無印良品のインテリアアドバイザーに聞く「デッドスペースの使い方」

みんなでつくる住まいの手引き | 2025.8.28

「みんなでつくる住まいの手引き」では、快適な暮らしに役立つ知識や住まいを長持ちさせる適切なお手入れ方法をお伝えします。あなたも一緒に「賢い住まい手」を目指しましょう。

今回のテーマは「デッドスペースの使い方」。「凸凹があって掃除しづらい」「この場所を収納に使えたらいいのにな」など、いまいち上手に使えていないスペースはありませんか?無印良品のインテリアアドバイザーの村田さんと川添さんに、デッドスペースの使い方についてポイントをお聞きしました。

【目次】
1.無印良品の家の住まい手に聞いた「デッドスペース事情」
2.デッドスペースはなぜできる?
3.デッドスペースの解消法と「お気に入り空間」に変える方法
4.デッドスペースを収納に変える6つのアイデア
5.デッドスペースの活用に役立つ無印良品アイテム

1.無印良品の家の住まい手に聞いた「デッドスペース事情」

無印良品の家で暮らす方は、デッドスペースについてどう考えているのでしょうか?「自宅にデッドスペースがある」と回答した方は全体の約6割。デッドスペースにお悩みを持つ方は多いようです。
(アンケート:2025年8月インスタグラムにて実施)

Q.ご自宅にデッドスペースはありますか?

Q.デッドスペースが多いと感じる場所は?

2.デッドスペースはなぜできる?

デッドスペースとは、お部屋の中にある使い道が難しい空間のこと。柱や間取りの関係で、やむを得ずデッドスペースができてしまう場合もあれば、暮らしの中で物が増えていくことで新しいデッドスペースが生まれることもあります。

デッドスペースになりやすい場所は?

インテリアアドバイザーのお二人がお客さまからよくご相談を受けるデッドスペースをまとめました。

いびつな形の場所
勾配のある階段下や排水管が通っている場所(キッチンのシンク下や洗面台下の収納など)はデッドスペースになりがち。収納スペースがいびつな形になってしまうと、空間を埋めることが難しくなります。

家具の配置による凸凹やすきま
家具の並べ方によって、デッドスペースが生まれる場合もあります。お部屋全体をイメージして、家具のサイズに合わせた配置を行うとデッドスペースが生まれにくくなります。壁一面に並べる、間仕切りとして並べるなど、「一ヵ所にまとめる」ことを意識するとよいでしょう。

収納自体がデッドスペースになる場合もある
家を建ててから、思わぬ場所がデッドスペースになる場合があります。例えばウォークインクローゼット。高さと奥行きがあるため、無駄なスペースができやすいのです。これから家づくりをする場合は、どこに何を収納するのかをあらかじめ決めておく「収納計画」が、デッドスペース防止のポイントになります。家づくりの段階で「何を片づけるための収納なのか?」を明確にしておくと、収納のサイズ感や設置場所がおのずと決まり、デッドスペースになることも防げます。

「収納は多ければ多い方がいいと考えている方が多いかもしれませんが、実際は数よりも、システムとして機能することが一番大切です(村田さん)」

デッドスペースは無理に埋めなくてもいい
スペースがあるとつい埋めたくなる気持ちが湧いてきますが、実はこの「埋めたい」という気持ちがデッドスペースをつくる原因になることも……。今回のテーマと逆説的なお話しになりますが、デッドスペースを予備の収納場所として空けておくのも一つの方法です。

「無理に物をしまってデッドスペースを埋めているお客さまもいらっしゃるのですが、私は『空けておいて大丈夫ですよ』とお伝えしています。使用する場所から離れた収納にしまったり、断捨離できる物をわざわざしまっておいても、結局は物を入れっぱなしにしてしまうだけでスペースの無駄遣いになってしまうんですよね(川添さん)」

3.デッドスペースの解消法と「お気に入り空間」に変える方法

デッドスペースにお悩みの方は、まずデッドスペースを減らせないかどうかチェックしてみましょう。また「無駄」「役に立たない」そんなネガティブな印象のあるデッドスペースも、アイデア次第で「お気に入り空間」に変えることもできます。物を置いて埋めてしまう前に「自分にとって心地よい使い方」を一度考えてみませんか?

家具類の配置を見直してデッドスペースを減らそう
家具類の配置にまとまりがないとデッドスペースができてしまいます。例えば、壁と家具の間に余計な隙間がある、家具の奥行きがバラバラで凸凹ができている、ということはありませんか?家具の配置をスッキリとさせることで、お部屋が無駄なく広く使えるようになります。

好きなものをディスプレイして「床の間」として楽しむ
観葉植物を置いたり、壁に好みの絵を飾ったりしてみてはいかがでしょうか。従来の日本家屋には、お客さまへのおもてなしを表現する空間として、応接室に「床の間」がつくられていました。デッドスペースを床の間のように使えば、お客さまだけでなく、住まい手の心を癒すリラックス空間にもなります。

「デッドスペースの使い道は『どのような暮らしをしたいか?』によって、正解が変わると思っています。手の届く場所に物を置きたい方は棚を置いて収納にしてもよいですし、アートがお好きな場合やお部屋をスッキリとさせたい場合は、床の間として個性を表現する楽しみ方もあります(川添さん)」

4.デッドスペースを収納に変える6つのアイデア

階段下のような大きな空間だけでなく、引き出しやクローゼットのちょっとした隙間など、デッドスペースはいろいろな場所に存在します。そこで、デッドスペースを収納に変える6つのアイデアをご紹介します。デッドスペースの特長に応じて使い分けてみてくださいね。

