025年10月12日、実証実験の開始にあたり、オープンセレモニーとプレス向け内覧会が開催されました。
セレモニーには、和歌山市副市長の犬塚康司様、和歌山県県土整備部部長の小浪尊宏様、北ぶらくり丁商店街振興組合副理事長の平松博様、UR都市機構理事・西日本支社長の高原功様、そしてMUJI HOUSEからは取締役商品開発部部長の川内浩司が登壇しました。セレモニーの最後には、登壇者からの餅まきが行われ、非常に多くの方で賑わいました。

開所式の後には、実際にインフラゼロハウスのリビング棟とユーティリティ棟を見学いただき、この新しい取り組みへの期待の高さがうかがえました。

12月末まで続く様々な取り組み

実証実験は10月12日から12月28日まで実施されます。期間中は、訪れた方々から様々な意見をいただきながら、主に以下のような取り組みが予定されています。

毎月第2日曜日には「北ぶらリメンバーマーケット」との共催イベント、「低炭素会議2025」によるブレインストーミング会議、廃品に再生価値を付加する「廃品再生ワークショップ」、環境や防災の意識向上につながる「環境週間・防災週間」などが計画されています。
また、これからまちで何かやりたい人たちによる「ポップアップショップ」、商店街界隈の店舗がその魅力を伝える「アンテナショップ」なども随時開催。常設では、防災対策を中心としたインフラゼロハウスの活用策を募る「アイデアの壁」や、北ぶらくり丁の記憶を来場者が地図・記録帳に記帳する取り組みも行われます。

最新情報は「KITABURA REMIX PROJECT」公式instagramアカウントをご覧ください。

KITABURA REMIX PROJECT>

地域の方々と一緒につくり、考え、活用する空間として、インフラゼロハウスが、北ぶらくり丁商店街の新しい魅力づくりの一助となることが期待されています。
今後も「住まいのかたち」コラムで実証実験の様子をお届けしてまいりますので、ぜひご期待ください。