一ノ瀬メイさん対談後編|インフラゼロハウスは環境に対してニュートラルになれる場所
ゼロ・プロジェクト | 2024.8.9
2024年4月に発表された、MUJI HOUSEの新プロジェクト「インフラゼロハウス」。その名のとおり既存のインフラに頼らず電気を自給し、水を循環させ、車で移動できる未来の家です。現在インフラゼロハウスは、試泊者を募集して実証実験を行っています。
今回のコラムにご登場いただくのは、元競泳選手でモデルの一ノ瀬メイさん。なんと一ノ瀬さんご自身からインフラゼロハウスに試泊したい、とオファーをいただき、実際に試泊してくださいました。一体どんな思いからインフラゼロハウスに興味を持ったのか、MUJI HOUSE商品開発責任者の川内が伺います。
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元競泳選手、モデル。一歳半から水泳を始め、史上最年少13歳でアジア大会に出場。2016年リオデジャネイロパラリンピックでは4泳法8種目に出場。2020年個人メドレー世界ランキング1位。現在も4泳法すべての日本記録を保持。2021年に現役を引退後はスピーカー、モデル、俳優、企業とのパートナーシップなど多方面で活躍。Well-being・Sustainability・Diversity&Inclusionを軸に国内外で活動している。
生きているだけで環境負荷が高い、そんなライフスタイルを変えたかった
川内 試泊の様子を聞きながら感想も伺いましたが、総論、どうでしたか?
一ノ瀬 総論、めっちゃ良かったです! 今から売りに出されるのが楽しみです。
川内 よかった、商品化できるよう頑張ります。メイさんは日頃からSDGsとかエコ、地球環境について色々活動されていますよね。
一ノ瀬 そうですね。講演をさせていただいたり、個人レベルでできることを実践しています。私はヴィーガンを実践し始めて4年ほどになるのですが、ヴィーガンというライフスタイルを取り入れたのも最初は環境のことがきっかけでした。例えば日本とオーストラリアを行き来する飛行機も環境負荷が高いし、普段使っている車もそうですし、電気もどういうふうに発電されているのかとか、色々調べていくと、自分のライフスタイルは普通に生きているだけでこんなに環境負荷が高かったんだ、ということに行き着いて。かといっていきなり家を変えたり、車を買い換えたりもできないし、日本とオーストラリアの行き来を止めるのも選手としてすごく難しい。でも食生活は今日から変えられるから、できる限り環境負荷の少ないものにしようという思いからヴィーガンをスタートしたんです。そういった自分でできることの実践と、人に伝える活動をしています。
川内 僕みたいな本当に怠惰な日常を送っている人間からすると、アスリートの方はストイックだし自制するし、そもそも人間としてエコな気がするんです。身体を鍛えて効率よく動かしたりとかするアスリートという立場と、メイさんがされている環境問題についての活動とに親和性を感じるのですが、周りのアスリートの方々もそういう意識の方は多いのでしょうか?
一ノ瀬 どんどん増えてきていると思います。特にそういう意識を持っている人は、自然を相手にスポーツをしている印象がありますね。例えば海でやるサーフィンやオープンウォーター、雪山でやるスキージャンプの選手とか。そうやって自然を相手にしている人の方が自然に意識を向けている気がします。私も水を使うスポーツをしていたので、食事によって使われる水の量の違いや、食事を作るにあたって水が汚染されていないかと考えますし。毎日向き合っているからこそ、思いを馳せやすいのかもしれないですね。
「インフラゼロハウス」なら叶う、我慢せずエコに繋がる暮らし。
川内 普段の生活で意識できるかできないかはすごく大きいですよね。例えば普通の家に住んでいて、照明ひとつつけることに対して「これは遠いところで発電したものが発電ロスを伴いながら、CO2を発生させながらここまで来て……」と考える人は少ない。でもコロナを機会に家にいる時間が増えて、かつ最近は災害とか異常気象なども多くて、考える方が増えてきたように思います。僕も自分なりに考える中で、もっとエコの意識を広げるためには、ごくごく一般の方の普通の日常生活をあまり変えずに、我慢せずに、むしろ楽しく暮らす中でそれがエコに繋がっているのがベストだと思うんです。
一ノ瀬 本当にそうやと思います。
川内 このインフラゼロハウスは、それに近づけているのではないかと思っています。
一ノ瀬 そこがまさに画期的だなと思ったところです。普段、日常を生きているだけで環境負荷が高いというのが今のシステムで、今のライフスタイル。じゃあそこから環境に対してアクションを起こしたい、と積極的に行動しないと、環境に対してニュートラルな生活すらできないという状態なんですよね。普段からマイバッグをやマイボトルを持とうとか、プラスチックゴミが出ないように量り売りのお店に行こうとか、そういう選択は今のライフスタイル上、余裕がある人や積極的に行動したいと思っている人じゃないとできないアクションばかりじゃないですか。でもこのインフラゼロハウスは、昨日泊まらせていただいてみたら本当に普通に生活できたから、普段の家がここに移るだけで、こんなに環境に対してニュートラルな生活に変わるってすごいなと思うんです。画期的だし、ワクワクします。
川内 ありがとうございます。すでに何組かの方に試泊していただいて、ご意見も伺ったのですが、普段いかに自分が電気や水を無駄遣いしているかに気が付いた、という声があって。インフラゼロハウスは本当に普通に暮らせるんですけど、太陽光で発電しているから、太陽がなくなると心細いんですよね。明日晴れてほしいなと思ったり、今は曇っているから少し水と電気を気にして、シャワーの時間を10分から5分にしようとか。
一ノ瀬 シャンプーしている間は水を止めようとかね。
川内 そうそう、そういうことを否が応でも感じますよね。ここで何泊かしていただくことで楽しいワクワク感も味わいながら、同時に環境への意識が身についてくれたら、それが広がっていくことでこれからの未来の暮らしがもっともっと良くなってくれるのではないかと思うんです。ちょっと大袈裟かもしれませんが。
一ノ瀬 いや、本当にそうやと思います。
川内 なのでいずれは、ぜひ子どもたちだけで泊まってもらいたいなと考えています。
一ノ瀬 めちゃくちゃいいですね。いや〜、楽しみ!これが販売されたら私も買いたいです。いい土地を探し始めないと、と思いました。
川内 本当ですか!? ありがとうございます。ぜひお聞きしたかったんですが、もしメイさんがインフラゼロハウスに住むとしたらどこへ持っていきますか?
一ノ瀬 うわ〜迷うな〜、そうですね、海が見えるのもいいなと思いますし、私は京都出身なので、京都市内の山の上の方とかもいいなと思ったり。あとはユーティリティ棟をひとつと、リビング棟を何個か置いて、みんなで一緒に住む小さいヴィレッジみたいなのも楽しそう。
川内 仲間で集まってね。
一ノ瀬 そうそう! あとは中庭を囲むようにリビング棟を置いて、真ん中でみんなで畑をやるのもいいなとか、ワクワクが膨らみます。
川内 ではメイさんに本当に住んでいただけるよう、商品化を頑張ります! 引き続きよろしくお願いします。
一ノ瀬 貴重な体験をありがとうございました!