環境に負荷をかけず、好きな場所に家を運ぼう。「インフラゼロハウス」の試作品第一号が完成しました

ゼロ・プロジェクト | 2024.4.18

この度『無印良品の家』が取り組んできた、大きなプロジェクトが発表されました。それが「ゼロ・プロジェクト」。水と電気を自給しながら、環境に負荷をかけずに暮らせる家。車で運んで、どこでも好きな場所をリビングにできる家。もしもの時には、安全なところへ移動できる家。そんな未来の住まいが、今回プロトタイプが完成した「インフラゼロハウス」です。このコラムでは、ゼロからくらしを設計できるその仕組みを詳しくご紹介していきます。

「インフラゼロハウス」の全景がこちら。土台部分にタイヤがあり、本当にこのまま車で運べることがわかります。蓄電池や水循環システム、キッチン、シャワーなどを設けた「ユーティリティ棟」(画像左側)と、リビングスペースやバイオトイレなどを備えた生活空間「リビング棟」(画像右側)、2つのユニットを組み合わせています。

まずは「ユーティリティ棟」から見ていきましょう。外壁と屋根が太陽光パネルになっており、必要なエネルギーを蓄電池に貯めることでくらしに必要な電力をまかないます。

扉の反対側にはエアコンの室外機とアンテナを設置。衛星通信によって電波を送受信するため、移動しても安定したWi-Fi環境を確保。どこでもリモートワークが可能です。

「ユーティリティ棟」の中には、コンパクトなキッチンとシャワールームが。IHクッキングヒーターで料理もでき、電子レンジやケトルも普段どおり使えます。
給湯器機は標準装備されており、温水シャワーが使えます。もちろんシャンプーやボディソープを使っても大丈夫。圧迫感がなく、重量も軽いガラス張りを採用しました。

調理やシャワーで使った水はどうするの?という疑問を解決するのが、さらに奥の扉を開けた先にある水浄化システム。200ℓほどの水を蓄えており、その水を浄化して循環させているのです。そのため水道も要らず、排水の必要もありません。

続いて「リビング棟」を見ていきましょう。エアコンや照明などの設備はもちろん、脚付きマットレスを2台並べ、ダイニングテーブルを置くことができるだけの広さも確保しています。高気密高断熱仕様で温かさが逃げにくいので、寒い地域でも安心ですね。

気になるトイレは、水を一切使わず自然のちからで処理するバイオトイレを採用。

便器の中にはおがくず状の素材が入っており、ここで生きる微生物が排泄物を分解してくれます。微生物が活動できる温度を保つための電気は必要ですが、水もいらず、トイレットペーパーや生ゴミまで分解することができるんです。1年ほどは交換せずに使えますし、1年間使ったおがくずも肥料として有用だそう。いいことづくめですね。

ウッドデッキは別で組み立てる必要がありますが、居室空間とつながった広いリビングのよう。もちろんもっと広くすることもできるので、薪ストーブを置いたり、テントを立てたり、使い方は無限大です。

「海が見える家に住みたい」という夢も、「インフラゼロハウス」を置ける場所さえあれば、簡単に実現できますね。

「インフラゼロハウス」は、「ここに住みたい」を叶えられる未来の住まい。実質的な温室効果ガスの排出をゼロにした“カーボン・ゼロ”、生活に必要なエネルギーコストを実質ゼロに抑える“リビングコスト・ゼロ”、自然災害のリスクを回避する“災害リスク・ゼロ”、そして“インフラ・ゼロ”。4つのゼロを実現した、最も自由で自立した家と言えるでしょう。災害時には仮設住宅として役立てられるのではと考えています。

今は“インフラが必要ない家”ですが、将来的に太陽光発電や水処理の技術が進めば、こうして個で自給した方が効率がいい、という未来がくるかもしれない。つまりこの家は“インフラに取って代わる家”にもなり得るんじゃないか。そんな思いを抱いています。

YOUTUBEにて、開発者インタビューを公開中▼

インフラゼロハウス実証実験
参加者募集

第一期の募集は終了しました。
たくさんのご応募ありがとうございました。

インフラゼロハウス実用化に向けた実証実験として、実際に試泊していただく方を募集します。未来の住まいを一緒につくりませんか。

第1期
募集期間|4 月18 日(木)15:00 ~ 4 月24 日(水)18:00
試泊期間|5 月の各週末(各週1組・最大3泊)

第2期 6月募集予定
第3期 8月募集予定

場所  |千葉県南房総市
参加費用|無料(現地までの交通費はご負担ください)
条件  |体験後のアンケートにご協力いただくこと

詳しくはこちらから>