ゼロ・プロジェクト=インフラ・ゼロ・ハウス「もっと自由な暮らし」の挑戦が始まりました。

ゼロ・プロジェクト | 2023.11.15

日本の生活インフラ普及率はすごい。

※インフラ
「インフラストラクチャー(infrastructure)」の略で、もともと「下部構造」という意味を持つ言葉です。ここから「産業や生活の基盤として整備される施設」として使われています。

あまり話題になることは有りませんが、日本の電気普及率は100%です。
どんなに山奥でも、離島でも、管轄の電力会社が電気を供給してくれているからです。
水道や汚水処理の普及率も、電気のように100%とまではいきませんが、90%以上になります。
そのおかげで、蛇口をひねれば飲料水が出ますし、スイッチを入れればいつでも照明が点灯し、部屋はエアコンで快適な温度に保たれ、冷蔵庫で食品を保存し、トイレは水洗で常に清潔に保たれています。そしてそれを私たちは当たり前と思って日々暮らしているのではないでしょうか。
もちろん、けして当たり前ではありません。
電気は発電所から延々と繋がれた送電線で送られ、浄水場で浄化・消毒された水が、地下に埋設された上水道を経て供給され、トイレや風呂水などの排水は、やはり地中に張り巡らされた下水管を通して汚水処理場で処理される、という膨大なインフラが、長い時間と労力・エネルギーを使って日本中に整備されて来たからこその恩恵を私たちは享受しているのです。

下の美しい衛星写真は、日本の夜を写したものです。人が集う都市部にたくさんの灯りが点いて、そこで様々な暮らしが営まれていることが想像されます。
人が集うところには生活インフラが導入され、生活インフラが充実しているところには人が集まる、ということが繰り返されてきた結果の光の絵図、とも言えそうです。

インフラ・ゼロで暮らしてみたい=ゼロ・プロジェクト。

日本全国網羅された生活インフラ。それらの恩恵で私たちは快適な暮らしを当たり前のように享受できていることに感謝しつつ、そのインフラが届かないところ、つまりこの写真の真っ暗なところにこそ暮らしてみたい場所がある、と思う人も多いのではないでしょうか。
昨今のキャンプブームが、その証しかもしれません。キャンプの楽しさは、人里離れた場所で、非日常を体験できるところでしょう。そしてこの場合の非日常とは「不便さ」にもあったりします。
キャンプのような短期間ならともかく、もしある程度の期間、絶景や満天の星と引き換えに、エアコンや温かいシャワー、インターネットのある生活を捨てるとなると、それなりの知識、体力、そして覚悟が必要なのではないでしょうか。
私たちは、非日常の環境の中で日常の暮らしをしてみたい、と考えました。
大自然の絶景をエアコンの効いた部屋でずっと観ていたい、満天の星空の下、リモート会議にも参加したい、そして、その絶景や満天の星空を大切にしたい、と。
タフな大人だけでなく、幼児や高齢者でも、地球環境に負荷をかけることなく、住みたいところにいつでもどこにでも快適に住めたら・・・、そんな思いからこのゼロ・プロジェクトはスタートしました。
ゼロ・プロジェクトについて詳しくはこちらをご覧ください。

ゼロ・プロジェクト=インフラ・ゼロ・ハウス トライアル号 遂に完成!

そんなあれもこれもの良いとこ取りが許される家の試作機が、構想2年、ついに完成しました。
写真は颯爽と公道を走って実証実験場所に向かう試作機です。
「なんだ、今流行のトレーラーハウスか。」と思われるかもしれませんが、こいつは只者ではありません。屋根にも壁にも太陽光発電パネルを備え、中には水循環システム、エコキュート、シャワー、キッチン、もちろんエアコンも装備されます。電気も、給排水も、ガスも、なんにもないところでも、車で牽引して設置すれば、大工さんも建築確認申請も不要で、いつでもどこにでも暮らせる仕様です。

そしてこのインフラ・ゼロ・ハウスは、単にどこにでも持っていけるセカンド・ハウスとしてだけではなく、最近の天候の不安定さや地震などの災害にも強いという側面も持っています。
インフラが整備されているところでも、災害や事故などでそのインフラが機能しなくなることもあります。そんなときでも、普段通りに暮らせるポテンシャルがこの「家」にはあります。
この災害レジリエンス性を積極的に考えれば、日頃は日常の家として使っていても、ひとたびどこかで災害が起きた際に、その被災地まで移動させて、避難スペースとして役に立てるのです。将来色々な場所に設置されたこのインフラ・ゼロ・ハウスが災害時に参集すれば、多くの方々の仮設住宅としての活用も見込めそうです。
まさに無印良品が提唱している、災害時だけの為に後生大事にしまっておくのではなく、日常でも災害時でも役に立つグッズを、いつも身近に置いて使っていることが本当の備えになる=「いつものもしも」という考え方に沿ったものとなるのです。

来春、公開します!ぜひ見て、試してください。

まずはこれから数ヶ月、開発チームのスタッフが責任を取って(笑)、実際に暮らしてみながら、シャワーやトイレ、キッチンの使い勝手と太陽光に依る発電、蓄電、そして水循環システムの作動状況を確認します。
無事設計通りの機能を確認した後、来春からは、ぜひこの「住まいのかたち」を読んでいただいている皆様にも試泊していただき感想をお聞かせいただきたい、と考えています。
しばらくは不定期に、私たち開発者によるインフラ・ゼロ・ハウス試泊レポートをお届けする予定ですので、ご期待ください。

いつも暮らしたいところに自由に設置できるセカンドハウスや、宿泊施設として、そしてもしもの災害時には避難場所としても役に立つ「インフラ・ゼロ・ハウス」という発想、皆さんはどう思われますでしょうか。
ぜひ、皆さんのご意見をお聞かせください。