「インフラゼロハウス」試泊レポート|インドア派の女性でもインフラゼロで暮らせるのか検証してみました
ゼロ・プロジェクト | 2024.5.30
2024年4月に発表された、MUJI HOUSEの新プロジェクト「インフラゼロハウス」。その名のとおり既存のインフラに頼らず電気を自給し、水を循環させ、車で移動できる未来の家です。現在インフラゼロハウスは、試泊者を募集して実証実験を行っています。
実際のところ、その暮らし心地がどんな感じなのか気になるところ。そこで今回のコラムでは、キャンプ経験ほぼゼロ、普段都内で暮らしているMUJI HOUSEの女性スタッフ2名による「インフラゼロハウス」試泊レポートをお届けします。
「インフラゼロハウス」と初対面。気になるトイレは?
1日目は朝から天気がどんより。数日前から雨が続いていたこともあり、出発前から「この天気だとインフラゼロハウスの電力が足りないかもしれない」との情報が……。不安な気持ちを抱えつつお昼過ぎに「インフラゼロハウス」がある場所の最寄駅、千葉県の「館山駅」へ到着すると、日が出てきて明るくなってきました!これで少しでも多くの電気を蓄えてほしいと願いながら、バスにて現地に到着。
「インフラゼロハウス」の試作品一号機が設置してあるのは、千葉県南房総にある「シラハマ校舎」。廃校を合同会社WOULDがリノベーションし、住む・泊まる・食べる・はたらくetc.多用途に使えるよう生まれ変わらせた複合施設です。
敷地には実際に使われていた校舎が残されており、レストランやシェアオフィス、宿泊用のゲストルームや、アーティストの方のアトリエなどに使われているそう。中へ入らせていただくと、時間を忘れてしまいそうなノスタルジックな空間が広がっていました。
こちらには『シラハマ校舎』管理人の多田さんがいらっしゃり、「インフラゼロハウス」での困りごとも相談にのってくれるとのこと。近くに頼れる人がいるとわかるだけで安心感があります。ちなみに自転車も貸してもらえるので、海までお出かけしたり、スーパーやコンビニへの買い出しも気軽に行けますよ。
多田さんから鍵を受け取ったら、いよいよ「インフラゼロハウス」とご対面です。MUJI HOUSEが販売している「木の家」や「陽の家」と同じ、しっかりとしたドアを開けると、木の香りがする明るい空間が広がっていました。一人で暮らすには申し分ない広さだし、家族や気の置けない友人となら二人でも問題なさそう。
この日はスウェットを着ても肌寒いくらいの気温だったのですが、「インフラゼロハウス」は日当たりがよく気密性もとても高いので、夜になってもエアコンを使うことなく快適に過ごせました。
ルームツアー気分でユーティリティ棟もチェック。シンクやIH、電子レンジ、ケトルにトースター、シャワールームにドライヤー、食器やカトラリーなどなど、生活するうえで必要になりそうなものは全て揃っている印象です。
今回試泊するにあたり、いちばん気になっていたのがバイオトイレ。普段から屋外にある公衆トイレはなるべく使いたくないと思ってしまうタイプなので、正直不安でいっぱいでした。
しかしトイレのドアを開けてびっくり、なんと無臭なんです。トイレの嫌なにおいがしないどころか、新築のいい匂いがするくらい。これは嬉しい驚きでした。便座の蓋を開けてもにおいはなく、用を足したらすぐに蓋を閉じてしまうので、とても快適に使用できました。
ただシャワートイレがないので、生理中や体調面からないと不安な方は注意が必要です。
そして「インフラゼロハウス」の要とも言える蓄電池は、リビング棟にあるタブレットで発電量や蓄電量などを確認できます。何を使ったらどのくらい電力を消費するのかを知るためにも、行動するたびに逐一チェックするのがよさそう。
私たちは夕食やシャワーのタイミングに電力がたりなくなる、という事態がこわかったので、日が出ているうちはあまり電気を使わないように過ごしていました。
試泊するうえで楽しみにしていたのがウッドデッキ! リビング棟とユーティリティ棟を繋いでいるので出るタイミングが多く、テーブルとチェアを設置したら本当に部屋の一部のような感覚でした。1日目は夕食まで各々仕事をして過ごしたのですが、Wi-Fiも安定しているし、ウッドデッキで仕事をするといつもより捗るような気がしてきます。
本日最大の電力消費!? 楽しいディナーとドキドキのシャワータイム
お待ちかねの夕食は、「インフラゼロハウス」に試泊される方にお渡ししている、無印良品のカレーとごはんです。湯煎で温めるためにお湯を出したのですが、改めて“ここから温かいお湯が出るってすごいなあ”と小さな感動を覚えました。
IHで湯煎しながら電子レンジでごはんを温めても大丈夫。昼間に電気を貯めておいたかいがありました。
自分たちで持ってきた無印良品のスープも添えたら、ディナーの完成です。リビング棟のBluetoothスピーカーで音楽を流して、おしゃべりしながら食べるカレーのおいしさといったらありません。
食事も食器も家具も、普段から馴染みのある無印良品のものなので、自宅のようにリラックスして過ごすことができました。
ここからが最後にして最大の難関(?)、シャワーの時間です。この水循環システムで連続してお湯を出せる時間は10分ほどなので、その時間で全てを済ませなければなりません。
これは計画的に臨まなければ。いつもはお風呂でするメイク落としや洗顔はあらかじめしておいて、洗う順番も考えて、ときちんと準備しておいたら、思いのほか余裕を持ってシャワーを終えられました。“もしかして普段のお風呂って無駄遣いしすぎなのかも”と考えながら、髪を乾かしたらすぐに就寝。
2日目は雲ひとつない快晴です。こちらもチェックイン時にいただいたコーヒーやラスクをウッドデッキでいただきます。
そのままウッドデッキでお仕事開始。気持ちのいい風に吹かれながら、海の見える場所で働く……最高かもしれない。この時間のためならいろいろなことを頑張れる、この場所ならいくらでも仕事できそう、帰りたくない、と二人で呟きながら、お昼ごろまで仕事をして、「インフラゼロハウス」の試泊は無事終了です。
「インフラゼロハウス」で気付いた、“必要以上”すぎる暮らし
「インフラゼロハウス」に泊まってみてわかったことは、「普段の生活の無駄なこと」と「やってみれば案外できること」でした。普段の生活では、夜のために電力をとっておくという目的がないから昼間でも好きなだけ電気を使ってしまうし、シャワーの時間が限られていないから出しっぱなしにしてしまう。本当にバイオトイレで分解できるのかな、とトイレットペーパーの量をギリギリまで減らす、なんてこともしないでしょう。いつもの暮らしがいかに“必要以上”に消費しているかを実感しました。
そして電気が減っていたら使わないように気をつけるし、なくなったらどうするかを考えられる。今回私たちが試泊している間に電気が足りなくなることはありませんでしたが、インドア派の女性二人でも意外となんとか乗り切れるのかも、と思えました。
トータルの感想は「楽しかったし快適でした」!アウトドアの経験がなくても、考えて暮らせばきっと楽しめるはず。既存のインフラに頼らず太陽光や浄化水で暮らすことで感じる自然との一体感は、日常ではなかなか味わうことができません。興味がある方は、ぜひ一度試泊してみてください。
5月31日より、第二期実証実験の参加者募集開始です。みなさまのご応募お待ちしています。