①掛ける
壁にフックなどを使って物を掛けて収納します。ケースなどの収納用品はサイズ選びが難しいことがありますが、掛けてしまえばその心配もありません。
②立てる
クローゼットの開閉部近くなど、隙間のデッドスペースは細長い物を立てかけることができます。傘やほうき・フローリングワイパーといった掃除用具や、重なっても取り出しやすい物が適しています。
③仕切る
棚を入れて仕切りをつくって収納します。階段下のようにある程度の広さがあり、高さや勾配のあるデッドスペースで役立つ方法です。
④分ける・まとめる
用途別に物をまとめたり、小分けにしてデッドスペースに合うボリュームで収納します。下駄箱であれば、シューケア用品や外遊び用のアイテムなどはまとめられます。
⑤コンパクトにする
もともと箱に入った物(ばんそうこうなど)を袋に入れ替えるなど、コンパクトな状態で収納する方法です。箱は空間も一緒にしまうことになるので、余分なスペースを使ってしまいます。配管のある洗面台下など、凸凹がある収納を使う際に便利です。
⑥前後に分ける
押し入れなどの奥行きが広い場所は、前後に空間を分けて収納するとデッドスペースが少なくなります。前にキャスター付きの棚などを置けば、移動も簡単で奥の物も取り出しやすくなります。

5.デッドスペースの活用に役立つ無印良品アイテム

無印良品ではさまざまな収納アイテムを取り揃えていますが、特にキッチン収納に使いやすいアイテムをご紹介します。実際の使用例も参考になさってください。

スタッキングシェルフセット
使い勝手に合わせて、縦にも横にも広げられるスタッキングシェルフです(画像は5段×2列タイプ)。木目調で空間にあたたかな雰囲気を出すこともできます。

【使用例】

「ちょっと何かを飾ったり、見せる収納として使いたくなるデッドスペースに便利。間仕切りとして置いて物をまとめられます(村田さん)」

スチールユニットシェルフ
汎用性の高い、スチール製のシステム収納家具です(画像はスチール棚セット・ワイド・大・ライトグレー)。壁の色にもなじみやすく、圧迫感のないオリジナルの収納家具が作れます。

【使用例】


「ユニットシェルフの奥行きを活かして、モノを奥にしまって手前の余ったスペースを飾り棚にすることもできます(川添さん)」

ポリプロピレン整理ボックス
キッチンの引き出しの中などを整理するのに便利なケースです。シリーズでモジュールを統一しております(画像はポリプロピレン整理ボックス2)。

【使用例】

「デッドスペースになりがちな引き出しの中を仕切る際に便利です(村田さん)

再生ポリプロピレン入りメイクボックス
単独でも組み合わせても使える、半透明のメイクボックス(画像は1/2サイズ)。細かいものの収納に便利です。再生材を20%使用しています。

【使用例】


「戸棚の中にデッドスペースを作らないように物をまとめて収納できます(川添さん)」

アルミS字フック
軽量なアルミ素材のS字フックです(画像は中サイズ)。中サイズは、直径2.5cm程度のバーに留められます。/耐荷重:4kg

【使用例】

キッチンの壁に設置したポールにS字フックを使用しています。おたまやフライ返しなど、調理器具を掛けて収納できます(村田さん)

壁に付けられる家具棚
石こうボードに簡単に取り付けられる棚です。外した後も壁の跡が目立ちにくいので、安心してお使い頂けます。一か所に必要なものをまとめたり、飾り棚としても使えます。

【使用例】

「収納アイデア『掛ける』の応用編です。画像はキッチンの窓下のデッドスペースに家具棚を設置して、収納として使っています(川添さん)」

スタッキングシェルフ・コの字棚
スタッキングシェルフ専用の便利なオプションパーツです。組み合わせて使えば、より機能性がアップします。

【使用例】

「食器棚をコの字棚で仕切り、上下2段に分けて使っています。隙間のような小さなデッドスペースの解消に便利です(村田さん)」

デッドスペースが生まれにくい無印良品の家。モデルハウスで見学しませんか?

無印良品の家は、基本的に収納棚などの作り付けの家具を置かないため、デッドスペースの生まれにくいすっきりとした空間が特長です。住まい手のライフスタイルに合わせた自由な空間づくりができる「暮らしの器」をぜひご体感ください。

モデルハウスの見学はこちらから >>

お話を聞いた人:
無印良品 インテリアアドバイザー 村田佳代さん

無印良品歴14年、インテリアアドバイザー歴12年。
無印良品店舗勤務のキャリアを経て、現在はインテリアアドバイザーの育成を行っている。お客さまに対しては暮らしを楽しむことを軸にした提案をモットーに、自身でも日々暮らしの中で新しい楽しさに気づきながら工夫することを実践中。何より柴犬が好き。

無印良品 インテリアアドバイザー 川添眞美さん
無印良品インテリアアドバイザー歴13年。インテリアコーディネーター、キッチンスペシャリスト、整理収納アドバイザー1級、整理収納アドバイザー2級認定講師。
建築設計、リフォームアドバイザーを経て無印良品へ。現在は無印良品西友荻窪店で日々お客さまとお話しながら暮らしの提案を行っている。お店のおたよりでも暮らしのヒントを連載中。自宅はグリーン優先の部屋だが、いつかハリネズミを飼って癒されたい。